【後編】植物と鳥、水の動きーー小原奈実と小石川植物園を歩くーー

前編はこちら

***

相田:「穀物」は誰が始めたんですか?
小原:「穀物」はどうやら、山階(基)さん、廣野(翔一)さん、小林(朗人)さんの三人がやろうという話をしたみたいで、それぞれが呼んで来たい人を集めて、みたいな。だから実は「穀物」の同人同士でも、あまり個人的に喋ったことのない人とかもいるんですけど、まあ緩やかに集まってやっている感じじゃないかなと思っています。
睦月:みなさんほぼ同世代ですよね。
小原:同世代ですね。大体3、4年の幅の間に。
睦月:みんな学生短歌会出身ですが、偶然なんですか?
小原:どうなんだろう。学生短歌会縛りではないはずですけど、卒業後の活動の場を確保しようというマインドはあるような気がしますね。
睦月:小原さんは今、所属って言うと「穀物」だけですよね。結社とかは考えてないんですか?
小原:誘いをいただいたこともあるんですけど、一つは、あの……詠草が出せませんっていう……(笑)。あとはあれですね、すごい馬鹿みたいな話なんですけど、結社誌って、毎月送られてくるじゃないですか。それが私、結構負担に感じるタイプで。紙がね、すごい圧迫感あるんですよね。電子版作ってくれるなら考えるんだけど……。
睦月:あ~、じゃあ「かばん」かな!
一同:(爆笑)
小原:「かばん」、電子版あるんですか!
睦月:昨年(2016年)から、6月と12月の特別号だけKindle版も出してるんです。当時の編集人のながや宏高さんを中心に電書化チームが結成されていて、私もメンバーで。
小原:すごい!すごい!(拍手)
睦月:……「かばん」かな~♪
相田:このタイミングで小原さん急に「かばん」に入ったらめっちゃびびるな。えっ!?って。すごい大ニュースですね、入会理由は「電子版があったから」(笑)。

小原:(笑)。……そう、紙に対する恐怖が。引越しが多い家で、そもそもあんまり物を持ちたくないというか。うちの母も同じ理由で新聞取らないので。
睦月:あんまりじゃあ、歌集とかも置いてないんですか。
小原:謹呈いただいたものはもちろん取ってありますが、自分で買うのは正直かなり厳選してます。怖くて。紙が。
睦月:紙が……。
小原:紙が怖い!まんじゅう怖い!(笑)
睦月:それだと逆の意味になりますけど(笑)。
相田:紙が怖いってどんな感じなんですか?
小原:なんか際限なく増えていく物理的な実体みたいなものが怖い。これを自分で管理しなくてはならない、みたいな義務感が強いんですかね。家の広い人とか、部屋をいくつか物置として使ってたりとかするじゃないですか。怖い怖い怖い……(笑)。なんかこう、ちっちゃい風呂敷を広げてその中で生活して、退去しなくてはならなくなったらさっさとまとめて出ていく、みたいな、そういうのが染み付いてしまっているので。
相田:じゃあ全然、コレクション欲みたいなものはない。
小原:ないですね。手に負えなくなっちゃった時に処分しなきゃいけないじゃないですか。下手に愛着沸いちゃったりとかするとそれがすごい悲しいし。
相田:そうですね、そうすると物に溢れた部屋に、私のように、住むことに……。
一同:(爆笑)
小原:紙怖い問題をほかの歌人のみなさんはどうしてるのかわからない……。
睦月:多分持ってない……んだと思う。
小原:あ、紙が怖いという感覚を。
睦月:感覚を、うん。
小原:でも物理的にもう、家が破裂するじゃないですか。それこそもっと、結社の中核とかで活躍されてる方だったら……。
相田:ほんと、どうしてるんですかね。
小原:本とか、どうしたって増えますよねー。
相田:増えますねえ。もう二度と、一生読まないってわかってるけど、おもしろかったって思うと手放せないです。
小原:捨てられない……わかる……。
睦月:本棚が破裂してでも置いておくコストと、一度手放して再度手に入れるときのコストだったら、どう考えても再度手に入れるときのが……。
小原:短歌の場合、特にそうですよねえ。
睦月:二度と手に入らないことだってあるし。
小原:うん、あるあるある。
相田:誰か図書館をやるよって言ったら、みんな月300円ずつくらい払ったら、暮らしていけないですかね。会員を募って……。
睦月:会員制読書クラブみたいな。よく妄想しますね。
小原:短歌図書館、「あれを探してくれ」って言われたらすぐ探す。
睦月:探す(笑)。
相田:かわりにそれだけをして生きていく……。
睦月:いいなあ、理想的な暮らしですね。
小原:歌人からの月額使用料で生計をたてて……。いいなあ。

睦月:ちょっと歩きますか?
小原:シジュウカラに会えてない。前回はあの辺で会ったんです。会えないで帰るわけにいかない。
睦月:ぜひ会えるまで。笑

(歩き始めて、お茶屋さんを見つける)

相田:あ、アイスあるんだ、いいなー。
小原:ここ、実は利用したことないんですよね。
睦月:私は前回来たときに、カレーかな?結構おいしかった。ソフトクリームもある。いいなー。
小原:食べます?
睦月:……食べ、ようかな(鞄を開く)。
小原:のど飴とか売ってるんだ……、
…………シジュウカラの声がする。
相田・睦月:シジュウカラ~
小原:どこにいるんだろう……。
(シジュウカラの声のするほうへ小原さんが歩きはじめ、相田ついていく)

小原:あのへんかなー、なんかヒヨドリの声にかき消されちゃうんですよねえ……あ、でも、……あ、あ、
相田:あっ、なんかいま枝が揺れたの見えた
小原:あっ、そこに、そこに!
相田:ああっ、いたいた!いるいるいる!
小原:向こうにもいる・・・あーきたきたきたきた。ほっぺたが見えますね
相田:ああー!あ、でも結構飛んで
小原:うん、結構いますね、いまちょうどうつってきた
相田:……あれ?睦月さんは?……あっ、笑 大丈夫かな……

(睦月、ソフトクリームを買おうか迷っていたところにシジュウカラが来てあせって鞄をひっくり返してしまい、シジュウカラ見えず)

睦月:すみません、すみません……
(慌ててものを拾い集めて小原さんたちのところに走る)
相田:あ。今いました、シジュウカラ。
睦月:どこにいます?
小原:このへんとー、あとあのへんにもいる
睦月:お、よかったですねえ
見知らぬおばあさん:(こちらに駆けつけて)これもまだ残ってますよ~!(睦月、今日のために持ってきた『穀物』をさっき鞄をひっくりかえした場所に全巻残してきたらしく、手渡してくれる)
睦月:うわー!!すみません、すみません!!ありがとうございます……
相田:落しものを(笑)。
小原:あっ!『穀物』持ってきてくださったんですか!
睦月:小原さんの歌の話もしようと思って……のに、落とすっていう……
相田:……あっ!あれは?
小原:あれはヒヨですね。
相田:でっかい。
小原:シジュウカラ、さっきあっちのほうに……

(無言で歩き始める)
小原:…………
相田・睦月:…………
小原:……すみません、私いま完全にシジュウカラモードですけど、大丈夫ですか。
相田:あ、そのままで。シジュウカラモードで。
睦月:鳥探偵・小原奈実。

小原:シジュウカラって、このへんの藪の中とかにいたりするんですよね、なかなか見つけにくい。
相田:待ってると見つかるかも……。
小原:あっあっ、いた!
相田:えっ!?あ、飛んだ!
睦月:いま後を追ったのはスズメ?シジュウカラ?
小原:んー、スズメとシジュウカラって意外とあんまりいっしょにいないんですよね。
睦月:サイズ感似てるのに。
小原:食べるものがちがうんですかね、スズメってどっちかっていうと草の実とかで。
睦月:シジュウカラは何を食べるんですか?
小原:まあ草の実も食べますけど、虫とか、結構なんか肉食系。

(しばらくあって)
小原:…………と、いうような感じで、一日中、シジュウカラを。
睦月:一日中シジュウカラを……。
小原:一日中シジュウカラを……追っかけて……
睦月:これを書き起こすのか……(笑)。
一同:(笑)

睦月:そう、小石川植物園にはよく歌作りにきてるって、いつも言われてますが。
小原:うん、そうそう、鳥もいるし、いろんな植物あるし。
睦月:たとえばどの歌とかって、ありますか?
小原:えーなんかもう、締切近くなったら、歌がない→やばい→駆け込む、みたいな(笑)。だから結構たくさん……、あとなんか、上の句だけあるけどどうしよう、みたいなときに素材拾ってきたりとか。割合にしたら結構かなりの数だと(笑)。
睦月:〈籤(くじ)引いて覚めたるごときこの朝を薬草園に水仙とあふ 「静水」『本郷短歌 第五号』〉。この歌を私が最初に見たのが歌会のときで、「薬草園いいですよね~」、「これ小石川植物園です」、みたいな話しましたよね。
小原:そうそう、しましたね(笑)。小石川植物園いいですよね~みたいな。
睦月:ずいぶん前のような気がするな。小原さんは植物の歌、すごい多いですもんね。
小原:そうなんですよ。逆に興味のある範囲がせますぎて、植物とか鳥とか自然のものとかばっかり歌にしちゃう。あとはなんだろ、水の動きとか?(笑)
睦月:んー!うんうん!よく描かれてる。
小原:水の動きとか、湯気の動きとかに興味があるとか、そういう感じで、ちょっと狭いんですよね(笑)。
睦月:狭く深く、深すぎると思います笑
小原:狭い、から……、しょうがないからもう、興味のあるところに行くしかない、って。それに、家に篭ってやっててもあんまり集中力がもたないタイプなので、動きながら、鳥追っかけながら。でも最近はもう、せっかく出かけても鳥を追っかけてるだけで一日が終わって、帰る頃になって「あれ?歌は?」みたいな……
一同:笑

相田:なんでしたっけ、カラの混群?
小原:カラの混群!あれ、出会えると超うれしいんですよ
睦月:全然見たこと無い……。
小原:今日はまだシジュウカラしか見てないけど、このあいだエナガもいっしょにいて、コゲラもいて、すごいよかった。
睦月:コゲラ、コゲラはあの、見つけ方を教えてくれた。
小原:あーそうそうあの、神代植物公園の!(注:この年の3月に、この3人を含めた少人数で神代植物公園吟行をした)
コゲラはあのちっちゃい、ちっちゃいキツツキです。
相田:すっごい高い樹の、すっごい上にいたやつですよね……
睦月:なんであんなの見えるんだろうって思った……
小原:(笑)。あれはなんかたまたま……。でもなんか「ギィィ」っていう声がするので、それで気付いて、あとコゲラは、縦に移動するんですよね。動きに特徴があるから結構気づきやすい。
睦月:コゲラって名前は知ってたけど存在は確認したことなかったから、なんかあのとき、教えてもらえてうれしかったです。
小原:ときどきドラミングの音がするときもありますね。
睦月:小原さんは、大きい鳥はそんなに好きじゃないんですか?
小原:や、べつにヒヨも好きですけど、ヒヨってぜんぜんむずかしくないじゃないですか。
睦月:あ、もっと大きいやつ……
小原:あー、えっと白鳥とか?
睦月:白鳥とかエミューとか……
小原:そういう鳥はそういう鳥のたたずまいでよさがあるけど、なんかこう、普段そんなに見かける鳥じゃないじゃないですか。普段見慣れないものってなかなか私、料理するのが苦手で。歌にしづらい。
睦月:あー、なるほど。
小原:ペンギンもすごい好きなんですけど、音が難しいし、どういうシーンを作っていいのかさっぱりわかんなくなっちゃうし。
睦月:……小原さんのペンギンの歌見てみたいですね……。
小原:作ったことないんですよ。
相田:長時間見に行かないと。旭山動物園に……
小原:旭山動物園まで(笑)
睦月:そっかー……。小原さんのペンギンの歌を見るためには、ペンギンのいる環境に慣れないといけないのか、難しいな……。
小原:現実的にペンギン見るとなると、動物園とか水族館で一方的に見てるだけになっちゃうじゃないですか。別にそれで歌、作れればいいんですけど、なんかちょっと選択肢が狭い感じが。かといって塚本の皇帝ペンギンの歌みたいな、寓意を含ませるのはすごい苦手なので、できないから、しょうがない、現実のペンギンをじっと見てるしかない(笑)。
相田・睦月:(笑)
小原:それにペンギンも、皇帝ペンギン、ジェンツー、アデリー、フェアリーとかいろいろいてそれぞれ全然佇まいが違うけど、いちいち「フェアリーペンギン」とか言ってたら何音使うんだって話になってしまうので、やっぱ難しいですね、ペンギンは。
睦月:うう、ペンギン……、小原さんのペンギンの歌が見てみたいという気持ちが頭から離れなくなってしまった。
……薬草園見に行ってもいいですか?
小原:あ、うんうん。行きましょう。

睦月:小原さんの歌だと植物と、鳥と、魚もまあまあいるけど、
小原:あ、魚も結構出る。
睦月:虫もちょっと出てくるかな。
小原:虫もそうですね、とんぼとか。
睦月:あめんぼとか、蝉とか……

>空の唇(くち)享けたるごとき水紋のひらきつつゆくひとつあめんぼ 「蘂と顔」(詩客 2012年6月8日号
>仰向けに蝉さらされて六本の鉤爪ふかし天の心窩へ 「あのあたり」(第56回角川短歌賞次席作品)

小原:ちょっと興味の範囲が狭すぎて、だんだん手詰まりになってくるんですよね。素材がワンパターンになっちゃって。
睦月:あー、たしかに、「えっ!?小原さんがこんなものを!?」みたいなのは……
小原:あんまない。
睦月:……ないですね(笑)。
小原:ない(笑)。だから結構、「短歌ホスピタル」の企画の時に困って、医療関係者ばっかり集めた同人誌だったんですけど。
睦月:あーあれだ、救急車の歌とか。

>またひとり乗せてちかづくサイレンの音なほ高きままに途切れぬ 「みぞれ」『短歌ホスピタル』

小原:そうそう、それです。その頃まだ学生で、研修で救急外来の12時間シフトに入れられたときに作った歌……。
睦月:12時間……
小原:12時間シフトはつらいということがわかりました……。1週間で4回入らなきゃいけなかったんですけど、7回目くらいでで熱出しまして。
睦月:うわあああ。
……「短歌ホスピタル」に出されてたのは医療系がテーマの連作でしたけど、裏でそんな感じだったんですね……。
小原:ですね……。結構、無理して作りました。
睦月:テーマの面で言うと、お仕事から言って病院は身近なモチーフだとは思うんですけど、「短歌ホスピタル」は例外的で、ほかの歌にはあまり多くない印象です。
小原:切り取り方の角度とかにもよるけど、患者さんを歌に登場させるのはためらいますね。
睦月:難しいですね。そのあたりの問題、土岐友浩さんがたしか同じ「短歌ホスピタル」の中に書かれていたけど。


小原:……モズ!!
相田・睦月:!
小原:あの樹のてっぺん!遠いけど……!
相田:キュッキュッキュッていってる。
睦月:これモズの鳴き声だったんだ~。
小原:しっぽをなんかぐるんってまわすんですよ。
相田:……えー、見つからない。どの樹の上?
小原:えっとこの角度から見ると、三本樹があって、そのまんなかの……てっぺんの……


相田:……あっ、あれ!?
小原:そうそう!
相田:えええ~~~。なんなの、なんで、どうやって見つけたんですか?はっぱ?はっぱにしか思えない!
睦月:なにもわからない…
相田:すごい……
小原:声がするから!

相田:植物って、どうやって覚えたんですか?
小原:実は植物ってそこまですごく詳しいわけじゃないんですよ。ただ母が植物が好きで、小さい頃から「これが何々だよ~」って教えてくれて。
睦月:へえー。鳥は?
小原:鳥は図鑑を見て、それこそ3、4歳くらいの頃から。そういう頃に読んだものってなんか覚えるじゃないですか。そういう感じで。実際に街で見てがんばって探すようになったのはもうちょっとあとで。
……あっ、モズまた来た!
相田:あー!見えた!
睦月:近い!
小原:あっほら、しっぽくるんってした!
相田:かわいい!
睦月:かわいいのに、あんな惨忍な行為を……。
小原:モズのはやにえ(笑)。
睦月:どん引きなんだけど……。
小原:この顔でー!みたいな!
睦月:しかもなんか、ハンターなんですよね?他の鳥狩るって……。他の鳥の鳴き声のまねするのってそのため?
小原:……あっ、そのためなのかな。そうそう。なんかいろんな鳥の鳴き声がうまい。
相田:えっ!?だますってこと!?
睦月:いろんな鳥の鳴きまねをするから、百の舌で百舌。
相田:あー!なるほど。
(※他の鳥の鳴きまねをするのはオスの求愛行動という説が有力のようです)


相田:もふもふを触る小原さん。(パシャリ)
小原:……あれですね、こればかなことしてると全部撮られるんですね!?(笑)
睦月:かわいいな~って思って……(笑)。
小原さんのススキの歌なんでしたっけ。
小原:ススキの歌なんてありましたっけ?
睦月:ありますよ。あれだ、「四肢冷えきつて立ち上がりたり」。
小原:?
睦月:えっと……鉄橋とススキの……川?
小原:……あー!鉄橋と、川?川辺?
睦月:河原?
小原・睦月:あはははは!
小原:だめだ~!(笑)
睦月:私の方が覚えてるじゃん!(笑)
小原:でも河原じゃなかった気がする!川の辺……
睦月:言えないんですか、自分の!
小原:「あ~なんかそんなのあったような~??」みたいな……(笑)
睦月:……外部記憶装置が必要ですね。
小原:パソコンのデータ消えたら詰む。

>鉄橋とすすきまじはる川辺より四肢冷えきつて立ち上がりたり 「声と氷」『本郷短歌第2号』

小原:……あっ、あれ!カラスウリたくさん生ってる!
相田:ほんとだ!かわいいー!
小原:すごいまずいらしいですよ。食べると。
睦月:食べませんよ。
相田:カラスは食べるの?
小原:どうかな~。カラスはなんかもっといろいろ美味しいもの食べてそう。
睦月:枇杷とかのきなみカラスにやられますよね。あと柿とか。
小原:枇杷もおいしいし柿もおいしいでしょう~。

小原:……これでひとまわりした感じですね!超ぐだぐだになりそうですけど大丈夫です……?
睦月:なんとかやってみます(笑)。
えっとじゃあ一度〆に入って……相田さん、あと残りの質問は。
相田:えーと。あっ、じゃあ、「何時に寝て、何時に起きてるか」。これ最近気になって、みんなに聞いてるんです。
小原:えーっと、平日は7時前くらいに起きて、なるべく12時前には寝てる……というのは病院が朝早いんですよね。休日は結構、うだうだするタイプなので、それこそ12時くらいまで寝てたり。
睦月:当直とかもあるんですよね。
小原:当直あけが休みじゃないんですよ!だから結構当直あると、その後数日間の生活が乱される感じがありますよね……。
相田:当直あけは、病院で寝てるから、次の日も働いてねってこと?
小原:うーん、ていうか、普通に休みじゃない……。ひどい場合には36時間病院にいたり……。
睦月:……というか、相田さんはなんでこんな質問を。
相田:えーと、私の中の疑いで、「みんなもしかして寝てないんじゃないか」というのがあって……。
一同:(笑)
相田:寝てないからできてるのかなって。歌人は。原稿とかを。でも聞いていくとみんなちゃんと寝てるって……私と大して変わらないから、おかしいなって……(笑)。
なんか、ショートスリーパーなんじゃないかと疑ってたんですけど……。
小原:私はたぶんすごい長いほうだと思います。当直あけとかは、内科だと自分の仕事はある程度自分のペースでできるので、一回寮に帰って昼寝したりとか。どうしようもないときは……。
相田:へー。
睦月:意外とそのへんの自由はきくんですね。
小原:まあ寮が病院の敷地内にあるからできる技ではあるんですけど。電話がかかってきたら取れるようにだけしておいて、あとはもう寝るっ、と。
相田:休憩室が近くにあるだけ、みたいなイメージ。
小原:そういう自由はあるけど、でも当直あけくらいは休みにしてよ……と。普通に労働基準法違反だと思うんですけど、どうなんですかね!
睦月:いや、そうだと思いますよ(苦笑)。このあいだどっかの病院で残業代支払い命令出てましたよね。
小原:あ、そうそう。聖路加病院で労基署の監査が入って残業代支払ったら赤字になったって。
睦月:労基署が入ると赤字っていうのが、もう、ね……。
相田:わりとじゃあ、長時間寝たいタイプ。
小原:寝たいタイプです!あ、でも私は結構どこでも寝れるタイプなので。電車の中でも爆睡できる。
相田:あ、じゃあそれはぴったり。
睦月:ふーん。
相田:……なんでこんなに人の睡眠に興味あるのかは、いまいち自分でもよくわかってない(笑)
小原・睦月:(笑)
睦月:なんでそんなこと聞いてるのかと思った(笑)。
相田:早くいろんな人に聞いてしまわないと……。ほら、ベッドじゃなきゃ寝られない、とか。小原さんはどこでも寝られるタイプ、と。
小原:寝れる。
睦月:私も結構どこでも寝れるけど、自分の部屋じゃないところで寝るとその時間がまるっとノーカウントになるようなところが……。家帰ってから同じくらい寝る。
相田:あっ、わかる。
小原:なるほど。……当直室に蚊がいたときはほんと寝れなかったな。
睦月:ああ、あの強い蚊(笑)。
……今日はお話ありがとうございました。それじゃあ、ケーキでも食べに行きましょう!
小原:行きましょう!

(了)

◆本文中に引用した小原奈実さんの短歌

なだれゐるしぶきゐる萩を愛せむに軀ごとそのただなかへゆく 「野の鳥」『穀物 第二号』

籤(くじ)引いて覚めたるごときこの朝を薬草園に水仙とあふ 「静水」『本郷短歌 第五号』

空の唇(くち)享けたるごとき水紋のひらきつつゆくひとつあめんぼ 「蘂と顔」(詩客 2012年6月8日号)

仰向けに蝉さらされて六本の鉤爪ふかし天の心窩へ 「あのあたり」(第56回角川短歌賞次席作品)

鉄橋とすすきまじはる川辺より四肢冷えきつて立ち上がりたり 「声と氷」『本郷短歌第2号』

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