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#日常の解像度 〜断面の美学〜

普段何気なく見ているものでも、実は視点を変えると奥深い叡智が詰まっていたりする。そんな風に、見過ごしがちな物をじっくりと掘り下げてみる #日常の解像度 という不定期連載、久々の更新はちょっとイレギュラーな建築廃材の話。

みなさんは、今お住いの家の建築構造を理解しているだろうか?

あなたが今いるその床は、どうやって支えられているのか?壁は?柱は?

地球上の島国である日本、その地面=土を舗装したり砂利なんかで造成したりして、給水・排水配管やら電気の幹線やらガス管なんかのインフラを引っ張り込んで、さらに構造的に耐朽性のある住める箱として作られている住居。

でも、その住居がどういう理屈で作られているのかは、専門家でなければ理解はしていない。

もちろん、理解していなくても住めるし生きていける。それでも全然構わない。構わないけれど、なんでそうなのか?と気になり始めると調べずにはいられない。


さて、これは何だろうか?一目見てわかった人は工事現場にお勤めの方か、よほどのマニアだろう。

これはコア抜きというRC構造の壁や床をくり抜いたものだ。つまるところ建築廃材であり、壁にストローさして抜いたヤツみたいなもんである。

コアドリルという円形のノコギリ刃のバケモノみたいな機械でくり抜くのだけれど、実にキレイに抜けている。

何度もいうけど、これはゴミだ。工事現場の人からすれば廃材であり、産業廃棄物である。

でも、僕は初めてこれを見たときに、すごくキレイで不思議なオーパーツのように見えた。

きっと文明が滅んで数千年たってこれが掘り出されたら、未来の人たちは驚くだろう。一種の宝石みたいに扱われるんじゃないだろうか?そんな妄想すら捗ってしまう。


これは吉祥寺のお店の外壁を抜いたヤツだ。

記念になるお店のコア抜きだったので、産廃にはしないでもらってきて飾っている。

この時はエアコンの冷媒管とドレン管を通す為だったので、穴の太さはちょっと細め。スリムな感じもこれはこれでおもしろい。


この赤茶色のは外壁のレンガだ。レンガごとくり抜いてある。

もう種明かしを知っているからアレだけど、一体どんな鋭利な刃物で切り抜けばこうなるんだ!?みたいな驚きがある。SFや能力バトル物みたいだ。

断面、本当におもしろい。そして、断面って美しいと思うことが多い。

ケーキの断面には味わいの設計や思想が現れるし、野菜の断面には成長過程や構造が現れる。

図面で言えば断面図には設計思想が強く現れると思うし、パンの断面なんかもアーティスティックでたまらない。

こんなことを書いていると断面フェチのサイコパス野郎かと勘違いされそうだし、人間の断面が見たいとか言ってダミアン・ハーストみたいにホルマリン漬けの断面を家に大事に持っていそうなヤバいヤツ感があるけれど、断面ってよくないですか?ダメですか?

そんなことを言っていたら「萌え断」という言葉を見つけた。

スイーツばかりなのが物足りなくはあるが、断面ってホントいいですよね。

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