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MrBeastにみる、クリエイションのための“センスの外部化”【Off Topic Ep148】

アメリカを中心に最新テクノロジーやスタートアップビジネス情報を広く深堀りしながら紹介するポッドキャスト「Off Topic」。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再編集したものをお届けする。

今回は「#148 米国クリエイターに学ぶ コンテンツを作りながらブランドを大きくする方法」から、YouTuberを中心としたクリエイターブランドにみる「チームづくり」の重要性について。オーディエンスのアテンションと信頼を武器に事業を起こすクリエイターが増えていくなかで、本当に大事な「コンテンツに集中するためのデザイン」と、リプレイスが難しいクリエイターの「センスの外部化」とはどんなもの? YouTuberとして初めてビリオネアになる可能性をもつ、MrBeastなどのクリエイターから考える。

ピュアリストとツアリストに発揮される、クリエイターブランドの強み

2022年はYouTuberのMrBeastをはじめ、クリエイターのブランドが活発に事業化を行った年だった。コンテンツとそれをつくるクリエイターの影響力を活用しながら会社化/事業化して商品を売る、というモデルは音楽業界でよく見られてきた。アメリカでは「ミリオネアは音楽をつくって、ビリオネアは商品を売る」という言葉もあるくらいで、リアーナのFenty Beautyやドクター・ドレーのBeatsなどが最たる例として挙げられるだろう。それがYouTuberの領域においても起きている。

Trapital Culture Report 2022

クリエイターが事業を行うにあたって非常に重要なのが、プロダクトやサービスがコンテンツとクリエイターがつくるユニバース/カルチャーの延長線上にあることである。そのためには、自身のユニバースのカルチャーを理解することが前提になる。

例えば、MrBeastが立ち上げたお菓子ブランド「Feastables」のMr Beastチョコレートバーは、賞金やテスラ、自身で再現したチョコレート工場が当たるなど、次世代ゲームショーホストとして視聴者に提供するカルチャーを反映した展開をしている。また、メイクやルーティン動画など着飾らない気の抜けたスタイルで人気を博し、無類のコーヒー好きでもあるエマ・チェンバレンが設立したコーヒーブランド「チェンバレンコーヒー」では、コーヒーと相性の良いパンケーキとシロップをセットにしたホリデーブレックファストバンドルを昨年末に販売したり、シリアルブランドとコラボレーションしたりと、自身がもつブランドのトーンと世界観にフィットした商品の展開を行っている。スポーツをメインとしたトリックショットで人気のYouTuberグループ・Dude Perfectがスポーツやこども向け商品の展開を事業として手がけているのも、ポジティブな世界観をもつ彼らのカルチャーをプロダクトに落とし込んでいる好例だろう。商品そのものの良さ以上に、クリエイターの世界観を理解してるからこそ生まれる購買欲にアプローチしているといえる。

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