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『史上最強の大臣』


前作『史上最強の内閣』の続編。

前作は安倍政権、麻生政権のパロディだったが、本作は菅、鳩山、野田と。

もちろん、政治エンタメの一作ではあるが、小説の形式を借りた教育論的が展開される。

作中の「子供を通して未来を託す」「次の誰かのために」という一節には胸を打たれる。

ゆとり教育だとか、戦後教育、受験戦争、道徳教育、食育、その他諸々。

世代によって実に価値観は様々だ。

ご存命の戦中派もいれば団塊世代、団塊ジュニア、ゆとり世代、さとり世代。

資本主義と社会主義となると、すぐに右だ左だ、排斥だ、周辺国への配慮、軍国主義、靖國参拝、慰安婦問題とまるでオモチャ箱をひっくり返したように、本筋とは異なる論議が持ち上がる。

しかし、本書では非常に分かりやすく、元来、村社会としてきた日本の、他人を思いやる心、自分の利益よりも他者へ気配りを優先する、和をもって尊しとなす、これが言わば出来た社会主義である、と語る。

断片的で一方通行な見方では、建設的な議論は出来ない。

教育というものが、如何に大切か、また、成果が見えにくく、それらに携わる方々が大変か、そして尊いかを改めて認識する。

きっと、青臭いと一笑にふす人もいるかもしれない。しかし、個人的には「先生」だけでなく、万人におすすめしたい一冊でした。

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