記録

齢27にして、同年代の知人が亡くなってしまった。身内ではない知人が亡くなったのは初めてだった。
祝日にも葬式はやるんだということを恥ずかしながら初めて知った。

言語化できないなにかがいまだに心を締めつけていて眠れない。

身近な人が亡くなること自体は初めてではない。もう5回身内の葬式に参加している。だけど絶対に慣れやしない。

漫画の世界で人はたやすく死んでいる。血飛沫をあげて破片になっていく。それを普段私は平気な顔をしてページをめくり、時には興奮できるエッセンスとして消化してしまいもする。好きなキャラが亡くなっても通夜告別式なんて一切頭によぎることはない。

けど現実の死は色もなくて音も単調で、儀式的で途方もなく遠くて拒絶感があって、それなのに自分の身近に強く迫ってくる圧迫感があるものだと、忘れていた記憶を思い出した。人間は死ぬのだった。そういう生き物だった。いや他にもいろんな気持ちが渦巻いていると思う。
だけど上手に整理できていない。ぐちゃぐちゃな気持ちのまま書いている。正直なところ「100%大事な人を失った悲しみ、喪失感」というわけはなさそう。実際に葬式の地に行くまでは、まだ自分の中で感情を消化できていたつもりだった。けど現場で襲いかかってきたなにかに今もとらわれている。私はあの場でなにを視てきたのだ?現実にはないなにを視て感じ取って来たのだ?自分でもよくわかっていない。ぼやけた形のなにかがこびりついている。

眠れない。静かな夜。
だけど気づけばもう朝がやってくる。
平気な顔して当たり前の朝がやってくる。
私だけ、あの場所にいた全員だけ、平気じゃない気がしている。


それでも死んだのは知人で、
私は生きている。


口の中に冷たくなった寿司の味が残っている。

生きていきます。どうしようもなくても。