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くもりのち雨でも Day3 ~瀬戸内国際芸術祭2022(大島、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)


大島の旅のちょっとした情報

・小豆島→高松(高速船 1190円)
 高松→大島(専用高速船 無料)
・島に滞在していた時間:3時間35分
・小豆島から高松港に着き、すぐ旅客ターミナルビルに手荷物を預けて島に渡った。 ◇小サイズ(300円)、中サイズ(400円)、大サイズ(500円)

大島をあるく、そしてアート

ここは国立療養所 大島青松園がある島だ。
僕はハンセン病のことも、こういう療養のための島があることも知らなかった。この島に渡るとき乗った船では、乗客全員が下の階に誘導された。まず気になったのは船内の匂い、病院のあの薬品っぽい匂いがしていた。そして備えられてる窓は2mくらい高いところにあり、外を眺めることは許されなかった。飲食や会話も禁止されていた。観光客だけではなく、青松園の関係者の方も乗っており、妙な雰囲気がそこにはあった。

島に着いて、まずはガイドの方から島の案内を受けた。(※当然マスクをしていたけど、ガイドの方の雰囲気やスタイルが僕の好みで、久しぶりにちょっとドキッとしてしまった。)
車一台分くらいの幅の島の道路には白線が中央にひかれ、道路のサイドには手すりが設けられていた。そして柱(電信柱?)にはスピーカーが設置され、そこから常に音楽(ふるさと)が流れていた。それらは視力の低い患者(正確にはこの島にいる方は回復者と表現するのが正しい)のために設けられているとのことだった。
かつてハンセン病の患者は感染することを恐れられ、強制的にこの島に連行されてきた。そして島から出ることを許されず、一生ここで過ごす歴史があったそう。今では治せる病気となっており、その扱いが誤りだったとなってはいるが、差別や偏見から今でもここに暮らす回復者もいるようだ。国によってその方針が取られてきたというのは恐ろしい事実だと思う。島の中には宗教地区があり、そこには神社や教会がかたまって建っていた。当時は島に着くとどの宗教に属すか選択を迫られ、それによって亡くなったときの対応が決まったそうだ。火葬場、納骨堂も島内に設けられていた。夫婦になる人もいたそうだが子を持つことは許されず、中絶しないといけなかったため、生まれてくることのなかった子供たちのための鎮魂碑まであった。当時はもちろん脱走を試みる人もいたようだ。

そんな背景をもつ島のアートは、どれもその歴史と結びつきがあるものばかりで、見ていてちょっと胸が苦しくなった。この島に来て、こういう歴史があったということを知り、人は時に集団であったとしても誤った認識に流されてしまうことがあり、それにより悲しい思いをしてしまう人が出てくることもあるということを忘れないようにしようと思った。

白線とかたつむり
船に備えられた窓

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

・高松駅→丸亀駅(JR四国 片道560円)
・入館料 パスポートがあれば団体料金に。

瀬戸芸とは関係ないけど、僕にとってここが一番行きたかった場所だ。昔、渋谷のBunkamuraで見た展覧会が印象的で、そこから好きになり、ずっと来たいと思っていた。そしてやっぱりすごく感動したのと同時に、すこしだけ苦しくもなった。子供の遊びみたいに自由に描かれた絵でありながら、その構成はデザインのように洗練されている。猪熊さんは、”Confusion&Order(混乱&秩序)”と自身の絵について語っていた。「どう、僕はこれだけの自由にたどり着けたよ。」と投げかけてきているようにも感じた。それはやっぱりどうしても憧れてしまう猪熊さんの魅力(猪熊さんらしさ)だった。かっこよかった。胸に留めておくためにもと、ポスターやTシャツ、ポストカードを購入して美術館を後にした。一鶴本店の骨付き鳥とビールで心も体も満たされて、ホテルに帰った。


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