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【思い込む力】が研究には必要

落合陽一です.今日はなんとなく研究の話.新入生のゼミが近いなぁと,そんなことを考える時期でもある冬の入り口を過ごしている.表題は先入観の話じゃなくて,人材育成とマインドセットの話.思い込む力は俯瞰するとか客観視というのが対義語じゃない.

ここ数年,秋冬学期は週にレギュラーの学部の授業4コマと大学院の授業2or3コマをやってて,去年からそれとは別に大学の社会人向けのエクステンションプログラムを週に2コマ担当してるんだけど,その授業では毎週筑波大ゆかりの講師の先生を呼んでいて,ディスカッションしたりワークショップしたりしながら進んでいく.たまたま今週の授業のゲストが学長の永田先生だった.学長とは一緒に出張行ったり,つくば会議含め様々な無茶振りいただいたり,昨年度まで学長補佐をやったりで,色々な時に色々話すことが多いんだけど,今回も印象的な会話があった.

「なんか特に気になることもないし,何かを猛烈に根を詰める気もないし,適当に就職してそこそこやりがいがある仕事して,そこそこ楽しく幸せに生きられれば別にいいので研究は卒業できる程度に,もしくはそこそこ人並みに発表とかできればいいです」

という学生が増えてきたら,どうやって研究の面白さを伝えたらいいですか?

「そういう子は無理に研究しなくていいんじゃないかな,研究するには【思い込む力】が重要だからねぇ」

これはグッときた.このトピックはそれ以上話さなかったんだけど,「思い込む力」という一言は強力だ.「妄想力」とか「偏屈さ」とか「根拠のない自信」とか「多動力」そういうことを要因だと思って考えているけれどどこか欠けていると思う中で,その辺の単語の意味をスパッと「思い込む力」といい表すのはすごい.

長年の悩みだった,「仮説を立てながら手を動かす能力」や,「実験をやりきる力」,「執筆のゴールまでたどり着く力」,そしてそれらを楽しくこなすこと,総じて「研究モチベーションは後発的に育てられるのだろうか?」という疑問がスパッと晴れてきた.根拠のない自信を抱いて動き始めて,それを根拠に変えていく力ともいうのかもしれない.妄想力を守る力と失う力.今日はそんなことを考えながら.

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落合陽一が「今」考えていることや「今」見ているものを生の言葉と写真で伝えていくことを第一に考えています.「書籍や他のメディアで伝えきれないものを届けたい」という思いを持って落合陽一が一人で頑張って撮って書いています.マガジン開始から2年以上経ち,購読すると読める過去記事も800本を越え(1記事あたり5円以下とお得です),マガジンの内容も充実してきました.

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