ここ半月のお話

すでに何度も書いたように、今月1日から正社員として働いている。1週間が終わった時に日記を書いて以来何もしてなかったので、近況の最新版ということで少し書くことにした。

業務は極めて分かりやすい一般事務のはずだった。いや、「はず」という言葉を用いなければならぬほど現状がずれているわけじゃない。少なくとも事務という名目のもとにあらゆる雑用が飛んでくるようなことはない。ただ、予想と少々違っていたということである。私の考えでは、事務とは基本的に会社の内側に向いた仕事と認識していた。外との関係といえば、電話をとったり、来客の対応をしたりというくらいと思っていた。しかしこれは実はそうではなかった。自分で先方と色々折衝をしなければならない。ただ、だれかにかかってきた電話を取り次ぐ、ただ誰かのお客を取り次ぐ、そういう簡単なレベルではなくて、普通に営業のごとくそういった捌きをしなければならない。

そして、思っていたより仕事は膨大ということもある。先方一つ一つに合わせてカスタマイズされた設定を、決してミスすることなく再現しなければならない。慣れればなんということはないのだろうが、上長は逐次的に仕事を教えるばかりで、全体像から丁寧に教授することはない。学校じゃないのだから、と言われればそれまでだが。それで必死にメモを取るが、やはりこの上長は教育より仕事のほうが大事という考えだから、メモを取っていてもどんどん先に進んでいく。それで書いてる暇がなくて、とにかく言われるままに仕事をし、いつまでたっても身に付かない。

むろん、この上長が長くいてくれればそれでもよかろう。長い時間をかけてでも、ちゃんと覚えられる時が来る。しかし私の場合、この上長はもう4月末に退職することが決定しているのである。何十年務めてきた上長がやっていたものを、あとわずか1か月ちょっとで引き継がねばならない。しかし肝心の上長は教育より実務を優先するので、いつまでも引き継げない。もっぱら私の憂鬱はここにある。

ただ、この会社は非常に「ちゃんと」しているのは事実だ。先日コロナワクチンを打ちに行くときは特別休暇扱いで早退させてくれたし、またその後二日間副作用で寝込んだ時も休ませてくれた。計画有給取得日に出勤した時も(上長が「あなたは有給がないから出勤しないといけない」と仰せになった)、なぜかとてもえらい上司がやってきて、「あなたは現状上長がいないと仕事ができないだろうから、帰ってよろしい」といわれ、わずか数十分で退勤できた上に、ちゃんと一日分出勤したことになった。残業はいたって少なく(役職者が率先して早く帰るので我々無役のものも早く帰れる)、休憩時間も自由裁量で過ごしてよい(社外に出て過ごしてよい)し、そもそもここまで散々酷評した上長にしてからが、仕事のことでなければ非常に親しみやすい人である。前々職、私は最初の一週間だけちゃんと出勤して、それから1週間続けて出勤したことはなかったが、今のところワクチンの関係を除けばちゃんと毎日出ている。

不安は大きい。しかし、今のところそれは私が自分で突き詰めて考えてそうなっているに過ぎない。まずはひと月、その次またひと月と、とりあえず過ごしてみて、それで無理なら仕方なし、行けるならいけるところまで頑張ってみようと思う。

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