数学から生き方を学ぶ
数学を勉強する理由ってなんでしょう?誰しも一度は考えたことありますよね. アカデミックな話をすればあらゆる場面で数学が顔を出しますが,私は「数学から生き方を学ぶ」ことができると思います.スケールの大きな話ですが,私は本気でそうだと信じています.ここではあえて難しい話はせずとても簡単な例を交えてお話します.受験や塾講師を経験する中で私が思う,数学を勉強する理由の1つを,ここに記します.
数学を勉強する高校生にとっては,数学の成績を上げる大きなヒントにもなるでしょう.そうでない方にとっては,数学の学習が今のあなたにどう影響しているのかがわかるのではないでしょうか.お子さんがいる方は「数学なんて大人になって使わないじゃん」と言われた時のために読んでみてください.
1.数学は何の役に立つのか?
一言で言えば
「充実した生き方をするため」
です.もっと詳しく言えば
「あれこれ情報を吟味して,得する選択肢を見つけるため」
でしょうか.わかったようなわからんような,抽象的ですね.具体的に説明する前に,「数学の問題が解けるとは何なのか」ということからお話します.
2.方針が手順を決める
私が生徒を指導するとき,最初にこんな質問をします.
「ここ(塾)から3つ隣の駅まで,どうやって行く?」
私が働く塾は田舎の駅前です.たいてい「電車で行く」と返ってきます.
電車を使った行き方について,生徒に詳しく説明してもらいます.整理すると大体以下のようになります.
①歩いて駅に行く.
②PASMOをチャージする.
③乗るべき電車を調べる.
④電車に乗る.
⑤目的の駅で降りる.
5つも手順がありました.現実ではわざわざこんなこと考えないですよね.「電車のるかー」って考えるくらいです.この「電車に乗るかー」こそが,「方針」にあたります.電車に乗ることを決めたら,後は特に何も考えずにすべきことが決まります.これが「手順」.5つあった手順も,ほとんど無意識にできてしまいますよね.
「電車に乗ると決まればあとは簡単!」これがポイントです.言い換えるならば「方針がつかめれば,その手順は自然とわかる!」ということです.方針がめっちゃ大事で,手順はそのおまけにすぎません.ラーメン食べたかったらラーメン屋に行くしかありません.じゃあ,どうやって方針を掴むのでしょう.
3.方針の選択肢を比べる
先ほどの電車の例に戻ります.目的の駅まで行く方法を列挙してみましょう.
電車・徒歩・自転車・タクシーについて特徴をまとめました.タクシーなんて駅前まで拾いに行くなら電車乗れって話です.タイムイズマネーの人なら自転車や徒歩のコスパは低いかもしれません.総合的に考えて電車がベストな選択肢ですね.大事なのは「方針の特徴を吟味して,ベストな選択をすること」.でも,方針の特徴を捉えて比較することができないと,次のようなことが起きます.
「東京駅から仙台駅まで行ってください.」と言われた時に,思考停止的に鈍行の列車を使ってしまう.めっちゃ時間かかる.新幹線や夜行バスなどの選択肢を持っていれば,「急いでいるから新幹線」,「時間はあるから夜行バス」といった,状況に応じた方針の選択ができます.
ここまで,超簡単な当たり前の簡単な話をしています.これ,実は数学の問題とリンクしています.
4.数学も同じようなこと
数学も同じです.ある値を求めるのにいくつか方針があって,その中からベストな方針を選んで,手順を踏む.これが「数学の問題が解ける」ということです.2次関数の最大値が知りたかったら,「グラフを描く」という方針を掴んで「平方完成する」という手順を踏むだけです.数学の問題は8割がこの方針を掴むことだと思います.残り2割は途中計算とかです.難しい問題は方針→手順を何回か繰り返さなきゃいけません.
方針を意識することは,数学を解く上でとても大切です.方針が立たなきゃ手順なんてわかりません.「二次関数が出てきたから,とりあえず平方完成をしよう」ではありません.「二次関数の最大値を求めなきゃだから,グラフを描くために平方完成しよう」と考えなくてはいけないのです.何も考えずニンジン切りますか?「夕飯カレー食べたいからニンジン切ろ」と考えてから切りますよね,話のスケールの大小はありますけど,それと同じです.
5.数学 = 人生
数学は選択の連続です.問題に対して方針の選択と手順を踏むのを繰り返します.
人生も選択の連続です.したいことを実現するために目標を選んで努力する.
人生ってなんだか数学に似てませんか?「したいこと」が「問題」で,「目標」が「方針」で,「努力」が「手順」で.「したいこと」が「焼肉食べたい」という些細な願いだったり,「医者になりたい」という大きな夢だったりします.
医者になりたかったらどんな目標が必要でしょうか?医学部に行く,患者の気持ちがわかるようになる,世界の医療事情に目を向ける,たくさんあると思います.その中から1つ目標が定まれば,あとは何に努力を注げば良いのか,その一歩を踏み出すことは簡単なことではないでしょうか?
数学1問1問が人生の縮図だと思います.方針(目標)を的確に掴み,正解を得るために,何百時間も何百問も問題を解きます.数学は方針がなきゃ手順は踏めません.人生だって目標がなきゃ努力はできません.「夢に対して目標を立てる」ことが,努力をする秘訣だと思います.
このように,数学で生き方を学ぶことができます.でも,数学ができないからといってダメな生き方しかできない,と言ってるのでは決してありません.「数学さんが生き方を教えてくれるぽいんよ,少しは数学に興味湧いてこない??」くらいのささやかな願いです.数学が嫌いな高校生の皆さん,数学やったの意味なかったなと思う社会人の皆さんの数学への認識を,少しでも変えることができたら私は嬉しいです.
6.おわりに
ここまで読んでくださった方,本当にありがとうございました.私はこれが初めての投稿です.後半,人生が〜とか書いてて自分で恥ずかしくなりました.人に読んでもらう文章を書くこと,自分の思いを言語化することの難しさを身に沁みて実感しました.どんなことでもいいのでダメ出し,感想等いただけると幸いです.
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