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SixTONES/THE VIBES 全曲レビュー

SixTONESの4枚目のフルアルバム「THE VIBES」が発売された。シングル曲のみならず、変わらず幅広い曲調でさまざまな魅力がきらめいた。さまざまな音楽に挑戦しながらも、アイドルソングらしいセクションを入れることで多くのリスナーを振り落とさずに楽しませることに成功している。彼らがアイドルでなければ見ることのできなかった地平だと思う。これだからアイドルソングはやめられない。



こっから

前奏、意図的にローファイにしたブリッジが、アメリカのヒップホップっぽい。アッパーなラップが始まれば自然に体が踊る。前作アルバム収録「人人人」で実感してたが、全員ラップうますぎる!ただのヒップホップではなく、少し落ち着くBメロがあるのがアイドルソングならでは。これがヒップホップジャンルに慣れていないリスナーにとっての聴きやすさを生んでいる。2番サビ前の「しかし悔しさで黒く燃える腹ン中」が松村北斗パートなのもニヤニヤしてしまう。Cメロに次々歌割りが変わり、様々な声が楽しめるのがグループアイドルの醍醐味。

Alright

ほわほわ感のあるエレクトリックピアノ?の音色、刻むギター、グルーヴィなベースがオシャレなサウンド。
京本大我の歌は本当に艷やか。稀代のシンガーのようだ。ラスサビ前の「明日を生きる」、重要なパートを田中樹のダーティーな歌声がほとばしる。

Anthem

ジェシーの英語セリフでイントロが始まるのがSixTONESらしく、もはや名刺代わり。「こっから」とはまた違うテイストのラップで、サビを始めとして重厚感のあるギターが心地よい。2番Aメロでダークな雰囲気になるところ、Cメロですこししっとりするのは、アイドルソングでしかありえない構成だろう。この、一曲の中でのバリエーションが本当に楽しい。ラストに向かってテンポが早くなり、ギターロックが加速する曲調に驚いた。ジャンプに揺れるドームが眼に浮かぶ。

ABARERO

度肝を抜かれた!これがカップリングの隠れた名曲ではなくて、メインストリームど真ん中で売っていける。そんな時代が来ている。なんて嬉しいことだろう。Bメロなどに聴きやすいセクションを仕込んだからこそ聴きやすくなり、アイドルソングというジャンルが懐深く抱きとめてくれたからか。
BLACKPINKっぽいなと初見では思った。「まだまだカマスぜ俺等のやり方で」の早口ラップには思わず拍手した。

Something for nothing

UVERworldやワンオクみたいな壮大系ギターロックだなと初見では思った。サビまではギターのリフ1本に伴奏はおさえている。これは歌がうまいから聴けてるだけで、地味にすごいことだと彼らの音楽力にあらためて驚かされた。それまで抑制しているからこそ、サビの開放感が活きる。こういうの好きにならざるを得ない。
耳を疑ったのは間奏。デスボとヘドバンが見れる!?めちゃめちゃツインペダルでバスドラが踏まれて、正気か!?アイドルソングだぞ!?と思った。パフォーマンスが楽しみ。

Only Holy

ジャパニーズアイドルの十八番にして国宝である、王道バラード。「紡いできた思いと〜」で京本大我の転調。ありがとう。ここで目が覚めるほど感動する。

DON-DON-DON

今回のダンスチューン①。パフォーマンスはどうなる?とワクワクしっぱなし。AメロとBメロで盛り上がってきて、歌い上げるかと思いきや、サビはミニマルなダンスチューン。SixTONESのこれまでのアルバムで踏襲してきたテイストがあってニヤニヤしちゃう。そして今っぽい。Bメロの曲調は日本のアイドルのプライドが見える。余談だけど、この曲のSnowManさんのパフォーマンスも見てみたいと思った。

Bang Bang Bangin'

ダンスチューン②。ライブが楽しみすぎる。
テンポの早いこういう曲調もすっかりモノにしていらっしゃる。髙地優吾の歌声と、オートチューンは本当に相性が良くて、全然雑味がなくてすごい。
ちょっと中東っぽいサビ前のブリッジが異国要素を感じる。和風味をまぜたスペオダといい、ディスコなウィップザットといい、アイドルソングらしいOutrageousといい、SixTONESのダンスチューンはいつも楽しませてくれる。

SPECIAL

口笛がご機嫌ウキウキだけど、ドラムンベースは思いの外重めでただのポップスに終わらない。ハードな曲多めのこのアルバムに馴染んでいる。髙地優吾の光あふれる声色も映えすぎるし、田中樹のレイジーなラップも合う。森本慎太郎のキャラメルボイスにも合う。さまざまな声色を包みこんでくれる、最強最高な曲調なのかも。

Seize The Day

これもジャパニーズアイドル十八番の曲調。ライブの最後のほうに、トロッコに乗って手を振ってくれるメンバーが見えた。それはともかく、サビのメロが良すぎで一発で好きになった。バンドサウンドにストリングス等が乗っかった王道Jポップテイストながらも、全編英語のオシャレさがある。実際の英語圏でこのような曲調がメジャーなのかどうか気になる。有識者の方教えてください。

TOP SECRET

こちらも邦楽アイドル十八番のちょっと大人なテイスト。ビートはNAVIGATORと同じタンタンタタンタのリズムを刻んでいるのが特徴的。その怪しさ・焦燥感を全体にまといながら、オートチューン効きまくりのケロケロ歌声が全体的に泥みたいにダウナー。ずっと正気じゃなくてたゆたってる感じが、心地良い。

CREAK

嵐「monster」みたいな、このような踊れるシリアス・ミステリアス曲を結局愛してしまう。大好き。シンセ優勢なゾーンとピアノ優勢なゾーンが良いバランスで配置され、静と動をどちらも楽しめ聞き飽きない。1番Bメロのコード進行が美しくて涙が出るし、京本大我の転調は裏切らない。
サビ後半の「なななーなななーなーななっなっなーなー」というフレーズ1つをとっても、田中樹とジェシーとでは全然歌い方が違って、その表現力の幅広さに楽しませていただいている。個人的には2番のジェシーの歌い方が好き。粘着質でゾワッとさせるような声色が曲にあっていると思った。空気の含み方、リズムの弾ませ方、ほんの少しのさじ加減の差だと思うのに。こちらをニヤニヤ見てるゲームマスターみたいな。田中樹の、サイコキラーのようなザラザラした声も世界観を引き立ててくれて素敵。ラストの「ノッキンオン ノッキンオン 開かざる扉」のところは5度ハモリっぽいのにこんなに怪しさ満点になるものか?有識者の方に教えていただきたいです。

【初回限定盤B ユニット曲】

Blue Days

ジェシー✕髙地優吾
これまたJポップの王道、悲しすぎないバラード。ジェシーの泣きが入ったほわっとした声、髙地優吾の全力でぶつけてくる声と、少年の中の2つの側面を見ているようで味わい深い。

希望の唄

京本大我✕森本慎太郎
スポーツアニメの主題歌みたいな、熱いギターポップ。2番のAメロにいちばん大事な歌詞を持ってくる構成に少し驚かされた。

スーパーボーイ

田中樹✕松村北斗
めちゃくちゃいいじゃん!!!オールナイトニッポンのブースが見えた、樹の「おん?」北斗の「や〜そうなのよ」。サビのユニゾンのゆるい感じが良い。松村北斗の感情表現がさすがすぎた。

以上、全曲レビューでした。









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