見出し画像

60代ASD、初の海外(トルコ)に挑む(15)トロイア1


昼食とランチョンマット


そんなわけでトロイア遺跡近くのレストランで昼食を取ったの時には14時を回っていた。まあ、このツアーで昼食が遅くなるのは珍しくはないが、心はトロイアへと奔っている。

肉団子(キョフテ)。美味しかったが2つで満腹だった。ピラフとポテトも美味しい。

紙のランチョンマットが素敵な絵柄だったので、汚さないうちにと引き抜こうとしていたら、お店の方が新しいものをくれた。(撮影は後日自宅で)

ランチョンマット。絵柄はオリジナルというわけではないようだ。トロイアの城壁には縦の段差(鋸歯状垂直オフセット)が描かれている。
右から総大将アガメムノン、「イリアス」の主人公アキレウス、老将ネストル、知謀豊かなオデュッセウスと5人のアカイア(ギリシャ)方が並ぶ。アキレウスに髭がない(少ない)のは若さを表す古来からの手法。
左からヘレネの夫メネラオス、ヘレネをトロイアに連れてきた王子パリス、パリスの兄でトロイアの総大将ヘクトル。メネラオスがほかのギリシャ方と離されているのは不思議。パリスはフリギア帽をかぶっている。

昼食を取りながらランチョンマットの図柄について周りの人たちと話す。もうそれだけで楽しい。

トロイア博物館


この博物館は2018年にできたばかりで、収蔵品もそう多くないという話だった。遺跡と博物館の入場時間の都合で、こちらを先に見ることになった。

かなり大きな建物で、この先に遺跡がある。

入館前の長いエントランスにあるガイダンス。わかりやすい。ほかにも一部出土品などが見られる。

初期のトロイア海に面した小さな都市だった。
発展したトロイア。さらに城壁や建物が築かれている。
幾重にも重なったトロイア城市。トロイア戦争が起きたのは第6市(赤色)かその上の第7市の時代と推測されている。

内部は広く、展示は思いがけず充実していた。そして名だたる遺跡であるため訪れる観光客も多いのだろう。解説や動画なども工夫されている。
それにしても時間が限られているのが惜しい。私はとにかく館内を巡って写真を撮りまくった。

出土品

近隣の出土品も展示されている。スミンテウス神殿のものらしい。
近隣の出土品。トロイアが孤立していたわけではないことがわかる。
エロース像(ヘレニズム時代)
赤絵式の壺。上段の有翼の女神はイリスかニケかもしれない。
金、琥珀金製品。紀元前30から20世紀のもの。トロイアはその時代からあった。
紀元前7世紀ごろの金製品。イヤリングやネックレス。
金製の花冠。
石棺のレリーフ。イノシシ狩りらしい。

解説

ダーダネルス海峡の港町だったトロイアは、川の堆積によって海から離れてしまった。
青銅器時代後期の交易の様子
青銅器時代後期の交易船。おそらく天候の好適な夏季にのみ航海していたようだ。
青銅時代後期の勢力図。トルコ中央部はヒッタイト帝国が占めていたが、トロイアやエフェソスも西部に勢力を持っていた。
トロイア戦争。アカイア(ギリシャ)方はトロイアの正面ではなく裏の浜に上陸したと推定されている。
当時の機(はた:織り機)。立って左右に往復しながら織る。こうすると横幅の広い布を織ることができる。衣類にはウールや麻が主に使われた。

「イリアス」では、城内の自室で機を織っていたヘクトルの妻アンドロマケが、外から聞こえてくる騒ぎを耳にして夫に何か起きたことを悟り、はたと「杼(ひ)」を取り落とす、という実に印象的なシーンがある。

まだまだ見ていたかったが、これでは遺跡本体に行きつけない。ミュージアムショップにまだ図録がないことを残念に思いながら、博物館を後にした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?