出版業界は本当に静止画ダウンロードの違法化を容認するつもりなのか?

海賊サイト「漫画村」に端を発したインターネットの「ブロッキング」の是非の問題ですが、ここにきて、ブロッキングは見送る代わりに、既に処罰化された映画・音楽に続いて静止画についても「違法にアップロードされた静止画をそれと知りながらダウンロードする行為」を違法化ないしは処罰化する法改正が濃厚になってきました。

追記:共同通信の報道によれば、文化庁はインターネット上へ違法に配信されたと知りながら、有償の漫画や小説などをダウンロードする行為に2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科す方針を固め、来年の通常国会に著作権法の改正案を提出するとのことです。
https://this.kiji.is/443706076120892513

広く犯罪化しておいて、普段は取り締まらないから大丈夫ですよという運用は、実はとても怖いものです。皆が日常的に行っていた/行わざるを得なかった行為が、ある日いきなり逮捕や家宅捜索の理由になります。違法にアップロードされたコンテンツのダウンロードの犯罪化はその典型と言えるでしょう。

先日の文化庁の会議でも、日経の講談社へのインタビューでも、映画や音楽のダウンロードが処罰化されても、それだけで逮捕なんて運用にはなってないから大丈夫、みたいな趣旨の、静止画DL違法化への不安を払拭しようする発言がありましたが、そういう広い範囲の犯罪化と恣意的運用こそが危ういように思います。

例えば皆さんが会社で資料作りを命令されたとしましょう。参考にダウンロードしたいPDFがあるけど、その中に著作権処理がアウトっぽい画像が一部含まれていたとします。形式的には犯罪に該当するとしても、それくらい普通は問題とされるはずがない状況なので、周囲の同僚も他社のライバルも気にせずダウンロードしています。あなただけダウンロードせずにいられるでしょうか?

しかし、当局は、あなた以外の人たちのことはスルーでも、あなたについてだけは逮捕をしたい理由があるかもしれません。公安捜査に協力するスパイになってくれとか、警察の不正を証言しないでくれとか、あるいは別件逮捕とか、国策捜査とか。実のところ、ダウンロードの犯罪化なんて、そういうことの役にしか立たないのではないでしょうか。(海賊版を使わせないための心理的な規範としての効果だって怪しいものです)

これまで、出版業界は、警察が暴走する可能性を指摘して、様々な刑事法の改正に反対したり、刑事政策の運用に異議を唱えたりしてきたはずです。今回のような、出版業界自身の経済的利害に直接関わる局面だからこそ、そういったこれまでの基本的な姿勢はいったい何だったのかということが問われているのだと思います。

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荻野幸太郎

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