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ハイツ推しの会

昨年のM-1グランプリの予選で光り輝くセンセーショナルを巻き起こした女性コンビがいた。

ハイツ友の会だった。

だが漫才の内容は光り輝くどころか、くすんでいた。妬みやそねみが軸にないと面白いと感じ得ない漫才だった。一見、誰もが手を付けていそうな「あるあるネタ」になりそうな学校ネタ、女性独自の偏見ネタ。だが、今まで見たどの女性コンビにも、いや芸人にもない漫才だった。

切り口がちょっと目新しいのもある。

変な素人の発声感(清水さんのほう)が、変に耳に残るのもある。

強い女子なのか、変わってる女子なのかよくわからない声(西野さんのほう)が耳に残るのもある。

自分がムカついているタイプの方を、斜めに斬って異様な断面図を見せてくれる爽快感と不穏感の間の変な胸騒ぎが癖になりそうなのもある。

現に、漫才を見終わってからも、いや、数ヶ月ハイツ友の会のことを見ていないときでもハイツ友の会のことが脳の奥に残っているという脳内パラドックスを引き起こしているのだ。

もちろん、他の媒体でも彼女たちを探す。

You Tube。

専門チャンネルはないようだ。だが、出演しているいわゆる吉本内の他芸人との絡み動画は何個かあった。

全く面白くない。

そもそも、ボケない。二人とも人見知りらしい。

合間にネタ動画を観る。

やはり面白い。

関西では先日、千原ジュニア司会の大喜利番組「座王」に二人が出ていた。二人とも最初の対戦相手に瞬殺されていた。全く向いてない番組だと思った。

合間にネタ動画を観る。

やはり、面白い。安定剤のようだ。

少し前に、今田耕司オススメ芸人と称されて大きな番組にも出ていた。

何を言っていたのか覚えていないくらい、記憶にない。

先日、千鳥のネタ番組に出ていた。ネタのみの出演だ。

すこぶる面白かった。

なぜ、こんなにムラッ気なんだ、ハイツ友の会。

いや、答えは単純だ。二人だけの世界観に入ったネタでしか、彼女たちはまだ面白さを伝える手段を持っていないのだ。

そう、今は彼女たちのハイツに他の芸人が入っている姿がまだ想像できない。

二人だけのハイツにするのか、マンションになっていくのか、いったいどのように変容していくのだろう。

エレベーターはつけるのか、ラウンジはできるのか、大家さんは常駐するのか、今後が楽しみだ。

あぁ、駄目だ。

こんな、お前何様文章を書いていると、私も変な断面図で斬られてしまう。

あぁ、駄目だ。こんな「斬られてしまう」と自分で被害者になれると思いがっているやつは変な断面図で斬られてしまう。

駄目だ。 

そうだ。逃れられないのだ、ハイツ友の会からは。

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