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「毎年言ってる気がしますが、今年も大変な1年でした」。Voicy代表が振り返る2023年

こんにちは。Voicy代表の緒方です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

さて、もう今年もおわります。今日は2023年の話をしましょうか。

今年のはじめに「2023年はこうなる!」というnoteを書いたんですが、振り返ってみると思ったようにはいかなかったな、というところもあります。

このときは「音声はまだこれからどんどん伸びるぞ」「おれたちの時代がくるぞ」という感じのことを言っていますが、いやいや、それどころか、2023年はあまりにも時代が激変した年でした。

すべてのことが、このままじゃいられない

何よりも大きな変化はやはりAIの登場です。ChatGPTのような生成AIが出てきたことで、僕らみんなのマインドセットがすごく変わりましたよね。要は、これからは人間よりも機械のほうが優秀になるんだろう、ということを誰もが明確に理解したのだと思います。

もちろん、現時点で考えると、生成AIが出現して実際に仕事が奪われた人や仕事が減った人はまだ少ないですし、業務が効率化された人も一部だと思いますが、“AIがいる世界”というものをこの1年でしっかりと感じられたはずです。

「ビジネスも技術も人の生活も、すべてのことが、このままじゃいられないんだな」と、明確にわかってしまった。

おかげで、技術や社会の進化に比べて進化が一番遅い人間という生き物たちにとって、未来に希望を描くこと自体がすごく難しくなってきたというか、不安のほうが大きくなったんじゃないかと思います。

特にインターネットの世界には、いつか自分の仕事がAIによって代替されてしまうだろうと考えている人もかなりいらっしゃるので、悲観的なトーンも感じられます。

Twitterが激変したことも大きかった。

あとは、なんというか、インターネットに儲け話につながるコンテンツがほとんどなくなってしまって、ネット上がものすごく静かになっていたように思います。

一方で、それに反比例して、「リアル社会の問題を明るみに出そう」という動きはとても活発で、たとえばビッグモーターの事件だったり、ジャニーズの件だったり、その他いろいろな社会の問題もそうですけれど、「ネット上でリアルの悪を裁こう」みたいなことがすごく多くなってきた。

リアルを取り締まること自体がコンテンツになっていった、といいますか。ネット上で生まれたコンテンツの盛り上がりよりも、リアルの問題がネットを騒がすことのほうが目立ちました。

もちろん、もはやネットとリアルなんて区別自体が無意味ではありますが、プラスに捉えられる未来がない分、「今いる悪を取り締まろう」みたいな動きがかなり進んだのかな、ということもこの1年ですごく感じました(それ自体はもちろん悪いことではないです)。

ただ、「世の中みんな、すごく乾いてしまったんだな」という感覚もあるんです。

Twitterが激変したこともすごく大きな問題でした。これまでのTwitterは自由に情報発信ができるプラットフォームだったので、「これを使っておけばいいや」と、僕らの一番の居場所になっていた。ネットにおける住所として、とても使いやすかったわけです。

それがいつなくなってもおかしくないという地殻変動が起こってしまい、「Threadsに行ったほうがいいんじゃないか」「Instagramに行ったほうがいいんじゃないか」「このままTwitterを使っていていいのか?」みたいな不安が、よりによってこの2023年に突然出てきた。

AIはすごいわ、リアルの社会は大変だわ、ネットにちゃんと安心できる場所があるのかどうかもわからん、と。なんだか目に見えるものすべてが、少しずつ心をざわつかせてくるんです。

それでもVoicyが、がんばってきたこと

そういう社会の中で考えると、Voicyの代表としては、今年は「すごく慌てていた1年」でした。

僕自身は社会の変化の中でなにかに乗っかっていくことが、比較的得意なほうだと思っているんですが、経済が不況になる世界の中でどこを掴むことに価値があるのか、それを見出すことがむずかしく、けっこう慌てていたな、と思います。

ただ、その一方で、Voicyが2022年から積み上げて準備をしていたものがどんどん形になってきた1年でもありました。

たとえば、2年くらいかけてコツコツと実績を積み重ねてきたVoicy 声の社内報」がHRアワード2023の最優秀賞を受賞して、ようやく評価されてきたこと。

Voicyのパーソナリティがマネタイズする手段も、これまで「プレミアムリスナー」と「差し入れ」しかなかったところから、個別の放送を有料で販売できる「有料放送」がはじまりました。

3月にリリースして、じわじわと利用者が増えています。流通総額はまだまだですが、成長率としてはかなり上がってきていて、有料放送だけで毎月60万円くらい売り上げる人も出てきています。「声で生きていく」を実現するために価値ある機能だと思っています。

あとは、ずっと仕込んでいた「ボイスドラマ」という新しいジャンルのコンテンツをスタートできたこともよかったです。順調にコンテンツが揃ってきて、楽しんでくれる人も増えてきました。これは今後かなりの規模になると思っています。

今年はラジオ局さんのコンテンツもたくさんVoicyに参加いただき、さらに幅広いジャンルのコンテンツが楽しめるプラットフォームになりました。これは今年のVoicyの大きな変化です。

それにあわせてアプリのトップも大幅にリニューアル。多くのジャンルがあることがわかるようなアプリになりました。

ここまでダイナミックな変化をする挑戦ができたということは、社員のみんながすごく頑張ってくれたからこそ。そして多くのユーザーさんから声が集まったからこそ。

ネットの不況や分断があった中でも年末の時点で会員登録者数200万人を突破することができたのは良いニュースでした。苦しい波の中でもきっちりと成長ができたというところは、これからの自分たちの自信になると思っています。

Voicyフェスの参加者は1万2900人に

「Voicyフェス」はすばらしかったです。去年のリベンジで「参加者1万人を超えるぞ」という目標を立てて全社一丸となって取り組んだ結果、チケット代が3900円という価格ながらも、1万2900人もの方に参加していただきました。

Voicyみたいな単体のアプリ内で行われるイベントで、この規模のイベントは他にないと思うので、そこは新しい挑戦ができました。

Voicyフェスはファンフェスタとしてやっていたときから数えると、もう6年くらいやってきていますが、徐々に大きくなってきていて、イベントのブランドがしっかりとつきはじめたことも大きいですが、あとはやっぱりVoicyという母体のサービスの成長が結果に繋がったのかなと思います。

「音声に活路はないか」という期待を感じる

というわけで、今年はおそらく世の中のいろいろなtoCサービスが苦しんだであろう中で、Voicyとしてはなんとか形にできた感じではあります。

流通総額はどんどん上がってきていますし、Voicy上で収益を上げられる人も増えてきました。実は社内で立てた大きな目標は達成できませんでしたが、我ながら社内のメンバーを褒めたいですし、感謝しています。

周りを見渡してみても、音声配信をする人が増えたのはもちろん、ビジネス視点でも音声に目を向ける人が増えました。

採用目的や顧客とのリレーションをつくるために音声を活用しようという、企業ニーズは明確に形になってきました。

いままでのように広告をつくったりしてもなかなか効果が出ない中で、AIの登場でコンテンツ過多になりつつある。「音声だったらしっかりと聞かれるんじゃないか」「音声に活路はないか」「エンゲージメントの高い発信はできないのか」という期待は強く感じます。

Voicyの社内報やチャンネルへのスポンサーも、今後はますます伸びていくと思います。

これだけの激変の中よくやったな

Voicyにとって、2023年はどんな年だったんだろう。

ひとつは社会の踊り場の中で業績を落とさずにちゃんと伸ばせたということ。ここ数年の中でもすごくがんばった年だったと思います。社内見渡しても全員が生き生きとそれでいて必死に走り回ってるのがわかります。

それから僕自身について言うと、今年は未来を考えるところにかなりの時間を使わせてもらいました。いままで自分が直接やっていた仕事を各リーダーに任せて、今年は手離れができた年だったな、という感慨もあります。その一方で更に自分の目線とポジションを高くするとまたレベル1からスキルアップが必要な部分もあり、年中自分の力不足と個人の成長速度に焦る一年になりました。

トータルで、これだけの激変の中よくやったな、という1年だったと思います。「よし、間違っていることはしていないんだ」と、確信できた年でもありました。

さて、2024年はどんな年になるでしょうか。

僕らはどんなチャレンジができるか。まあ、なんだかんだ、たのしみではあります(よく考えたら去年も「大変な1年だった」と言っていますからね)。


このnoteを読んでくれた皆さん、今年も1年間ありがとうございました。

声の編集後記

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