セラミック矯正をした結果、死にたくなるほど後悔している話

1年ほど前にとある大手歯科クリニックで反対咬合を治療するという名目で前歯の上4本と下6本の計10本がセラミックに置き換わりました。
1年経った現在、前歯10本をセラミックに置き換えたことがどれだけ愚かな行為だったか理解し、今では死にたくなるほど後悔しているため、私のような犠牲者を出さないために、これを読んだ方が被害に遭われないために体験談として書き残すことにしました。

まずはじめに、タイトルにもある"セラミック矯正"という言葉は施術を受けたクリニックでサイトの広告やカウンセラーが実際に使用していたもので、施術を受けた現在では、歯列矯正の枠組みで歯をセラミックに置き換えて見栄えだけ良くすることを矯正と言うのは、患者を騙す悪質な行為であると思っています。
"セラミック矯正"という言葉は、本来の"矯正"という言葉の意味には相応しくなく明らかに誤った表現です。
セラミック矯正と謳って施術を行うような歯科クリニックは、全くもって信用してはならないということを多くの人に理解して欲しいです。

あと、特に反対咬合と言われる症状の方はセラミック矯正という言葉に騙されて絶対に施術を受けないでください。
そもそも反対咬合に対してセラミック矯正を選択させる行為自体が間違っており本質的な解決になんらなりません。
そして、私のように大金を支払って一生解決出来ない後悔を買うことになります。

そもそも一般的に言われる歯列矯正では、ワイヤー矯正のイメージが強いですが、最近では矯正器具が目立たずに矯正できるマウスピース矯正などがあります。
これらの施術は、年単位の時間をかけることで自前の歯を根本からゆっくり動かして無理なく歯並びを正常な状態にすることができます。

それに比べ、セラミックに置き換える施術では、短期間(私の場合は3ヶ月程度)で施術が完了する代わりに、置き換える歯の歯茎から上の部分を削り落とし、削った歯の代わりにセラミックを被せてあたかも歯並びが良くなったように見せるという施術です。
つまり「矯正したい」という患者の要望に対して「セラミックで矯正しましょう」などと語るクリニックは、患者の要望を本質的に解決しようとせず、故意に患者を騙し高額な施術費用を請求している最悪な行為を行っているということです。

なぜ矯正をしようと思ったか

私の場合は、下顎前突症で反対咬合であり下の歯が上の歯より前に出ている状態になっていました。
これをコンプレックスと感じていたこと、またこの状態が続くと発音/滑舌の悪化や咀嚼不良によって口腔状態の悪化の原因となり将来的に歯周病リスクが高まったりと影響が出ることもあり20代のうちに治療して将来そういった影響がでないようにするために歯列矯正を考えていました。

セラミックを選んだ理由

反対咬合を治療したいという要望をもとに、施術を行った歯科クリニックで初めカウンセリングを行いセラミック矯正を勧められたためです。
当時は、「専門家の言うことだから安心」と何故かそのカウンセラーが言っていることを疑いもせず、あたかもその施術が最適かのように感じてしまい、そのままセラミックに置き換える施術を契約しました。

契約にあたりカウンセラーから言われた内容としては以下のものです。

  • 施術に必要な箇所だけ歯を最低限削ります!

  • 半永久的に使用できます!

  • 歯並びが綺麗になります!

  • 矯正が短期間で終わります!

  • 私もセラミックにしてますがやってよかったです!

書き出してみるとかなりの営業トークですが、それを専門家に言われていると思えばどうでしょうか。
歯列矯正だけでなく、多少なりともコンプレックスを抱えている人であればこういったメリットを並べられてそれがあたかも自身にとっての正解であると認識する人は多いのではないでしょうか。
私の場合も同じで、端的に言えばメリットだけを伝えられ、それを信じてデメリットもよく認識出来ないまま契約させられました。
当のクリニックは、患者への説明責任も果たさずに施術を受けさせたのです。
私自身も事前調査が不足していたことは自覚しておりますが、説明責任を果たさずに無知な患者に付け込み故意にセラミック矯正を選択させるように促すことは合ってはならない行為だと思います。

特に最後のカウンセラー自身がセラミックにして良かったという施術と関係ない話ですが、このセラミックにする方法で私がコンプレックスに感じていたことを直している人が目の前にいるから安心と錯覚させられ、契約を後押しするきっかけになりました。

今になって思えば、少なくとも歯医者ではないただのカウンセラーが口腔状態を確認して施術内容を決定すること自体おかしい話だったんです。

なぜ後悔しているのか

簡単にまとめますが、セラミックにしたことで後悔している点は以下です。

  1. 施術後から老後にまで半永久的に使用できるものではない。

  2. 健康な歯を9本も削られ抜髄までされた。

  3. "矯正"ではなくセラミックに置き換えるだけ。

  4. 施術費用が高い。

  5. 施術後にかかるメンテナンス費用が高い。

  6. 施術後から毎晩ナイトガードが必要。

  7. セラミックの歯と自然の歯で色が異なる。

1.施術後から老後まで半永久的に使用できるものではない。

これは実際に1年間使用して一番強く感じた点です。
というのも、この記事を書くにあたった一番の理由が、先月食事を取っていた際にセラミックに置き換えた箇所(上の前歯4本)が壊れたことです。
施術を行った歯科クリニックのカウンセラーや歯科助手からは「セラミックは半永久的に使用できます」と言われていたのに対し、実際に使用してみると1年も経たず壊れてしまいました。
正確に言うと壊れたのは、セラミック本体ではなくセラミックを被せる時に削った歯と接着するために使用するセメントが壊れていました。(患者からすればどっちにしろセラミックの作り変えとその分の料金が発生するため変わらないです。)

この時に私は、カウンセラーや歯科助手が「セラミックが半永久的に使用できる」と断言してしまっていることについては、契約にあたり患者に大変な誤解を招く表現で詐称行為です。
素人が検索をしただけでも、半永久的にという説明はセラミックという素材の経年劣化における耐久度が半永久的なだけだということがわかります。
それをあたかもセラミックに置き換えた歯が1度施術すれば死ぬまで一生使用出来るといった表現を歯科従事者が使うことに強い違和感を感じています。
半永久的に使用できない根拠として、セラミックの耐久性や接着剤に使用するセメントの耐久性というセラミック側の問題と、虫歯や歯周病や歯肉退縮などの自前の歯の問題の両方があります。
つまり、これらの問題を踏まえると、人が一生を過ごす上でずっと同じセラミックを使用することはまずできません。

そもそも、本当に半永久的に(60年~70年程度)使用している方を、現代の歯科クリニックに勤める方が担当している訳無いですよね。
これらの説明が、施術を行った歯科クリニックの関係者からは全くなかったことに今更ながら驚きを隠せません。

2.健康な歯を9本も削られ抜髄までされた。

施術内容が歯を削って代わりにセラミックを被せるという施術なので当たり前と言えば当たり前なのですが、削った状態の歯はかなり悲惨な状態になります。
この状態の画像などを前もって患者に見せるだけでも契約をとどまるきっかけになるのではないかと思っています。
歯科クリニック側としては契約してもらえなくなる可能性があるから極力みせることもないのでしょうが。私も歯科クリニックに通っているときはみせられることはありませんでした。
もちろん最終的にはセラミックが被さるので見た目だけで言えば施術前より綺麗になるかもしれませんが、その裏で自前の歯がそんな状態まで削られるということを患者は施術前に理解しなければなりません。

私の場合は、施術前は上前歯の1本が10年ほど前から半分かけた状態で差し歯だったのですが他の9本については破損もなく健康な歯の状態でした。
その状態から差し歯だった歯を含めて計10本の歯を削られ、さらに抜髄まで行われた行為がどれだけ歯に負担をかけるのか、当時の私は理解出来ていませんでした。
健全歯を削るときも、抜髄を行うときもその行為に対してのデメリットの説明は全くなかったです。

そもそも歯科関係者であれば、「反対咬合を治したい」という患者の要望に対してセラミックに置き換える手段を提案するのは、まずありえない話で本質的な解決にならないことぐらい理解しているはずです。
まずは、ワイヤー矯正やマウスピース矯正など自前の歯で出来る矯正本来の意味を持つ施術を提案することが当たり前だと思いますが、真っ先にセラミックでの置換えを提案して患者を騙し施術を担当した歯科クリニックをいまはひどく怨んでいます。

万が一、芸能人のように見た目だけを治すことが目的だとしても、健康な歯を削ってセラミックに置き換える方法は、歯科業界全体で禁止にすべき行為だと思っています。
セラミック矯正は、医療という行為からは程遠く患者の健全歯を削り、ときには抜髄まで簡単に行い、歯をボロボロにさせます。
口腔状態が健康寿命にも影響することが分かっている現代で、このような行為を行うことは患者の寿命を直接削っているといっても過言ではないです。
今では、"セラミック矯正"が違法でない理由がわからないぐらいです。

3."矯正"ではなくセラミックに置き換えるだけ。

冒頭でも記載しましたが、セラミックは矯正ではなく見えている歯を削ってセラミックで上から被せるだけで根本は施術前後で変化しません。
つまり矯正でも何でもなく、表面上歯並びが良くなったように見せるだけの施術です。
これを歯列矯正の枠組みの中に置いて説明を行うことは、患者へ故意に誤認識を与える悪質な表現です。
そして、まんまと誤解した無知な私は、本来やりたかった「反対咬合を歯列矯正して根本から治したい」というコンプレックスを一生解決できない状態になりました。

特に反対咬合の方は、矯正ではなくセラミックを被せる施術を行うと、歯茎から先の部分を上の歯は前に、下の歯は後ろに無理やり置き換えるため、歯全体をレントゲンで横からみると、一直線ではなく、くの字や逆くの字のような歪な形をすることになります。そうすると、ものを噛んだときの力に歪な形状の歯が耐えられず破損する可能性が大きく上がります。
実際に私は、1年と経たずに壊れています。

4.施術費用が高い。

私の場合は、セラミック10本分と施術途中で必要になった歯肉形成やホワイトニングとカウンセラーに言われるがままオプションも追加してしまっており、合計で約120万円ほどかかっておりセラミックが壊れたいまもまだローンで支払いをしています。
これは施術前に見積もりが出るので分かっていたことではありますが、いまではセラミックのデメリットを加味して高い金額を支払って一生解決することの出来ない悩みを買ってしまったと思っています。
高い金額を支払う分それ相応の対価が得られると思っていたのに、誰だってこの額を払って一生付きまとう悩みを買いたいなんて思わないですよね。

特にこの施術費用自体については、ワイヤー矯正などもほぼ同じ価格帯になることもあるかと思いますが、施術費用自体を比較することにはあまり意味はないと感じています。
というのも後述する施術後の費用がセラミックとそれ以外の施術では大きく変わると考えているからです。

5.施術後にかかるメンテナンス費用が高い。

2022年現在では、歯列矯正にざっと見積もっても約100万前後の金額がかかることがケースとしては多いと思います。

その施術費用で比較している情報をよく目にしますが、比較すべき金額は他にもあります。
それが施術後のメンテナンス費用です。
ここに言及している歯科クリニックはほとんどなく、歯科業界全体が施術さえしてしまえば施術後の患者のことは何も考えていないことがよく分かります。
患者目線からすると施術内容や施術自体の費用もそうですがその後の費用も検討材料として提示される必要があると思います。

ワイヤー矯正やマウスピース矯正などは自前の歯で矯正を行うため、施術後に以下のような事象が仮に発生したとしても保険が適応されます。
※私の場合、前歯を施術しているため前歯に以下の事象が発生した場合として考えてください。

  • 歯が破損した(折れる、欠ける)

  • 虫歯になった。

  • 歯周病になった。

  • 歯肉退縮がおこった。

それに比べ、セラミックに置き換えた箇所が前歯であることも踏まえると同じような事象が発生した場合に保険が適応されません。
また、セラミックを残した状態のまま施術をすることはできないため、都度セラミックの作り直しが必要になります。
しかも、複数並んでいた歯をセラミックで置き換えた箇所は、1本1本が独立した歯ではなく連結した状態で被せるため、私の場合は下の前歯が1本だけ破損した場合でも6本分(約60~80万円)の作成費用が必要になります。
それに加えて、セラミックの置き換えであればまだマシな方で、歯根破折などになればインプラント(1本30~50万)などの更に高額な治療方法を取らざるをえない状況に陥る可能性だって大いにあります。

私の場合、破損などしないように大事に使用していたとしても、普通の食事を取っていただけで1年ほどで壊れたのです。
極端な例ですが、これが1年おきに起こると仮定すると毎年約100万円(10本分の費用)を支払う可能性だって無いとは言い切れないということです。
実際には、セラミックを置き換えるたびに自分の歯を削る必要があるのでセラミックに置き換えができるのは1~2回程度しかないです。
毎年100万円を治りもしない歯のために支払える心の広い大金持ちであればいいかもしれないですが、私のような庶民では到底支払えませんし、お金だけではなく時間も体力も心労もかかります。

私の場合でも、5年後にセラミックが壊れて被せ直したとして150万、抜髄まで行っているため、10年後にはセラミックが被せられずすべてインプラントにした場合400~600万、インプラントも10~20年程度しか持たないためその都度最大600万必要になります。

10年ごとに600万として、月額にして5万円も治らない歯のためにお金を払わなければならないのか。そんな可能性を孕んだ負債を抱えたと考えながら私は生きて生きなかればならなくなりました。

6.施術後から毎晩ナイトガードが必要。

ナイトガードは就寝中に着用するマウスピースで、毎晩使用しなければならないです。
ナイトガードを使用する理由として以下の説明を受けました。

  • 就寝中無意識に行う歯ぎしりなどで歯が破損することを防ぐため

  • 施術した歯がもとの歯並びに戻るのを防ぐため

毎晩着用しなければならないのは、患者にとって非常に大きなデメリットです。
もちろん毎晩の着用するという行為自体もデメリットですし、
ましてや私が施術した内容はマウスピース矯正ではありませんしね。

しかも、私がナイトガードが必要であると歯科助手から伝えられたのは驚くことに施術後でした。
その際、歯科衛生士から「ナイトガードを購入しないと保証が付きません」と伝えられ購入せざるをえませんでした。

私は今後一生、マウスピース矯正をしている訳でもないのに、1日の約1/3の時間マウスピースを着用しなければいけなくなります。
これを説明せずにこの歯科クリニックは患者へ施術をしたんです。こんなことまかり通っていいんでしょうか。

7.セラミックの歯と自然の歯で色が異なる。

私は、セラミックに置き換えた箇所が歯の全てでは無いため、セラミックの箇所と自前の歯が混在している状態です。
セラミックにした箇所は不自然に白く、もとの歯の色ともトーンが異なっています。
施術前は「もとの歯をホワイトニングで白くしてセラミックと同等の色合いにします」とクリニックの方に言われましたが、初めてセラミックをはめたときに元の歯と色合いが異なることに気づき、それを伝えたところ「セラミック後でもホワイトニングには可能なのでもとの歯を白くしてセラミックと同じ色合いに近づけられます」と言われました。
施術時点で色合いが違うことを指摘したにも関わらず、謝罪すらなく更にホワイトニングを要求してきたのです。
患者のお金は湯水の如く湧いてくるようなものではないですよ。
コンプレックスを直したいという気持ちにつけこんで「患者からお金を搾り取れるだけ搾り取る」そんな魂胆なんでしょうか。

今も、色合いが異なることでセラミックと自前の歯の境界が見えたときに、他人からみてもパッと見でセラミックなんだなと気づかれるレベルで異なっています。私は人前で歯を見せて笑顔になることができなくなりました。

私のように、施術直後で色合いが異なるケースは最悪だと思いますが、年数を重ねると誰しも自前の歯の色合いが白から黄色よりに移っていくので、同じような問題に直面すると思います。

最後に

ここままで読んでくださりありがとうございました。

私が歯列矯正を検討していた際に、検索をかけても上位表示されるものは"セラミック矯正"という言葉を広告に掲げた歯科クリニックのページや、「芸能人の誰々もやっている」といった上っ面だけの情報で埋め尽くされ、こういった実際の体験に基づいたリアルな話を目にすることがなかったので、私の体験談が少しでも歯列矯正を検討する方の役に立てばと思います。

私の歯は、今回施術された前歯10本全て抜髄も行われているため絶望的な状態で、近い将来早ければ20代のうちにでも前歯を完全に失う可能性が高いです。失った歯は一生取り戻せません。
私は、高額な費用を払い前歯10本を奪われ、元通りにならない前歯のためにさらに高額な費用をかけなければいけなくなりました。
この負債を抱えたまま生きていくことは今の私には受け止めきれない現実のため、今後どうやって生きていくか、そもそもこの辛い現実を生きる必要があるのか。毎日考えています。

今はまだ芸能人がセラミック矯正したことをプラスのイメージで取り上げる事が多く、メディアもデメリットや警鐘を鳴らすことがないため悪質な歯医者が一般人をカモにしてセラミック矯正を行い利益を上げている無法地帯になっています。
被害にあったと自覚したときには時すでに遅く、数年から数十年経ったあとに歯がボロボロになっていることに気付き多額の負債を抱えていることに気がつくのです。
歯科業界の方はこの現状を理解していながら利益のためなら不幸な人が増えても見て見ぬ振りを続けるのでしょうか。
この一件を経て私は歯科業界全体を信頼できない状態にあります。

施術前の私と同じ状態でなくても、歯にコンプレックスを抱く気持ちは痛いほどわかります。
ただ、あなたのその気持ちにつけ込んで患者のためを思わず施術を行う悪徳な歯医者に当たらないようにと切に願っています。

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