見出し画像

モニターの向こうに

 たまに見つける時がある。

 そう、男性が好むビデオで見つけてしまうのだ。
 今までの指名嬢の中には、3人いる。
 最初の子は知らずにいたが、その子が店を辞めて連絡が取れなくなったあと、その店の子に聞いた。この子は、店をやめたあと深夜番組に出ていたそうで、私が知らなかっただけである。
 二人目は「昼職やってる」って言っていて、そのことで相談されたのだがどうも要領が得ない。そこで「オレが頭悪いのかもしれないけど、どうも話が見えない」と言うと、「実は、、、」という感じで、指名嬢から告げられた。
 最後の子は、二人目と同じ事務所に所属していたのを知っていたのでカマかけたら、全然普通に「そうだよ」って答えた。この子は「自分からは言わないが、聞かれれば答える」と話していた。
 出演していたからといって指名は変えなかった。その話ばかりをすることもなかったし、その後、全然その話に触れないということもなかった。二人目などは進行形だったこともあり、「○月○日は撮影だから、店にでないよ」っていうメールが来て、その後の同伴で「最低の撮影だった」などと愚痴を聞いたりもしていた。
 あたりまえだが、出演したものも見た。感想を聞かれることもあったが、答えるのに非常に困った。結局「シチュエーションの好き、嫌い」で答えるしかなく、逆に「あれは、大変じゃなかったか」とか「いつからあれがNGじゃなくなったの」などとこちらから質問をして、しのいだ。
 モニターの向こうにいた子が、今、目の前にいて、同伴で食事をしている。モニターの向こうでは「誰でもいいから私を、、、、、」等と言っているが、目の前の彼女はごく普通の恋愛感情で行動するわけで、決してそんな事は思ってはいない。不思議な気分だ。
 当然、説教もしないし、出演する理由も聞かない。話したければ、彼女たちから話すからだ。
 二人目の子は、キャバクラから去って踊る仕事をしているが、今でもメールをしたり、時々は踊る姿を見に行く。友達とは呼べないが、単純な知り合いでもない。そう、指名している時も、どうやら私にしか話していなかったみたいで、そういった意味から他の指名嬢より親密だった気がする。その子の心にちょっとだけ触れた気がする。
 こういう指名、私は好きだ。

※2005年9月記述

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?