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NA→SAプログラムのこれまでの活動報告と今後について

原発事故由来の課題解決を支援するU29を支援するNext Action→ Social Academia Projectは、2021年にスタートし、参加者や支援者の方々のご尽力のおかげを持ちまして、無事3年目を迎えることができました。プログラム運営に関わっていただいたすべての方々に、心から感謝申し上げます。

地域では起業支援の取り組みが数多く行われている中で、当社が提供できる独自のサポートとは何かを模索した結果、現在のNA→SAプログラムを一段落とし、次なる創業支援の新プログラムをスタートさせることとなりました。

地域に仕事があれば地域が自ずと育つ、というわけではありません。大企業を誘致したとしても、地域が魅力的な場所でないと、そこで働き、生活したいと思う人は少ないです。スモールビジネスであっても、いくつもが魅力的な事業を立ち上げているような街の方が、人々は住みよい街だと感じるのではないでしょうか。当プログラムではそんな地域の生活が豊かになるような事業の起業支援を行ってまいりました。

しかしながら、浜通りという広い地域を対象に人材を育成しようとすると、運営と参加者との接点が少なくなりがちです。弊社の強みである起業家同士の繋がりや、新たな何かを生み出そうとするコミュニティとの接点をどう持つかが課題として浮かび上がってきました。

起業家の数だけを追うのではなく、起業家コミュニティと密接に関わりながら、深くコミットメントし育てていくことが必要と考えられるようになり、それが今回のプログラム変更の理由です。

3年間のプログラム運営を通じ、約200名の参加者の想いに耳を傾け、力になるべく奮闘してまいりました。地域やコミュニティの強みを理解し、新たなプログラムの開始につなげられたのも、これまで支援や応援いただいた皆さまのおかげと深く感謝しております。本当にありがとうございました。他の地域にはないユニークな事業の立ち上げをサポートするために、これまでのノウハウを活かして邁進してまいります。

以下は、この3年間のNA→SAプロジェクトの歩みと学びをまとめたものです。ぜひご一読いただければ幸いです。

Next Action→ Social Academia Projectとは?

小高ワーカーズベース、ソフトバンク、ヤフーと3社が連携し、2021年5月よりスタートした、震災由来の課題解決をする起業支援と人材育成プロジェクトです。
「原子力被災地から浮き彫りになる社会課題」の解決を支援し、挑戦の連鎖を生み出す場で、福島から、「次の10年」を託す若手リーダー及び人材を育成し、事業を創出することを目指しました。

プログラムのターゲット

10代で東日本大震災を経験した若者は現在、20代前後になりました。
当時不条理な現状に、何かアクションしたくてもできなかった10代だった子達は、成長した今だからこそできるチャレンジがあると、私たちは考えています。そして、社会全体をアップデートする貴重な人材だと捉え、『ゴールデンエイジ』とし、彼らをターゲットにプログラムを運用しました。


実施したプログラム

起業支援とチャレンジコミュニティの支援の2軸を中心としプログラムを実施しました。

NA→SAプロジェクトのこれまでの流れ

プログラムの各コンテンツの概要と実績

●アポロクラス(2021年度)・起業コース(2022年〜2023年)

●チャレンジ支援

●フォロワーのコミュニティを育てるプログラム

●貴重なインプットを行える講義

●地域課題について探求するインターン

●チャレンジの一歩目をサポートする浜通りスモールステッププロジェクト

●浜通り地域での起業の強みについて議論するシンポジウム


プログラムの振り返り

●プログラムの成果

  • 事業補助金の採択や11名の方が事業スタートさせる一歩目をサポートすることができた。

  • 「やりたいこと」が明確な人にとっては、チャレンジへのモチベーションの維持をサポートすることができ、継続参加の意義のあるプログラムになった。

  • 1年単位のメンタリングプログラムであったからこそ、若手起業家の成長にじっくり向き合うことができた。

  • スタートアップからローカルビジネスまで、幅広い事業をサポートする体制が組めた。

  • 5万円の活動資金があることで、やりたいことが明確な人に対しては初めの一歩を踏み出すきっかけを作れた。

  • サポート企業やインターンとしてプロジェクトに協力いただき、地域に対して関係人口を生むことができた。

  • 若者のチャレンジ支援を通してノウハウが溜まり、大学生のフィールドワーク事業を行えるようになった(桜美林大学、コロンビア大学など)

●プログラムの課題

  • 「福島と関わり、やりたいことを見つけたい」のフェーズの人には、効果的なプログラムを提供することができなかったため、継続してサポート方法を探りたい。

  • コミュニティを作る上で、100人規模からスタートしたため、個人同士では繋がっているが、プログラムの所属意識を育むことができず、単発のイベントの繋がりになってしまった。

  • 地域の強みや事務局メンバーの強みを生かしきれず、コンテンツについて外部のリソースに頼ってしまった。

●チャレンジを生み出すために必要な要素

プログラムを実施する中で、チャレンジをどのように地域に生み出すのか考えきました。その中で見えたチャレンジに必要な要素と実施したプログラムの振り返りをまとめました。

チャレンジが起こるまでの要素を因数分解すると、what(何をしたいのか?)、why(なぜしたいのか?)、How(どのようにしたいのか?)の3つの動機を見つける必要があります。何かやってみたいと想いがある人に対して、どこでつまずいているのか、また見つけてチャレンジする中で、メンタリングで後押しをすれば良いのか、プログラムを運営する中でサポートの精度を高める学びとなりました。

●感謝の辞

 3.11から10年となる2021年に立ち上げた若者の活動支援事業「Next Action→ Social Academiaプロジェクト」(以下、NA→SAプロジェクト)は、約3年の活動を持ちまして終了させていただくことにいたしました。

 サポート企業として立ち上げから事務局運営にご協力くださったヤフー様(現LINEヤフー様)、ソフトバンク様をはじめ、本活動にご賛同くださったパートナー企業のみなさま、そしてYahoo!ネット募金等でご支援くださった多くの皆様に心より御礼申し上げます。

 福島県浜通りの復興はまだまだこれからです。一方で、本年1月1日に発生した能登半島地震をはじめ、毎年日本各地で大きな災害が発生しております。被災した子供たち、若者たちが、地元の復興という志を掲げて活動に取り組む際に、本プロジェクトで培ったノウハウやアセットを活かした支援に取り組んでまいります。それが、福島から全国のみなさまにできるご恩返しであり、原発事故という歴史的な事故の被災地だからこそ果たすべき役割であると考えております。

 どんな環境の変化にも対応できる持続可能な地方の実現に向けて、これからも事業・活動に邁進してまいりますので、引き続きご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

一般社団法人パイオニズム
代表理事 和田智行


今後のプログラムの方向性

今後のプログラムの方向性

文化起業家を意味するカルチャープレナー。福島県南相馬市では、デザイナー、酒造り、靴職人、ガラス加工、ドローンアートなどさまざまなカルチャーを背景にした事業を若者が自身の情熱を活かして立ち上げています。そのいくつもの事業は、地域に暮らす私たちの生活に少しずつ潤いを与えてくれ、さらには、地域外からも人を惹きつける要因です。

広い領域の事業を生み出すサポートをするのではなく、地域の強みを生かし、カルチャーにまつわる事業を作りたい人に対してのプログラムを2024年度に提供できるように準備を行っています。

起業に関する相談はこちら:https://owb.jp/service/nextcommonslab/
アドレス:contact@ncl-minamisoma.jp


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