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歴史的勝利と屈辱の敗戦とジャイアントキリング

 2020.07.12

   皇后杯京都府大会1回戦

 京都精華学園高校 1-2(前半1-2) AC.SEIKA   

 AC.SEIKA準決勝進出。

 京都精華学園高校初戦敗退…。

 京都精華学園高校(京都精華女子高校時代も含めて)皇后杯関西大会出場を逃したのは記憶にない…。歴史的敗戦。

 AC.SEIKA。OG達の活躍の場に。そして近隣のちびっ子達のサッカーと触れ合える場の提供として発足したクラブチーム。以前は週に一度、学校の体育館でちびっ子からお母さま方までサッカーを楽しんでいたが、スタッフ不足や多くのクラブチームの創出により場も充実していた事からスクール活動を停止してからはこの皇后杯予選とU18予選、京滋リーグでOGと現役選手のレギュラー以外を登録して試合の場の提供に重きを置いてきました。公式戦に出る機会の少ない子の経験の場とSEIKA STYLEを地で行く先輩達のプレーを間近で学べる機会でしたが、今年は少し意味合いの違う戦いとなりました。

 去年、一昨年と2年連続全国出場を果たしていますが、今年の3年生は一昨年はGKちゃんが1人。去年は途中出場が1人全国に出ただけ…。自ずと3年生が何人レギュラーに食い込むか、食い込ませてあげれるかが今年の我々のテーマであり挑戦しなければならない使命でもありました…

 がコロナによる活動停止。

 毎年、インターハイ京都予選、関西予選を通じて少し刺激を与えたり擽ったりで3年生に火を付けるようとしている事も今年は出来ず、非常に難しい再開となりました。

 1週目はトレーニング1回、2週目は2回と分散トレーニングの回数も段階的に進め、フルピッチのゲーム形式も3週目は15分、4週目は25分と時間の制限をつけながら進めて来ました。その3.4週目はグループTR.と称してTOP.U18.U17.U16の4グループで自分たちでトレーニングを行い、週末の紅白戦に臨むというベタなスタイルを採りました。

 まぁ3日目くらいからマンネリ化も始まり、うまく行かない事は他者のせいにして自分とは向き合わない、向き合えないの連続…その空気感が結果になって如実とあらわれる。グル練(グループ練習)改め、グダ練ちゃうか?と越智に罵られながらとてもストレスの溜まる1週間を過ごし(過させ)ました。

 ただ、精華史上初めてちゃうか…?という学年分けの取り組みに、仲が良かったと思い込んでたはずの仲間と上手く行かない事の連続。負けてもどこか言い訳があったけど、さすがに年下に負けると考えざるを得ない…。紅白戦、グループ練習でどれだけの子が涙を流した事か…(笑)それだけ彼女らの内に秘めた何かを引き出すことがちょっとは出来たかな…という期間でした。

 こーゆー嫌なことやストレスを乗り越えてこそ成長があるんや!今がタイセツなんや!って持って行こうとも思いましたが、何だか殺伐としている雰囲気はこちらとて好きではないし、とにかく楽しみながら成長するSEIKA STYLEとはかけ離れている…という事で先週はシレっと、フツーの越智練を実施😅ストレスや負荷を乗り越えてこその成長はありますが、乗り越えられないストレスはカラダもココロも痛め付けるだけ。その見極めはとてもタイセツだし、それは大人の大きな役割だと思ってます。

こーしようと決めていたけどやーめた!

めちゃ準備していてこれやろうと思ってたけどやーめた!

この越智特有のスタンスは尊敬すべき織田信長様からヒントを得ておりまして…

【金ヶ崎の戦い】という織田家史上屈辱の撤退戦がございまして、琵琶湖の北あたりを攻めていたときに浅井長政からの裏切りを受けて、挟み撃ちをされる…と情報を得た瞬間に、ヤメ!逃げるぞ💨って撤退をした戦いです。多くの軍勢で自信満々、意気揚々と出陣し、誰もが織田軍が勝つだろう…と予測された戦いをアッサリ投げ出して撤退だなんて。

 ただ犠牲を多く出したのも事実ながら、その決断の速さは被害を最小限に食い止め、信長自身も生きて帰ることが出来たと。

 【えええええー。】

 殺してしまえホトトギス。の信長が逃げる…なんてですが決め打ちせず、瞬時にベストな決断をしかもプライドをアッサリ捨てるという行動は、参考にさせてもらっています✊

 余談ですが、浅井長政裏切りの情報は信憑性があるのかないのか…と混乱をしている最中、浅井長政に嫁いだ妹お市から両端を紐で結んだ小豆袋が送られてきて、それを見た信長は挟み撃ちされた!と気付き撤退したとされていて、この気付きとお市のキレる行動も印象に残っておりまする。

 とにもかくにも、3年生達は進路も含めて多くのストレスを抱えながらも、もがいていた2週間。そしてYou達3年は来週の皇后杯はAC.SEIKAメンバーだよと告げられ(Aチームからは外れましたよ宣告)さらにココロの置き所を失う…。

 この発表も1週間前の紅白戦の日にたわいもない会話から「You達は来週もこのメンバーで戦わなきゃあかんし、Aに勝ちたいなら今日大敗したくくらいのあざとさは必要だよ」

「え?私たちAのメンバーにも入らないの…」みたいな感じでした。これも1週間前というタイミングも大事で、ムカつくし、悲しいし…なんやねん😤から、ココロも落ち着き、やるしかないよな。みたいなまでの冷却期間から切り替えまで。言葉ではなく、あくまでも彼女らの内に秘めた【何か】に火をつけないと意味がない…。

 そして前日にお互いのスタメン発表。

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 越智の良き理解者(兼、呆れてるけどついてきてくれている)少年のような(あくまでもココロをという事にしておこう)中村先生と前日にスタメンを決める。我々は常に勝つとかの前に最近(我々の最近のスパンはおそらく2〜3ヶ月)の様子や振る舞いを多く加味して物事を考える。おそらく京都精華学園を名乗る下級生中心のAが勝つだろうをどれだけAC.SEIKA3年生軍団が持ってる全てを出し切って戦えるのかを考える。そして効果的な下級生2名の助っ人も誰を入れるかで色合いが変わる。AC.SEIKA1番の主旨であるOGちゃんも3名合流する事が決まっている(あくまでも試合しか来ない2期生3名)。

 コロナ明けからバタバタとして、ちょっと飲み会も自粛している事から中村先生とも少し話す機会も減っていましたが、見ているところ、感じているところもバッチリで相変わらずありがたい神スタッフです。

 Aチームのサブには久しぶりに刺激を与えたい2年生3名。

 AC.のサブはOGの3名だけ。

 この決断も試合を大きく左右する事になりました!

【歴史的勝利】

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 そしていざキックオフ✊

 3年生2名、2年生7名、1年生2名。先週の紅白戦より彗星の如く現れた1年のスーパールーキーちゃんもスタメンに名を連ねる。この子はいつもニコニコ、ゲラゲラ笑っていて、オチが練習中に笑ってんなよ!って言ったら笑わずになんてやってられないですよ😊と名言を残してくれた子ですが身体能力に頼らない、これぞ精華!みたいなプレーが染み付いているんです👌

 試合序盤より京都精華学園が試合を優位に進めるもAC.の頑張りから一進一退の時間が。前半半ばに京都精華学園がらしさを発揮してやっと1点を取るもその後追加点をあげられないままAC.3年生のスーパーすくいあげで同点。そして前半終了間際に助っ人2年生のゴールでAC.が逆転に成功して前半終了となりました。

 少し焦りはあるもののしっかりと自分達で話をして後半に備える。ただ、どこかで返せるだろうとココロに余裕がある気がする…のは越智も同じく😅

 後半も押し込みながらもゴールネットを揺らせないまま時間が経過する…。体力もなくなり押し上げの欠けるAC.SEIKAの状態がリトリートをしている様相とも取れるようになり彼女達の集中力が増し、京都精華学園の焦りが増すというあるあるな状態に。コロナの影響もあり例年80分ゲームが今年は60分。曇天だろうが飲水タイムあり。というレギレーションを考えたら後半の飲水タイム後に張り詰めていたAC.の集中が少し途絶えるのでは…と思っていたがその時間帯でも仕留める事が出来ないままロスタイム2分。

 バァァァァーン…

 バーもAC.に味方せよとばかりに乾いた音を立てる。

 そのこぼれ球への執着、いや執念は3年生達が上回る。ラグビー🏉のモールのように数人が倒れながらシュートを防ぎ、なんとか掻き出す様は今まで見た事の無い光景でした。

 タイムアップの瞬間へたり込むAC.SEIKA の面々の姿とその笑顔が激闘を物語ります。

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 グループ別でのストレス。どうせ私たちなんか…という気持ちから脱却した3年生の姿は我々が求めていたスタート地点でしかありません。今日の戦いだけを見たら、事実2〜3人は秋の選手権メンバーに食い込んで来る気配です。

 ただ、相手が身内である事、下級生である事、まぁこちらが裏で(笑)仕掛ける事なく今日から毎日を無駄なく過ごして行けるかがタイセツです。

 そんなモチベーションが無くても当たり前に今日の暑い戦いが出来ることを期待し過ぎずに期待します✊

 なんだかんだ3年の奮起を促して熱い戦いをしてもらいながら京都精華学園高が最後は勝つ!というシナリオをものの見事に覆されました😭

【歴史的敗戦】

 方や、昨年の全国を経験している選手5人を擁しながらAC.の気迫に屈した京都精華学園高。グループ別練習も当然クオリティが高く、紅白戦も特に問題なく勝利をかさねる。他のグループよりストレスも低く、意識高くやっていたけど、苦しむ事は無かった2週間だったと振り返る事が出来ます。試合自体もクオリティを見せていたし、素晴らしいカタチから先制点も挙げたけど、1点どころで凹む事のなく、次は取らせないぞと奮起したAC.とまぁ2点目も取れるやろとフツーにゲームを進めた【圧】の差が前半の内にAC.の逆転劇を生みました。

 サッカーは【個】か【チーム】か。

 いつもヘンテコなとんちを彼女達に投げかけていますが、その両方を大きく揺さぶる結果になったと思います。そしてこれからの彼女達の毎日にも期待し過ぎず…(笑)期待していきます。

 ただ強化クラブとして学校の名前を背負っている以上、一つでも多く勝ち進み、関西大会出場は最低ミッションだったはずです。機を見てアタマを丸めなければ…と思っております😵

【ジャイアントキリング】

 AC.のベンチを中村先生に任せて、まぁ勝つだろうと京都精華学園高のベンチに越智が座る。

 試合が進むにつれて、

 勝てるだろう。

 ん、やばい!

 え、まじで…。

 今まで、我々が起こしてきたジャイアントキリングを思い出させました。

 2013 選手権 全国準々決勝 vs大商学園 1-0

 2014インターハイ関西準決勝 vs大阪桐蔭 2-2PK勝

 2018選手権 関西1回戦 vs大阪桐蔭 1-1PK勝

 相手ベンチの気持ち、焦り、采配の難しさ。それを引き出した歴代OG達の頑張りを強く思い出しました。どの試合も押し込まれた状態でシュート数も歴然の差。それを耐え凌ぐカラダを張ったディフェンスとシュートブロック。その姿とAC.SEIKAの姿が完全に一致していました。

 どちらかと言うとテクニカルに進めたいイメージが先行しますが、彼女らの勝ちたい欲が素直にプレーに表れていた時ほど結果を出してきていました。

 60分ハーフという異例の短時間勝負。これが80分ゲームだったら結果は変わっていたかも知れません。ただたらればを引き出させない強い気持ちも必要だと改めて思い出させてくれたゲームでした。

 そして中村先生とメンバーを決める際にタイセツにした事がベンチメンバー。あと15人くらいの部員が居ますがAC.ベンチはOG3人のみ。京都精華学園は2年生3人。例年試合しか来ないOGはフルタイムは無理でも(いや、無理!)試合に出してあげるのが慣習でしたが、今年はこちらの事情もありスタメンはほぼ3年の現役のみ。後半からOGを出すか?みたいな予定でしたが前半を折り返してのリード。そして一瞬足りとも気の抜けない試合に中村先生の取った采配は交代なし!相手ベンチで越智もそれを望んで居ましたが、せっかく来たOG達を1分も出さないという決断を下しました。

交代だけが采配でない!


 OG3人もこの緊迫した試合を壊したくないと、びびって出る事を辞退した感じ満載ですが(笑)カラダは動かずとも(横にはますます成長中🤣)声を出す出す、出しまくる。

ガヤな応援📣と的確な指示。中村采配とOGの声で最後まで集中を切らさなかったというより、切らせなかったベンチワークも見事でした。

 自分が経験したジャイアントキリングの時と同じ光景を逆でされる様はむず痒くもあると同時に我々が立たされている現在地とこれからの戦い方の原点を思い出させてくれました。

 AC.SEIKAは7/26に新進気鋭のジュニアユース、長岡京SCさんとの準決勝を迎えます。昨日のようなモチベーションとは異なり年下に対してでも正しくプレーをして、プライドや気まぐれ感を捨ててでも目の前の試合に集中し過ぎずに集中出来るか。

 歴史的勝利の後、テストもあり、進路の進捗も変わり、2週間後にまた関西大会というモチベーションと負けられないというココロを妨げるプレッシャーに平然と立ち向かえるかがポイントとなります。

 是非、関西大会出場権を獲得して、秋にも関西の雄?雌達と戦える舞台を掴み取って欲しいと思っています。

 最後にちょっとしたミスですが、毎回サイドでボールを受けて、とりあえず相手が来たら後ろに戻す…というプレーを続けていた子が前を向こうとしてタッチラインを割ってしまった…というプレーが1番嬉しかったですね。

 おっ、やるやん。


 髪の毛を切ったどうだなんて当たり前であって、あれ?足の爪切ったん??って所まで気付けるような【越智さんキショイねん…】っていうきめ細やかさは持ち続けて行こうと思っております✊

 前回のnote.有料にも関わらず多くの方にご購入賜り誠にありがとうございました。

 今回は無料で読ませてあげる〜(笑)

 現在、次なる大きな仕掛けを裏で進行中ですのでご期待ください😊




 

 

   

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