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このトンネルに出口はあるのか

最近、虚構新聞が不要になるんじゃないかと思うくらい、嘘みたいな、嘘であってほしいような本当のニュースが多い。

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新型コロナウイルスの影響で「オンライン始業式」に 三重・鈴鹿市|NNNニュース

何より恐ろしいと思うのは、この写真を見て何がおかしいのか分からないという感覚の人がたぶん自分が思っている以上に多いということ。

自分は歴史が好きで、幕末についても色々と読んだりして来たけれど、このままでは日本がダメだから幕府を倒して建て直さなくてはという気持ちは、どこか他人事だった気がする。もちろん、日本の国会が優れているだなんて思ったことは一度もないけれど、明確な実害もそこまで感じることができていなかったので、「あいつらどうしようもねぇな」という感覚がある程度だった。しかしそれは、世界的に見てもトップレベルで優秀な現場の人たちが、見えない所で頑張ってくれていたからなんだと思う。

国会幼稚園で年老いたお子様たちが政治ごっこをしている回りで、各種行政機関や自治体、保健所や医療機関といったより現場に近いレイヤーの方々が、常軌を逸した忙しさで日々駆けずり回り、どうにかこの国を回している。

日本という国はたぶん、国民一人ひとりの勤勉さ、責任感、自己犠牲精神が、極端に強い。全体のため、自分が苦しくても、自分の役割を何としてでも全うするという気持ちが凄い。だから、リーダーの力量とあまり関係なく、現場は回る。優秀なリーダーも当然たくさんいるけれど、信じられないくらい無能で、他の国じゃ何の成果も出せないような人間がリーダーになっても、現場の能力だけでそれなりの結果が出せてしまう。

それは上司と部下、教育委員会と学校、自治体と国といった色々なスケールや形で起こっている現象で、国民と政府というスケールでも同じことが起こっている。

日本の国会は、(数人の例外を除いて)他の国だったらとっくに崩壊しているような無能集団だけれど、日本国民一人ひとりのレベルが総じて高く、お上に文句を言う暇があったら目の前の問題を解決しようとするから、ギリギリの所でここまで来れた。しかし、今の状況においては、現場の処理能力が相当に圧迫されてきているんだと思う。

400億円以上かけて布マスクを配るとか、お肉券を諦めずに和牛の購入支援をするとか。極めつけは、公演中止に関する支援はしないと切り捨てたミュージシャンの必死の創作活動を、失業の恐怖に怯える一般庶民に喧嘩を売るような優雅な姿で、土足で踏みにじるクソコラボビデオとか。

現場の処理能力に多少の余裕があった頃なら、このような多くの国民が殺意を覚えるようなアイディアは途中で止められていたと思う。でも今は、そんな下らないことをいちいち忠告してあげる余裕が無いのだろうなと思う。たぶん、あらゆるスケール、あらゆるレイヤーで、優秀な現場の人たちが多種多様な問題に対応することに必死で、アホがアホなこと言ってもいちいちかまってられないんだと思う。

問題は、その優秀な現場が、じわじわとキャパオーバーになってきているということ。最前線で戦っている優秀な人たちから先に倒れてゆき、残されるのは現実を知らない愚か者の指導者と、指示に従うしか道の無い弱者たちだけになる。その先には滅亡しか無い。

太平洋戦争末期も、日本は似たような図式にあったと思う。しかし、米軍は降伏により攻撃を止めてくれたが、ウィルス相手には降伏という手段は通じない。どんなに白旗を降っても、ウィルスの進行は止まらない。

もし、米軍が日本人の最後の1人を殲滅するまで絶対に攻撃を止めない存在だったら、太平洋戦争当時の日本政府は日本国民を守り切ることができたと思えるだろうか。

私は、幕末の志士達の、日本を守るために幕府を討つべきという思いを、正直あまり理解できていなかったと思う。愛国精神ってものなのかぁくらいにしか捉えていなかったと思う。しかし、今の政府を見て、少しだけ気持ちが理解できて来た気がする。

しかし、残念ながらそれは、国を思うなどといった立派な志ではない。ただただ、このアホどもに任せていたら、自分の大事な人達の生活が破壊されるという、怒りと恐怖が入り混じった感情が湧いてくる。それと同時に、ではどうすべきなのかが、今は全く見えない。

国会議員の出席者を7割減らすとのことだが、いっそのこと7割ではなく10割減らしてもらって、一切何もしないで黙って自宅で自己隔離していて欲しい。せめて邪魔をしないでくれ。これ以上、ひたすら自分たちの無能っぷりをアピールすることに汗水流す必要は無いから、余計なことしないでいて欲しい。それが本音ではある。しかし、それが解決策にはならないこともよく分かっている。

だから、代替案を思いついて、それを実践できるまでは、私には今の政府に対して、「頼むから現実を見てしっかり対応してくれ、過去は捨てて未来を考えてくれ、既得権益を守るために全てを滅ぼすという過ちだけは避けてくれ」とお願いすることしかできない。

ここまで深く、「これが民主主義というものなのか」というのを実感できたことは、私の将来に少なからず影響を及ぼすだろう、将来というものが残されれば、ではあるけれど。

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