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「まちもわたしもめぐる」

東京の新宿区にある

東京都庁のビルの44階
地上202メートルの高さから

まちをぐりると見下ろせる展望室。

上京してもう10年が経つのに
気軽に行けるはずの展望室へ行ったことがなく

やっと行こうと腰を上げた頃には
コロナ禍が来てしまっていて
展望室がクローズになってしまったり

ワクチン接種会場になってしまったりして
どんどん後回しになっていました。

昨年の暮れの今頃に

近年自分が心がけてやるようにしている
「やったことのないことをやる」の1つとして

長年心に引っ掛かっていた
「献血」に行ってみることになりました。



展望室のあるところと同じ
都庁ビルの1階にある献血ルームへ!

体重とか体調で大丈夫そうかと心配されて
たくさん飲んでね食べてねと薦められ

いざ始まる時に注射が苦手すぎて
不審なぐらいに真っ青な私に

「え?そこまで苦手なのに何故来たんですか?」
という顔ひとつせず

皆様本当に優しくて終始気遣ってくださり
無事に400ミリの初献血が終了。

思っていた以上に恐怖に耐えていたようで
終了後は自分でも見たことないほどの
スーパーローテンションではあったけれど

体調には問題無さそうだったので

その足で念願の45階の展望室へ行きました!

エレベーターで上へ上へ。

静かで広くてぐるりと景色が見渡せる大きな窓
みんなが穏やかに外を眺めたり腰掛けたり

ゆったりと時間が流れる空間でした。


あまりに綺麗だったので
さっきまでの献血の恐怖が吹っ飛びました。

だんだんと陽が沈んでいくと
空が白と橙に、雲はグレーに、街や山は黒に
暗くなりきる前の灯りも優しく光る
自分が一番好きな瞬間を写真におさめました。

改めてここからの景色を見て見た時に

手探りで東京で暮らし始めたけれど
今見下ろしている街の中の一員として
なんとかここで暮らしているんだなぁと
とても強く感じた気がしました。



一通り写真を撮って落ち着いた頃
クラッと来てその場にしゃがみ込んでしまい

あぁ…

さっき体から血をたくさん抜いたもんなぁ
と献血のことを思い出しながら
今地上202メートルにいるのが不思議でした。



帰ってからしばらくして

あの日に見た綺麗な空を
ぜひ絵に描いてみたい!

と思ったのですが

こんな灯りだらけビルだらけの夜景は
もっと上達して表現できるようになってからではないと
到底今の私が描けるものでもないはずだし
描いたとて最後まで描き終えられないだろう…

と我慢をして、未来に残しておこうと先送りにしました。


しかしその後

別の作品を描いたりもしていたけれど
やっぱりどうしてもこの空の色を諦められなかったので
こうなこと言うのはまるで言い訳のようなんですが

私にはまだまだだ早いだとか
固定概念に囚われてはよくない気がしたのと
描き始める自分を納得させる為に

「血を抜いて眩暈のなかで見た景色なんだから、写実で本物のように真っ直ぐと描けなくてもいいこととする!自分が納得するように描く!」

と決めて勢いをつけ

最初に描きたかった空の色を塗りはじめたら
すごくすごく綺麗な空がかけたので

あとは定規やマスキングは使わずに
描きたいように筆でどんどん描いていきました。

仕上げになるにつれ

ただただ1色の黒だけじゃないビルの壁や
光が当たっているところに違いを出したり
より立体感や感じたあたたかさを出す為に

色んな試行錯誤の工夫もしていきました。

完成したこの景色は
自分でもとても気に入るものに仕上がりました。


できないと思わずに
やりたいと思ったことをやってよかった
そう思わせてくれた作品となりました。

まちもわたしもめぐる

エントリーNo.2
「まちもわたしもめぐる」

F4キャンバス・2022年制作

さっきまで私の身体の中を巡っていて
抜かれていった血のことを考えていたら
展望室から見た景色の中に光る車や車道のライトが
街が生きるために血が巡る道のように思えたので

この街と共に生きているという実感と
めぐるという言葉を入れたくてこのタイトルにしました。



【おまけ】

実は献血が終わった後に
待合室のソファーに座った瞬間

怖さに耐えた糸が切れてしまって

…大人がないんですが

シクシクと泣いちゃったんですよねえ。笑


あの時の献血ルームの方…慌ててたなぁ。

びっくりしましたよねぇ…!!
ほんとご心配をおかけしました!!

ご心配をおかけしました!

献血したことないけれど気になっている方へ

毎日注射を刺しているプロが待ってるので
針は太いけれど痛みはかなり少なかったです!
そしてすごく皆さん親切だったので
是非一度足を運んでみてくださいね。


長々と書きましたが

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