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バリバリ仕事してやるもんか

効率厨。

私を勝利に導いてきた女神でもあり、みみっちいレースに縛り付ける足枷でもあり、内側から私の英気を吸い取る寄生虫でもある。

私は効率厨だ。どれくらい効率厨かというと、オフィスをイメージしてほしい。

廊下に給湯室があって、執務室への入口がある。中頃にコピー機があって、部屋の奥に私の席がある。

仕事をしていて「トイレに行こう」と思ったとする。わたしはまっすぐトイレにいかない。まず、パソコンからプリンターに印刷をとばす。机に溜まった排紙とコップを手に取る。執務室出口に向かいながら排紙を捨てる。給湯室でコップを洗う。お手洗いに行く。コップを回収する。執務室に入って、道すがら出力したプリントをピックアップする。

このように、一度立つなら5個くらい用事を済ませないと「もったいない」気がしてウズウズしてしまう。そのくらい効率厨だ。

あなたは何を思いましたか?

仕事の出来そうだと思ってくれましたか?
意地汚いさもしいやつだと思いましたか?

自分は両方とも当てはまるなと感じています。

先日、上司と面談する機会があって、曰く、わたしがぶっちぎりで残業時間が少なく勤務時間が短いのだと。全社員の中で。仕事を特別減らしてもらっているわけではない。つまり、それが何を意味するかと言うと、それなりに案件数もこなしている中で言えば、私は、かなり仕事が早い部類になるらしい。

これは、ひとえに効率厨のおかげだろう。
なるべく爆速で仕事をする気持ちよさは確かにある。

一方で。

最近「遊び」が足りないなと感じる。

私にとって今や仕事はRTAになっていて、本当にクエストを効率的に周回することしか考えていない。そんななかで、一つ一つのストーリーを楽しむ心が湧くだろうか?現実の仕事に戻して考えれば、もっと遊び心を持って、多少手間がかかっても面白いことをやろう、新しいことを考えてみようという気力。それがなくなっているということだ。効率的が食い荒らしてなくなってしまった、大事なもの。

そして、家に帰るやいなや、ボーっとしまくり、動作遅くなりまくりな自分に気づく。キッチンとダイニングを何往復もしたり、YouTubeを見ながらぼさっと何回も同じ動きを繰り返したり。

頭に気合を入れていない感覚は、自分でもわかっています。脳みそは筋肉じゃないけど、明らかに弛緩させています。わざと、頭の真ん中にふわふわの綿菓子が宙を舞う空間を残しています。

日中、効率厨が食べきって、リソースはもう残っていないということ。わたしは夜には廃人になる。

仕事の速さを買われて、今度の4月にはチーフに昇進します。

果たしてコレは幸せなのだろうか。




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