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私はなぜAppleが好きじゃないのか

突然ですが、私はApple製品を一切使っていません。パソコンはSurface、スマホとスマートウォッチはGalaxyで、ワイヤレスイヤホンもスマホにオマケで付いてきたGalaxy Budsです。Galaxy製品がやたら多いですが、特別Samsungが好きなわけではなく、Android陣営では一番使いやすいと思っているからです。

私も、iPhoneが日本に入ってきた時にiPhone 3GSを買い、6SくらいまではiPhoneユーザーでした。パソコンもMacbookでしたし、一番最初に買ったスマートウォッチはApple Watchです。Apple信者とまでは言わないまでも、身の回りのIT製品はほぼほぼAppleでした。そんな私がApple嫌いになる最初のきっかけは、実はVRでした。

仕事でVRコンテンツを色々と試す必要が出てきた時、Gear VRのためにGalaxy 7Sを買ったのがことの始まりです。それまで使ったことのあるAndroidは、かなり初期のしかも日本メーカーの製品だったため、正直Androidなんて使い物にならないというイメージを持っていました。なので、Galaxyを買った時もまったく期待しておらず、VR用に仕方なく買ったつもりでした。ところが、いざ実物を手にしてVR用アプリのインストールなど色々な操作をしてみると、想像以上に使いやすいものになっていました。アプリの切り替えや入力操作もiPhoneと全く遜色ないくらいヌルヌル動く。キーボードにいたっては矢印キーも付いているし、むしろiPhoneより使いやすいんじゃないかと感じました。この時の衝撃はけっこう記憶に残っています。それでも、やはりメインはiPhoneを使い続けていたのですが、しばらくすると、Wifiが繋がっている自宅やオフィスにいる時は、ほとんどiPhoneではなくGalaxyを使うようになっていました。その頃から、だんだんとiPhoneとGalaxyを2台持ちするのも面倒だなと思い始め、ついにメイン端末をGalaxyに変更して、iPhoneを封印する決心をします。ここから、AppleのWalled Garden(囲い込まれた庭)を取り囲む壁が、少しずつ崩れ始めます。

まず、iPhoneから開放されたことで、音楽や動画といったコンテンツをSDカードに保存したり、パソコンからの移動などもいちいちiTunesを経由しなくて済むようになりました。SpotifyやNetflixなどのストリーミングが主流ではなかった当時としては、まずこの点が非常に快適でした。また、iPhone以外のスマホではApple Watchを使うことができなかったため、Androidのスマートウォッチを探し始めたのですが、ここでもAppleの縛りなく、多様なメーカーの製品から選ぶ楽しさがありました。個人的に何より気に入ったのは、Androidのスマートウォッチではウォッチフェイス(時計のデザイン)をいくらでも自由に変更できることでした。Apple Watchでは、Apple様が「我々に勝るデザインは無い」とお考えなのか、Apple以外のデザインは選択できず、ウォッチフェイスを変える楽しみは殆どありませんでしたが、Androidではクラシカルなものから、非常に凝ったアニメーションのあるものまで、本当に無数のデザインを試すことができました。そうやって、少しずつApple以外の選択肢も楽しめるようになってくると、仕事で使っているMacbookにもどんどんと不満が溜まってきました。

というのも、私は1年近くの間iPadだけで仕事をするチャレンジもしたことがあり、企画書の作成からPhotoshopでの写真加工までタッチ操作でこなす日々を過ごした結果、Macbookでの作業中に直接画面タッチできないことにかなりのフラストレーションを感じていました。パワポでオブジェクトを選択する時とか、Webサイトのナビゲーションとか、一日に何度も無いようなごくたま~にではあるのですが、「なんでタッチできないんだよ!」とイラッとすることがありました。そして、そんなイライラにとどめを刺したのが、新型Macbookに搭載されたTouch Barでした。あの中途半端さ、意図せず指が触れてしまって誤作動した時のムカつき、殆どのショートカットを覚えている人間にとっては何の恩恵も無い機能、購入初日であんなにがっかりしたデバイスは初めてでした。

一方で、当時のiPadはマウス操作もできず、まともなフォルダ機能もなかったため、Zipファイルがメールで添付されようものなら、相当なステップを踏まないと中身の確認すらできませんでした。いやほんと、無駄なこだわりはいらないから、普通にMac OSをタッチ対応すればいいじゃんと。本当に心の底から思っていました。当時のメディアでクックCEOがMac OSをタッチ対応するのはOSの哲学に反するみたいな戯言をほざいていて、そんなもんはどうでもいい作り手のエゴでしかないわボケと、あえて当時の心境を再現するような毒舌で書きましたが、本当にそういう気持ちでした。それでも、12インチのiPadが出たり、殆ど使いものにならなかったけれど、一応iPadでもフォルダ機能ができたりと、少しずつMacにも全面タッチ操作の兆しが出てきたと。そして、あと1年もすれば、Macbookの画面がキーボードからカチッとはずせてそのままiPadとして使えるようなマシンが出ると信じて、Macbookを使い続けていました。しかし、期待していたようなアップデートはいつまで経っても登場しない。iPhoneは何年もなんの進化が無く、追加される機能はことごとくAndroidの後追い。そんな状況を見て、私の心の底の方にかろうじて残っていたAppleへの期待も吹き飛び、4年くらい前に、ついにMacからSurfaceへと乗り換えてしまいました。

それ以来、私はApple製品を全く使わなくなりました。最初の2年くらいは、Apple系製品のニュースを楽しみに見ていましたが、想像以上に進歩が無く、デバイスのデザインも全然変わらないので、最近は気にもしなくなってしまいました。あまりに代わり映えがなく、一ミリもワクワクしないのです。新型のAir Podだけは正直とても良いと思うのですが、相変わらずiPhoneでしか使えない(Androidでも無理やり使えなくはないが、まぁ使いづらい)という閉鎖性、All Appleこそが正しいというスタンスに、嫌悪感すら感じるようになってきました。

デザインの好き嫌いというのは人それぞれですし、一般的にはApple製品の方が優れたデザインということになっているのは分かるのですが、少なくともスタートアップやテック業界の人で、MacやiPhoneをイノベーティブとか言っている人を私は信用しません(製造工程のEco friendlinessは尊重しますよ、念のため)。むしろ、あれだけ殆ど革新の無いまま何年も経っているのに、デザイン性と過去のイメージだけで未だに膨大なファン層を抱えているというのは、本当にすごいなと思います。でも、なんにも面白くない。また、Appleという会社のスタンスも、オープンイノベーションを重視している立場からすると、正直好きになれません。さも自分たちで技術革新を進めているように装っていますが、実際には色々な会社を買収したり、R&Dをこっそり外注しています。なんというか、Appleは自分で何でもできるし、他者の製品と連携などする必要は無いというスタンスは、個人的にはかっこ悪いとさえ思いますし、そんなやり方は立ち行かなくなると思っています。今でこそ、売上規模も株価も凄まじく好調ですが、外部連携をもっと積極的に進めていかない限り、そうそうに下落に転じるはずです。

ということで、クリエイティブとかイノベーションとかの業界にいるとiPhoneもMacも使っていない事に驚かれるので、その理由を文章にしてみました。







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