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私が牧野任祐を応援する理由

みなさん、こんにちは。おけいです。

この間、高校時代からの友人と酒を酌み交わしていた時、私のオッカケ癖の話になり、最近は色々とオッカケているものの、一番注力しているのはレーサーの牧野任祐だ、と言う話をしていました。

そんな時に友人から
「何にも見返りがないのに、なんでそんなに応援するん?」
と言われました。

見返り、か。
見返りってなんだろう?
国語辞典で調べてみると、

「見返り」
相手のしてくれたことにこたえて何かをすること。
特に、保証・担保・代償として差し出すこと。また、そのもの。

私が牧野選手をオッカケることに見返りはないのだろうか?
そんなことをこの友人の言葉をきっかけに悶々と考え、改めて私が牧野選手を応援する理由や牧野選手からいただいているものを考えてみました。

個人的には何となく「見返り」という言葉は相手から感謝されることを目的として、相手に何かをしている感じがするため、好きではないですが、世間からのオッカケの見られ方の一つを表している言葉だと思うので、このまま使いたいと思います。

「そもそも牧野任祐って誰?」
その声に答えます。 

牧野 任祐(まきの ただすけ)
1997年6月28日生まれ、大阪出身のレーシングドライバー。

「任祐」で「ただすけ」と読みます。
ご本人も以前インタビューで「自分の名前の漢字が好き」とおっしゃっていたが、すごくカッコいい名前です。
そして22歳とまだまだこれからな若手ドライバーです。 

お父様がレース好きだったことから、幼少期よりカートに乗り、その頃から頭角を現す選手だったようです。(一番右の赤メガネくん)

2015年にはFIA F4選手権に参戦し、シリーズ2位。
同年のJAF F4 東日本シリーズではシリーズチャンピオン、JAF F4 西日本シリーズでもシリーズチャンピオン、そしてJAF F4 日本一決定戦でも優勝と成績を残しています。このFIA F4選手権でシリーズチャンピオンになれなかった時、残念ながら当時リアルタイムでは知らなかったのですが、この記事を読んで、私まで悔しくなって泣きそうになりました。そもそも泣いている顔を見るのがつらい。過去のこととはいえ、つらい。泣 

そして同年にはSRS-F(鈴鹿サーキットレーシングスクール フォーミュラ)のスカラシップを獲得。 

SRS-Fは、世界に通用するレーシングドライバーを育成するためのプロジェクトとして1995年にスタート。それ以来、F1などの海外トップレースで活躍できるレーシングドライバーを数多く輩出しています。2015年度のSRS-Fスカラシップ獲得者は、ホンダの育成ドライバー「HFDP」(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)の一員として、2016年度のモータースポーツに参戦する権利を獲得しています。

そして、2016年に全日本F3選手権に出場します。
シリーズでは第5位。
さらには、SUPER GT Rd.6「第45回インターナショナル鈴鹿1000km」にGT300クラスで参戦。

続くSUPER GT Rd.7 タイ大会ではGT500クラスに。武藤英紀選手とともにNSX CONCEPT-GT勢で最上位となる2位表彰台に登壇するなどルーキーながら、メキメキと頭角を現していました。 

2017年よりFIA F3ヨーロッパ選手権に参戦し、戦いの場を海外へ。F1ドライバーになるためのスーパーライセンスに向けて、取得するためのポイントが高いことと、ヨーロッパの代表的なサーキットでの転戦を通して、コースを知りたいという思いもあり、参戦したとのことでした。 

FIA F3参戦の初年度では怪我をしてしまい、欠場もありましたが、シリーズとしては15位という成績を残しました。 

その後、2018年にはステップアップをして、FIA FORMULA F2に参戦。第10戦のイタリア・モンツァのレース1で遂に優勝。予選順位通りのスターティンググリッドで行われるF2のレース1で、日本人ドライバーとして初めての勝利となりました。シリーズとしては13位で終えています。

そして満を持して、2019年より国内カテゴリーに復帰SUPER GTでは、Modulo Nakajima RacingよりGT500クラスに参戦。SUPER FORMULAでは、TCS Nakajima Racingより参戦しています。

私が牧野選手と出会ったのはSUPER FORMULA 2019の開幕戦の鈴鹿サーキットの決勝日。モータースポーツ好きな母と姉と観に行くことになり、私は当時「何が面白いんだか〜…」と思いながら一緒に行きました。

レースがスタートして、横に座っていた姉が語り出します。
「今年から参戦してる福住仁嶺くんが私の推し。めちゃくちゃかわいいんだよ!」と。
どれどれ?と見るものの、当時はそのかわいさがわからず、「へぇ〜?」と。(今はよくわかります、とてもよくわかります。)
「えー!!じゃあもう1人いるんだよ、今年参戦の子が。牧野。」
うちの姉はHONDA推しですので、HONDAの話しかしません。そして教えてもらった牧野選手。「あぁ、私この人の方がいいな〜」と答えた覚えがあります。でも別にその程度でした。好き、とかではなく、かっこいいんじゃん?そのくらい。

しかし、このレースで牧野選手の見方が変わります。

前日の予選でポールポジションを獲得した牧野選手。チームメイトのアレックス・パロウへの注目度が高く、「ルーキーといえば、アレックス・パロウに注目」という風潮が強い中で、「俺がポールポジションだ〜〜!!!!!」と言わんばかりの勝利を遂げたのです。 

そして迎えた翌日の決勝。
「ルーキー牧野がこのまま逃げ切るのか?」
「それともベテラン勢がそれを押さえ込むのか?」
そんな予想が飛び交う中で、スタートしたのです。

序盤は調子が良かったものの、何度も出るセーフティカーに阻まれ、各チームの戦略が裏切られる中で、牧野選手も徐々に順位を落とし、でも3位以内の可能性もまだあるという位置をキープし続けていました。しかし、26周目に4番手を走っていたところ、スプーンカーブを走行中に右リヤタイヤが外れ、コースオフ。そのままクラッシュ、リタイヤとなってしまったのです。

デビュー戦でポールポジションという歴史的な初快挙を成し遂げた後のリタイヤ。明らかなダメージを受けている牧野選手の姿を目の当たりにしました。 

コースからピットまで歩きながら戻ってくる彼を一眼レフのレンズ越しに見ていましたが、私自身も本当にショックでした。ヨーロッパで優勝をし、自信をつけ、「日本で結果を残す」という意気込みを持ち、このシリーズに参戦してきたその想いを予選で体現した矢先にマシンの故障という如何ともし難い理由でリタイヤ。血気盛んな若者の志をそう簡単に遂げさせてはくれないモータースポーツの世界の厳しさを感じたような気がしました。

同時に勝ちにこだわる牧野選手の姿勢に惚れ惚れしたのです。私服とか立ち振る舞いとかちょっとヤンキーっぽいし、先輩の選手たちに対して生意気なことを言って怒られたり、いじられたり。まだまだ人としての伸びしろもあるし、なんなら、もしかしたらヤンキーなのかもしれないけど、でもだからこそ勝ち気でハングリー精神があるドライバーという感じがひしひしとします。

2019年のSUPER FORMULA、SUPER GTでの最高成績はSUPER GT Rd.7での2位。 

なかなかポイントを獲得できず、牧野選手が目指す優勝は手の届く範囲ではなかったのが実際のところでした。牧野選手は速いし、才能があるけど、ドライバーの才能だけではうまく噛み合わないのがモータースポーツ。チームメンバーやエンジニアとの連携、車の状態、天候、すべての要素が噛み合った時に上位に入ることができる。それがモータースポーツです。

勝ち気でハングリー精神旺盛な牧野選手でもシーズン中はこの難しさに打ちのめされていたこともありました。試合後のSNSでは落ち込む姿や心の叫びのような投稿もありました。
「そんな弱音を吐く暇があるなら、勝つために何が必要か考えろ!」
なんて昔のスポ根的な風潮もあるかもしれません。でも人間です。いつも前向きでいられるわけはなく、むしろこうして落ち込んだり、気にしたり、悔しがったり、マイナスな気持ちを吐露する方が内省でき、成長に繋がるのではないかと感じます。

「勝ちたい」
「優勝したい」
「F1ドライバーになる」

そんな夢や目標を、熱い気持ちを、前面に出して、時々挫けながら、必死で目指している牧野選手の未来を私も見届けたい、そんな気持ちで応援しています。


さて、そろそろ冒頭に戻りましょう。

「見返り」

そのワードで言うならば、私は見返りを求めています。
それは牧野選手のドライバーとしての夢の実現。
「あなたを応援するから夢を叶えてください。」
牧野選手を応援することで、牧野選手の才能や人柄に触れながら、牧野選手がどんな風にドライバーとして成長するのか、どうやって夢を叶えていくのか、それを考えるだけで楽しいんです。
「自分ができないことをやり遂げてくれる」そんな気持ちを託しているのも、ちょっぴりあります。私には今叶えたい夢も目標も牧野選手ほどのスケールでは残念ながら持ち合わせていません。普通の会社員だし。だからこそ、牧野選手が私の夢になっていて、彼の夢が叶えば、私の夢も叶うんです。そんな見返りを求めてます。

色んな形があると思います。例えば「応援するから認知してほしい」とか「応援するからもっと有名になってほしい」とか。
でも誰かを、何かを、応援する時。明らかな見返りを求めて応援する人なんてきっとごく一部です。みんな何か心の琴線に触れるものがあったから、応援をしている、それだけのような気がします。応援する気持ちが実った時、一緒に目指していた夢が実現したということであると私は思います。

今の私の想いは「牧野選手には怪我をせず、ドライバーとして活躍し続けてほしい、そして今年優勝してほしい」ただそれだけです。
レースはチームみんなで作るもの、だからこそ良い成績を残すことは人間的成長と切っても切り離せない。今年牧野選手がどんな風にドライバーとして、人として、成長するのか。期待し続けたいと思います。 



おけい

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