2番目の猫の話

1982年、大学合格を機に上京する。住んだのは中央線国分寺駅から徒歩5分くらいのボロいアパート。ひとりで上京して学生向けの不動産屋へ行っていくつか紹介してもらって家賃17,000円の風呂無しトイレ共同四畳半一間のアパートに決めたのだった。

キレイとは言い難いトイレにはデカいマリリンモンローのヌードポスターが貼ってあり、いろいろと70年代をひきずってた。

そこは狭い生活道路の四つ角に建っており、部屋は1Fの角地。アパートの外には一応ブロック塀があるけど腰くらいの高さしかなく、窓を開けたらすぐ世間という世間がとても近い部屋で、もちろんエアコンはないので暑くなってくると窓を開け放っていたので、ときどき近所の子供がそこから遊びにきたりしてたのだが、いつの間にか猫も出入りするようになったのである。

窓から勝手に入ってきて部屋でくつろいだり悪さしたり(よく課題の邪魔された)、時には窓から入ってきてそのまま部屋を通り過ぎて玄関までいって鳴くので開けてやるとそのまま出ていったり。通路かよって感じ。

あるとき、その猫の鳴き声がするのだが、姿が見えない。

遊びに来てた彼女と一緒に探すと、2Fの部屋に閉じこめられていた。そこの人が世話してたのかもしれない。

その2Fに住んでた人が引っ越すのと同時に姿を見なくなったのできっとそうだったんだろう。

1983年頃の話。写真は無い。

10年くらい前に訪れたら、同じ場所に同じような名前で真新しいこじんまりとしたアパートに建て替わってた。


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