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垣間見える勝負への執念

9/27(日)に岡山国際サーキットにて開催されたSUPER FORMULA Rd.2。スタート直後に起こったアクシデントにより、私は今もこのレースを引きずっています。

8/30(日)にツインリンクもてぎで開催された開幕戦で牧野任祐選手がドライブする64号車は予選で15位、Q1敗退。決勝では9位と伸び悩んだ。昨年のデビュー戦でルーキーながらポールポジションを獲ったが故に期待されていたのもあり、落胆の声が大きかった。原因として牧野選手や今年牧野選手とペアを組む加藤エンジニアは下記の通りコメント。

【牧野選手】
「レースでは何もできませんでした。ただドライビングしていただけです。レースペースは本当に悪かったです。何が起こっていたのか分かりません。タイヤのデグラデーションはそれほど悪くありませんでしたが、かなりオーバーヒートしていました。レース序盤のペースはさほど悪くなく、38号車(石浦宏明)を追いかけていましたが、タイヤがオーバーヒートに陥った後、前後のグリップを失いました。レース終盤はクリーンエアだったにも関わらず、ペースは本当に遅かったです。週末を通してコーナーではオーバーステアに本当に苦しんでいましたが、予選ではアンダーステアがひどかったです。何が起こったのかは分かりませんが、路面コンディションが少し違っていたのではないかと思います。」
【牧野選手】
「もてぎでは週末を通してクルマをいじりすぎてしまって、その結果ハマってしまいました。今回はその反省を活かして、ほとんど触っていません。明日の予選では周りも上がってくるとは思うけど、クルマのバランスも悪くないし、いい感じだと思います。岡山は去年があまりいい結果ではなかったから、ここに来るまであまりうまくいかないかなと思っていたけど、調子はいいですね」
【加藤祐樹エンジニア】
「低速サーキットで新しい方向性が見えたかもしれないと思っています。ここ数年、僕らのチームは岡山を苦手としていました。今回、ここに来るまでに過去のデータをいろいろと分析して、これまでと異なる雰囲気のマシンを持ち込んでいます。いろいろと研究した結果、自分たちがおいしいと思っていたエリアと少し違うところに低速に合う部分があるということが分かりました。昨年までのハイスピードの良さを失わないまま、弱かった低速の部分を伸ばすことができているのかなと思います」

もてぎでうまく噛み合わなかった悔しさを胸に挑んだRd.2の岡山。26日(土)のフリー走行ではその悔しさを晴らすように1分12秒479とトップタイムを叩き出した。

「牧野選手の速くて強い走りが見れる。」
私はそう期待をし、予選を迎えました。

予選でもQ1、Q2と良いペースで勝ち抜き、Q3では4位に。「3位だったら…」と思う気持ちが全くないわけではなかったけれど、2列目からのスタートということで、決勝へのワクワクが止まりませんでした。
「牧野選手がもしかしたら表彰台に乗るかもしれない。去年見れなかった表彰台に…。」そう思うとソワソワして落ち着きませんでした。

しかしそんな期待はスタートしてすぐに壊された。
スタートが非常に良く、2位まで追い上げた牧野選手にチームメイトの大湯選手が追突したのです。

宮田選手のスタートが遅れて、隊列が膨らんだからちょっとした接触が…なんて話もあったが、もはやそういう次元ではない。どう考えても大湯選手のミスに牧野選手、そしてSFに出場する選手の中でも特に注目を集めていたサッシャ選手が巻き込まれたのです。
大湯選手は先月のSuper GT Rd.3の鈴鹿でも追突。オリベイラ選手の通せんぼ具合もどうかと思ったが、二度目の追突となれば話にならない。
しかも今回牧野選手はオリベイラ選手のようにドライビングペースを乱すようなテクニックを使ったわけでもない。勝手にスタートで1つでも抜きたいと思ったのか、無理に頭を突っ込み、左フロントタイヤがロック、そして2人に接触した。

レーサーだから、勝負に対して真剣で、1つでも上のポジションにいきたいと思う気持ちは理解できる。いくらチームメイトとはいえ、負けたくない気持ちもわかる。だけど、だからって無理をして、自分のことだけ考えて走っていればいいのかという話だと思うのです。牧野選手も速いし、負けず嫌いだし、譲らないけど、決してプロとして周囲に敬意を払うスタンスを持たないレースはしない。
もちろん人間だからミスもするし、技術不足という側面もあるかもしれない。でも私はそうは思えない。

理解ができず、もはや謝罪のツイートがなぜこんな言葉遣いなのかということすら気になってくる。「すいません」じゃなくて、「すみません」だろ、と。

牧野選手の気持ちになると本当にやるせない。

悔しくて悔しくて、今でも引きずっています。私は今年もTCS Nakajima Racingの牧野任祐選手を応援していますが、このリタイアの後、怒っている牧野選手の姿を見て、レースへの真剣さ故の怒りと苦しみを感じ、すごく苦しい。
しかもこのレースの優勝者は坪井翔選手。牧野選手ご本人がどう思っているかわかりませんが、ファンからすると坪井選手は因縁の相手。F3の時から切磋琢磨してきた相手が優勝し、自分はリタイア。どれだけ悔しかったか。
牧野選手が他の選手のことをどのくらい気にするのか、ということは正直わかりませんが、繊細な一面も持つ牧野選手だからこそ、心配になります。

レースで勝つって難しい。
ドライバーの技術力があっても、チームとの連携がうまくいかなかったり、コース上の状況がうまくいかなかったりすれば、勝てない。技術力と人柄の部分がちゃんと備わっていないと勝てない、この2年モータースポーツを見ていく中で一番感じていることです。

今日はSuperGT Rd.5の富士スピードウェイ。牧野選手のこれまでの努力が少しでも報われることを願って。
頑張れ。

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おけい

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