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不健全図書審査の透明性確保

 一昨日の2022年11月14日、東京都青少年健全育成審議会の期が改まり、第30期が新会長を選任してスタートしたわけですが、今期も不健全図書の指定を審査する部分について非公開を継続するかどうかが議論となりました。
 結論からいうと、非公開が継続です。委員がプレッシャーを受けることなく自由闊達に発言できる環境を確保することや、審査の対象となった図書の関係者への影響など、さまざまな観点から公開は難しいという意見が大勢をしめたわけです。

 しかし原則として本来なら公開すべきという制度趣旨が改めて確認され、例外的に非公開とする理由が審議の中で明確化されたことには意義があったように思います。
 不健全図書の審査部分について非公開にする必要があることは、私としてもそれほど異議ないわけですが、問題は、その記録の扱いについてのように思います。

 現在、審査部分の議事録は、どの委員が発言したかを匿名化した上で公開をしています。そして、発言者が匿名のまま、3年たったら公文書保管期間が終了ということで廃棄するという運用です。

 昨日の審議会の冒頭にあった、今期の審査のあり方についての議論の中で、都議会議員の藤井あきらさんから、審査自体は非公開とするにしても、議事録で委員の誰が発言したかを隠し続ける現行の制度には、やはり問題があるのではないかという指摘がありました。

 さまざまな理由ですぐには公開できないとしても、一定期間が経過した後であれば、歴史的な検証のために、どの委員がどのような発言をして不健全図書が決められてきたかを明らかにすることが行政の透明性確保の観点から必要であるとの趣旨であり、そのような形での公開すらできないことに、いったいどのような理由があるのかという問いかけです。
 しかし、藤井さんのこの重要な指摘について、審議会では、特に議論されることなく終わってしまいました。会議自体を公開できない理由や、議事録をさしあたり匿名でしか公開できない理由のみが、他の委員からあげられたり、事務局から説明されたりするのみでした。

 私としては、不健全図書指定の審査の議事録については、永久保存で公開し、すぐには公開できない部分(発言者が誰かや、指定されなかった場合の書名等)についても、関係者への影響とのバランスを考えて、十分に経過した時点からは公開に切り替えるという方針が望ましいように思います。

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