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【基礎編】からだのしくみ。#1'

桜が散ったかと思えば、唐突に夏がやってくる。盆地は湿度が高くてすでに蒸し暑い。カラッと晴れた、海風の気持ちいい淡路島への帰省をこらえて、今日は前々から書きたいと思っていたからだのおはなしシリーズにとりかかりたいと思います。

今日のタイトルは「からだのしくみ」ですが正確には「生命活動の仕組み」。福岡伸一さんの『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』という本の内容をもとにまとめています。

食べるってどういうこと?

唐突ですが、食べるってどういうことでしょう。実践中のメガビタミン療法に出会う前はよく胃腸炎になりその度に絶食をしていました。この絶食が本当に辛い。衰弱して動けなくなるんですね。で、少しずつ食べられるようになると食事のパワーに驚く。食べないと動けないんだ、と。そんな経験から「食べる=エネルギー補給」のようなイメージを持っていました。

でも、分子栄養学の勉強を進めるうちに、食べる=エネルギー補給だけではないということが見えてきました。特にタンパク質の働きを理解すると、生命活動そのものが見えてきたのです。世の中の関心も糖質からタンパク質へ変化し、その重要性は広く認知されるようになってきました。諸説ありますが人間は1日に約60gのタンパク質の摂取が必要と言われています。なぜ、わたしたちは他の植物や動物の生命を奪ってまでタンパク質を摂取し続けなければならないのでしょうか。

タンパク質は情報の塊

「からだのおはなし。#1」でも記載しましたが、わたしたちの体はタンパク質でできています。筋肉も爪も消化酵素もみんなタンパク質。タンパク質はアミノ酸がいくつも連結した高分子化合物。20種類のアミノ酸の組み合わせ(構造)の違いが働きの違いを生み、わたしたちの体は約10万種類のタンパク質でできていると言われています。

余談ですが今日の我が家の晩ご飯はバターチキンカレー。鶏肉100gには約25gのタンパク質が含まれています。ここにはニワトリを構成していたタンパク質の情報がぎっしり含まれています。つまり食事とはいろんな形(構造)をしたタンパク質をわたしたちの体内に取り入れる、ということなのです。

消化とは?

取り入れたあとはどうなるのか。真っ先に思いつくのは消化、ですよね。ここでいう消化とは何を意味しているのでしょうか。学校で習ったイメージでは吸収しやすくするために細かく分解するという感じ。他の生命のタンパク質の構造をわたしたちはそのまま吸収することはできません。もしそのまま体内に入れば他者のタンパク質の構造と自分のタンパク質の構造がぶつかり合い、アレルギー反応や炎症反応が起こります。

なので一旦タンパク質構造をバラバラに分解する。これが消化です。文中で福岡さんはすばらしくわかりやすい例えを挙げてくださっています。

(P72)タンパク質が「文章」だとすれば、アミノ酸は文を構成する「アルファベット」に相当する。「I LOVE YOU」という文は、一文字ずつ「I,L,O,V…」という具合に分解されそれまで持っていた情報をいったん失う。

アルファベットまで解体されたアミノ酸は再び合成され、元とは全く別の様々なタンパク質に生まれ変わります。このタンパク質の合成から生み出されるタンパク質量は1日200〜300g。ん?計算が合わない。食事から摂取する推奨タンパク質量は60g。実は残りのタンパク質はわたしたちを構成する60兆個細胞の中にあるDNAから作られています。

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コラーゲンはお肌に良いのか?

タンパク質の分解、合成の仕組みがわかれば、答えはすぐにわかりますね。特定のタンパク質を摂取しても、分解されアミノ酸になります。福岡さん風に表すと「collagen」を摂取しても「collagen」の形のまま吸収されることはありません。「c,o,l,l,a,g,e,n」バラバラのアミノ酸になり「call」「gone」など全く別の意味を持つ単語に生まれ変わります。(実際はDNAからできたアミノ酸とも合成されるので他のアルファベットも混ざったものになるんですね。)なので美肌に効果あり!といってコラーゲンを摂取しても肌に必要なタンパク質になるのはごくごくごく一部だということで意味がないのです。コラーゲン摂取するならプロテイン +ビタミンCの方がよっぽど効果あり。

生命活動とは何か?

美容業界が盛んなのも、人々がいつまでも若くいたい、と思うから。わたしだって、ほうれい線が気になる年頃になりました。でも、どんなに願ってもわたしたちが存在する宇宙では鉄は錆び、水は枯れ、熱は奪われ…このエントロピー増大の法則は避けられません。

この避けられないエントロピー増大に対して生命は活動を維持するために、エントロピー増大に先回りして自らを壊し、再構築するという仕組みにたどりついたのです。タンパク質の合成と分解は驚くべき速度で繰り返し、動的平衡を保っています。それでも人間は必ず、死ぬ。分子レベルで損傷が蓄積し、やがてエントロピーの増大に追い越されて、命が途絶える。その頃には次世代に生命がバトンタッチされ、この繰り返しにより38億年生命は生き続けることができたのです。

(P.277)「生きている」とは「動的平衡」によって「エントリピー増大の法則」と折り合いをつけるということである。換言すれば、時間の流れにいたずらに抗するのではなく、それを受け入れながら、共存する方法を採用している。

美しくあるためには、不自然に争うのではなく、このサステイナブルな活動を疎外しないように普通でいることが一番、自らの体を動的平衡にゆだねるしかないと福岡さんはおっしゃっています。

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健康でいるために

分解と合成を絶え間なく繰り返す動的平衡。老いは分子の損傷が原因だとすれば、できるだけ良い材料を取り入れ、質の良いタンパク質を作ることが大切だと考えつきます。タンパク質が不足すると、使い古されたアミノ酸が合成に使われ、粗末なタンパク質が出来上がり、タンパク質の異常が病気につながるのです。

「You are what you eat.」
ー汝とは、汝の食べた物そのものである

食事から必要なタンパク質量を毎日摂取するのは大変なのでわたしはプロテインでカバーしています。質、コスパに頭を抱えながら1年間色々と試してみたので次回はプロテインレビューについてもまとめたいと思います。

長々とお付き合いくださりありがとうございました。
さ、そろそろバターチキンカレーを作ろう。

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