こんにちは
イデアレコードの左川です。

昔、電通で働く先輩に声をかけられて社内イベント（飲み会）の映像作成をお手伝いしたことがある。映像の性質上、部長やリーダーの方にも絡むことになったのだが、単なる社外の若造である自分に対する心遣いや配慮、丁寧さは想像を超えるものであり、今でも良い思い出として刻み込まれている。

本書はそのDNAの一部である「会食」について細部まで落とし込んでマニュアル化されたものである。企業秘密が流出しているんじゃないかと思うぐらいの内容だ…

おそらくこの本に書かれているようなことをこれまで実践してきたことがある人は少ないはずだ。準備から当日の注意点、アフターフォローまで工程ごとに細かくやるべきことと心構えが記されている。「ここまでやらなくてもいいだろう？」と思うのが普通であるが、ここまでを当たり前のようにやるのが電通だ。相手の想像を超えることに楽しみを見出し、数多くの飲み会を通してファシリテーションとコミュニケーションを磨き、自分の結婚式をも自分をアピールする場として活用しながら、ビジネスを推進していく。
こんなやり方や価値観は古いという意見もあるだろうが、ここまで考えて実行してくれた相手は絶対に嬉しいし、良い思い出となって活き続けていくことも事実だ。かつての自分がそうであったように。

自分としてはマニュアルにあるチェックリストやフレームワーク、メールテンプレートは便利で嬉しいが、本書の神髄はその会食を遂行するあたっての心構えにあると思う。「会食の核心は、他者への想像力と確固たる意志」とあるが、相手の喜ぶことを徹底的に想像していくこととどんなことでも手間暇かけて実施していく意思は非常に重要だ。そしてこれはビジネスにおいても同様である。そして、「会食」に対してここまで徹底できる人物であれば、ビジネスでもきっと良い結果を残してくれるはずと自然と思うことであろう。

本書は「会食」というものを通してビジネスを成功させるための心構えを記したものだ。今のZ世代からすると「は？」と思うようなことも多々あるだろう。だが、その中でこれを実践することで間違いなく飛ぶ抜けた存在になるはずだ。
幹事になって悩んでいる人はもちろんのこと、会社でうまく立ち回りたい人やビジネスを成功させたい全ての人に読んで欲しい一冊である。