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映画『線は、僕を描く』初日に観に行ってきました!!(ネタばれあり)

2022年10月21日

この日を首をながーくして、待っていました!!!


6月のある日、何気なくスマホを眺めていたら偶然目に入ったこの映画。
京都芸術大学 通信教育部 芸術学部 美術科 書画コースに4月から通い始めた私。【水墨画】と書いてあるだけで思わず反応してしまいました(笑)


主演は横浜流星くん。そして私が個人的に大好きな清原果耶ちゃんが出演するということでワクワクしながら公開日を待っていました。

一体、どんなストーリーなんだろう…
水墨画の映画ってどんなのだろう…

そんな想いを胸に映画館へ足を運びました。

ちなみに…
原作は2020年の本屋大賞で3位だったそうで、監督は映画『ちはやふる』『カノジョは噓を愛しすぎてる』を手掛けた小泉徳宏監督。

映画に関して詳しくは公式サイトをご覧ください👇


さてさて、ここからは映画を見た感想を私の超~絶!個人的な視点から語ります。


私が懸念していたこと

まず、主演の横浜流星くん。
彼が主演だということで、私としては「正直、他の俳優さんでもよかったのでは…?」と思っていました。というのも、彼に対するイメージが【なんか強そう】だったんです。

彼は元々空手をしていました。出演している他の映画も見たことがあったので、(本当に勝手ながら)彼のイメージは体はバキバキ、めちゃくちゃ芯が強そうで、水墨画とはかけ離れた感じがしていました。(←失礼)

しかし、このしょーもない先入観を彼は見事に打ち砕いてくれました!!

横浜流星くんが演じる霜介(そうすけ)は、3年前に妹を亡くし、そこからずっと立ち直れていませんでした。鬱々としてずっと暗闇にいるような、何に対してもやる気が出ない、そんな青年でした。
この暗闇で自分の殻に閉じこもっているような闇というか影というか憂いを漂わせている青年を、横浜流星くんが見事に表現していました。体バキバキの強そうな流星くんはどこへやら。失礼しました。

俳優さんに対する心配事は序盤でキレイに払拭され、ここからはストーリーについてガンガン語っていきます。※ネタバレします。



私が感動した(泣いた)シーン3つ

※私がめちゃくちゃ涙もろいので、そこで泣く!?と思われるかもしれません。ご了承ください。
※ネタバレあり

①霜介(横浜流星)が3年前を回想するシーン

霜介は3年前に妹を亡くしていて、それに向き合えず暗闇で自分の殻に閉じこもっていました。亡くなった原因は後半になるまでわからなかったのですが、霜介が千瑛に後悔の念を交えながらちょっとずつ話すシーンは心が痛くなりました。

「思い出したくない、でも忘れることもできない」(うろ覚え)
霜介が本音を吐いたシーンだったと思います。

霜介の妹は大雨により河川が氾濫したことで亡くなっています。2014年の広島の大雨を経験していた私は当時を思い出して霜介の妹に共感しました。迫りくる大量の水はさぞ怖かっただろうと思います。

また、西日本豪雨が起こった2018年には霜介と同様に実家を離れていたため、家族の近くにおれず、何もできなくて悔しかった気持ちと、無力感を思い出しました。霜介もきっとそんな気持ちだったんじゃないかと思います。

自然が私たちに容赦なく襲い掛かってくる恐怖、家族が急にいなくなる喪失感、どちらも味わいたくはないけれど、もしそんなことがこれから先、私の身に降りかかってきたらその時は一歩踏み出した霜介を思い出したいと思います。


②霜介(横浜流星)が過去と向き合い一歩踏み出すシーン

霜介は自分自身に向き合うため実家があった場所に帰ります。実家は流されてしまって残っていないのですが、椿の花が1輪残っていました。

実は、霜介の妹の名前も「つばき」で、しょっぱなの椿の絵やら回想シーンの妹やら、椿の木やらを思い出して胸熱に。そして、バックの夕暮れがまた美しくてもう最高。yamaの『Lost』も相まってもう涙。説明しきれないのでぜひ見てほしいです。


③西濱さん(江口洋介)が竜を描くシーン

このシーン、とにかく西濱さんの迫力がすごいです。
これまで一切水墨画をやっている風に見えなかった家政婦的な彼が、突如大筆を持って、作業服姿で、大きな紙面に竜を描き出す。

途中墨を散らしすぎたのか「あちゃー!」と声に出してしまって観客にも心配されるのですが、その後そのミスさえもミスと思わせず、むしろ生かしているところは、まさに水墨画の【偶然性】を表していました。

大学で少しずつ水墨画を学んでいる私ですが、自分の思い通りの線が出なかったり、イメージと違った表現になってしまったときは「ミスった泣」となりがちで、そのミスを生かすという発想にはなかなか至りません。

でも、このシーンを見て、その紙面で偶然生まれた線、にじみ、かすれ…全部楽しんで、面白がって、描いていきたいと思いました。

そして、西濱さんが最後に竜の目を入れる(黒目を描く)シーンは、見ている私がめちゃくちゃ緊張しました。西濱さんもきっと緊張していたと思います。

だって、生き物の目を描くときにどれほど腕がプルプルして、神経を使うか知っているから。私は大学で鳥を描く課題があり、何枚も何枚も描き直したことがあります。

目だけで生き生きしているか、死んでいるか、
はっきり分かれるほど “目”は大事だと知っているため、西濱さんを見ながら気が気じゃなかったのでした(笑)


私がワクワクしたシーン3つ

※ネタバレあり

①湖山先生のご自宅

水墨画を学習している私にとって、何よりもワクワクするのが道具(文房四宝)を見ること!普段から広島県の熊野にある筆屋さんに行く私は、筆がずらーっと並んでいるだけでテンションが上がります。

映画に出てくる湖山先生の水墨画を描く部屋には、筆はもちろん、素敵な硯や絵皿が並んでいました。新品ではなく、使い込んでいるとわかる道具たちで、水墨画や書道をしている人はもれなく楽しめるシーンじゃないかと思います。

私が個人的に気になったのは、湖山先生の孫の千瑛(ちあき)(清原果耶)が使っている硯。一瞬しか映らなくて定かではないですが、6角形?の硯でした。なんかいいなと惹かれたのでこれから探します(笑)


②俳優さんたちが実際に水墨画を描いているシーン

やっぱり筆を持って実際に描かれているシーンは惹き込まれました!

千瑛(清原果耶)が薔薇を描いたり、蘭を描いているシーンは、水墨画のプロとして活動している千瑛らしい堂々たる筆運びでした。
下から上に「シュッ!」と勢いよく葉を描くところはめちゃくちゃカッコよかったです…!しかもあの音、実際に描いていると本当に出る音なのですごくリアルだなぁ〜と感心しました。音響さん、編集さん、すごい。

そして、霜介(横浜流星)が初めて水墨画を描くシーンは、初めて描くドキドキと緊張感と、何よりワクワク感が伝わってきました。

4月から水墨画を始めた私。「わ、わかる~!緊張するけど真っ白な紙の中に描いていくのなんか楽しいよね~!」となりました。


③エンドロール

ストーリー的にとても満足していた私。最後はまあよくある、名前がだーっと流れるエンドロールだろうと思っていました。が、裏切られました。いい意味で。

めちゃくちゃきれいな水墨画のアニメーションだったんです。あ、でも、アニメーションだったのか?実際に描いているところを撮ったものだったのか私には区別がつかないけど、最後の最後まで水墨画を入れ込んでくれた監督、感謝です。
(最後の椿が花開くところも本当に好き。)



まとめ

映画評論家のような感想じゃなく、しっちゃかめっちゃかな感想ですが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

私は元々書道をしていて、水墨画は今年の4月から始めました。
始めたばかりの頃は、調墨が(墨の濃さや水分量を調整する)上手くいかなかったり、どう描くのかわからなかったり、イメージするものと出来上がるものが違って落ち込んだりの連続でした。
(今も大苦戦しながら大学の課題と向き合っています)

何枚も何枚も描き直し、まさに、劇中の霜介の部屋のように一面半紙だらけになるのはザラで、水墨画に向かっていく霜介に自分を重ねながら映画を見ました。

真っ白な紙面に向かっていると、

・上手くいかなかったらどうしよう
・もう無理なんじゃないか

と思うことが何度もあります。そして、一筆一筆描き進めていくと今度は、

・ここまではいいけど、次失敗したらどうしよう
・ここは手を加えた方がいいかな?いらないかな?

と不安になります。
その繰り返しをしていると何だか訳がわからなくなって、正解を求めてしまうのですが、
多分、正解ってないんだろうなと思います。

白い紙に筆と墨と水という限られたものを使って描く。
でも、ただ形をかたどって描くだけじゃ見た人に伝わらない。
自分がどんな思いを持って描いたか
劇中では、「心」「命」を描くんだと表現されていましたが、これまでの学びと相まって妙に腑に落ちました。

水墨画で悩んだときは

霜介のように、一歩踏み出して挑戦し
千瑛のように、描く対象をよく観察して
西浦さんのように、思いっきり楽しんで
湖山先生のように、ゆったりと肩の力を抜いて

描いていこうと思います。


これからも私らしい「線」が描けるように精進したいと思います。
素敵な作品に出会えて良かったです☺️
すでに、もう一度観たい!

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