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多文化共生と外国籍住民に対する支援について

荻野泰男が前任期中から継続的に取り組んできたテーマの一つに「多文化共生と外国籍住民に対する支援」があります。

このテーマについては、過去に3回にわたり一般質問で取り上げました。その際のやり取りを紹介いたします。

■ 平成29年(2017年)9月定例会 の一般質問より

[◆荻野泰男]

 それでは次に、外国人に対する支援に入ってまいりますが、外国人の実態調査の実施、多文化共生に係る指針、計画の策定、専門部署の設置等について、再び鈴木市民部長に質問いたします。

 ここで直近の人数等の確認はしませんけれども、住民登録している外国人の方は本市に約4,500人ぐらいですか、恐らく、率にすると全体の1.3%ぐらいになるんでしょうか、そのぐらいになるんじゃないかと思います。そこで、本市に住んでいる外国人の実態ですとか、行政が提供する情報サービス等の認知度や活用状況を把握するために、アンケート調査を実施してみてはどうかと考えますが、御見解をお伺いいたします。

[◎鈴木市民部長]

 まず、本市に在住する外国人市民の数でございますが、本年8月末現在での住民基本台帳上は4,975人となっております。これは10年前と比べますと約25%増となっておりまして、今後も増加していくということが見込まれております。

 本市では、さかのぼりますこと平成9年2月に、外国人市民600人を対象としまして、生活状況で困っていること、市に望むことなどを伺うアンケート調査を実施しております。この調査では、市政情報が十分に行き渡っていないとか、窓口や手続きのわかりにくさを感じる外国人市民が多くおられるなどのことが明らかになってまいりまして、これらを踏まえた対応につきましては検討を行い、市の施策にも反映してきたところでございます。

 しかしながら、既に20年が経過しておりまして、現在では外国人市民の数、あるいはその取り巻く環境が当時と比べて大きく変わってきておりますことから、多文化共生の推進を行うに当たりまして、改めて現状を把握する必要があると考えているところでございます。

[◆荻野泰男]

 部長のほうからも、今後もふえていくんじゃないかというようなお話がございました。市のほうでも産業用地の創出とかやっておりますので、今後、人手不足がかなりまた深刻化してくると思いますので、それに伴って本市の外国人の方もふえていくんじゃないかなと私も考えております。

 そこで、庁内の関係各課における外国人への対応状況について、調査等は実施されたことはあるのでしょうか。また、横断的な連絡調整を行う体制の整備ですとか、専門部署の設置について今後検討すべきだろうと考えますが、御見解をお伺いいたします。

[◎鈴木市民部長]

 庁内調査につきましては、今後の多文化共生の推進に向けた取り組みの参考とするために、昨年の12月に、各部署におきます外国人市民への対応及び情報提供の状況についてという調査を行いました。この結果で、所属において外国人市民の皆様への対応の頻度や難易度の差が大きいこと、さらに、多文化共生に対する職員の理解度に違いがあることなどが明らかとなりました。現在、これらの課題を解消するために、わかりやすく、平易な日本語により行政の仕組みを伝える資料の作成、その他の手法の検討、職員を対象とした多文化共生研修の実施などを検討しておりまして、また、議員御指摘の連絡調整のための体制整備につきましても、その必要性を認めて検討しているところでございます。

[◆荻野泰男]

 多文化共生を推進していく必要があるということは、部長もお考えになっているということなんですけれども、やはりなかなか市役所だけでは対応し切れないという面が多いかと思いますので、そこで、市内に存在するそういったリソースに関する情報共有をした上で、例えば、NPO法人を初めとする各種団体ですとか、教育機関、自治会、あるいは事業所等との連携や協働をより積極的に図る必要があると思いますが、御見解をお伺いいたします。

[◎鈴木市民部長]

 まず、現状につきましてですが、市内の各種団体等との連携、協働につきましては、現在も行っているところでございまして、日本人市民と外国人市民の共生意識の啓発、これを目的としました所沢市国際交流フォーラム、この開催に向けまして協力をしておるところでございます。その主催者でございます実行委員会は、外国人市民の近くで活動されておられる複数の国際交流ボランティア団体などで組織されておりまして、多文化共生の推進に向けた協力関係を築いているところでございます。

 また、有志によって毎年度開催、運営されております外国人生徒向けの高校進学ガイダンスにつきましても、外国にルーツを持つ青少年を支援する重要な取り組みでありますことから、事業の実施に必要となるサポートを教育委員会とも連携して行っているところでございます。

 今後につきましても、引き続き、現在協力関係にございます団体との連携を強化するとともに、外国人支援を行います新たな人材の獲得や育成などについて、民間の力もおかりしながら協力して取り組んでまいりたいと考えております。

[◆荻野泰男]

 それでは、もう1点、最後にお聞きします。
 平成18年に、総務省のほうで地域における多文化共生推進プランというのが策定されております。その中で、市町村の役割として、区域内における多文化共生の推進に係る指針、計画を策定した上で、外国人住民を直接支援する主体としての取り組みを行うこととされております。

 また、埼玉県のほうでは、今年度から新しい計画期間に入ったのですけれども、多文化共生推進プランというのが策定されておりまして、その中でも市町村の役割として、できるだけ早期に多文化共生の推進に係る指針を策定することが求められております。

 県内では、2万人以上の外国人が居住している川口市がかなり積極的に取り組んでいるようでありますけれども、本市においても、多文化共生の推進に係る指針の策定に向けて検討すべきであると考えますが、御見解をお伺いいたします。

[◎鈴木市民部長]

 今、議員御案内いただきましたように、総務省及び埼玉県が策定しておる、この両プランの趣旨は十分理解しているところでございます。まずは、アンケート調査などによりまして、本当に必要とされていることが何なのか、これを明らかにするなどして実情の把握に努めてまいりたいと思います。

[◆荻野泰男]

 このテーマについては、なかなか私も調べれば調べるほど奥が深いテーマだなという感じがしまして、また継続的に取り上げていきたいのですけれども、ちょっと次の部長の頃になってしまうのかなというのがちょっと残念ではあります。

 それでは次に、ごみ分別アプリの多言語対応化について、越阪部環境クリーン部長に質問いたします。

 このテーマについては、平成27年9月、ちょうど2年前になりますけれども、取り上げさせていただきまして、ごみ分別アプリの多言語に対する機能の追加については、今後の課題として調査、研究していきたいというような御答弁をいただきました。その後、先行する自治体の事例もふえているようであります。近隣ですと、東村山市ですとか、西東京市などがありますが、まずは、これまでの取り組み状況についてお伺いいたします。

[◎越阪部環境クリーン部長]

 初めに、ごみ分別アプリの現状について御説明申し上げますと、平成26年5月に導入し、本年7月末現在でございますけれども、累計で1万8,703件のダウンロードがされているところでございます。利用者の方からは、分別に迷ったときにすぐ調べられるとか、アラート機能により、きょうの収集品目がすぐわかるなど、大変好評をいただいているところでございます。

 議員のほうから御質問は、平成27年3月定例会におきまして、ごみ分別アプリの多言語対応ということで御質問を受けまして、その後でございますけれども、どれぐらいの外国籍市民の方の御利用をいただいている可能性があるかという需要面での検証や、どれくらいのごみの分別、減量が進展する可能性があるのかという効果面での検証等を、今日まで継続的に進めているところでございます。

 この検証に当たりましては、本市に居住する外国籍市民の人数と、その使用言語の割合を調査するとともに、アプリの多言語化を行った自治体の数も、先ほど申し上げたみたいに少しずつでもふえてきているような状況でございますので、多言語対応版アプリの利用状況や外国籍市民の利用割合、その効果などにつきまして、聞き取り調査などを他の自治体に進めているところでございます。

 あわせまして、多言語化に際しましては、どのようなカスタマイズの方法があるのかなどの洗い出しや、それぞれの導入コストやランニングコストがどうなるかなどにつきましても、ごみ分別アプリを共同開発いたしました専門業者と協議を続けているところでございます。

[◆荻野泰男]

 ちょうど私も、先日たまたまある市民の方から相談を受けまして、近所に外国の方が引っ越してきたのだけれども、なかなかごみの出し方をわかってくれないというような御相談がありまして、やはりこういったものはあるほうがいいのかなというふうに、そのときも改めて思いました。そこで、今後の方針について、お伺いいたします。

[◎越阪部環境クリーン部長]

 外国籍市民の方が、ごみを適切に分別していただくに当たりましては、情報提供の充実が大変重要であると考えておりまして、ごみ分別アプリ多言語化につきましても、外国籍市民の方への情報提供の手段の一つとして大変有用なものと考えているところでございます。

 議員御提案の趣旨は、私といたしましても十分理解しているところでございます。このごみ分別アプリの多言語化の対応につきましては、実際形成しているデータを、全てを言語ごとに翻訳する必要があるほか、カスタマイズ費用とともに、ランニングコストである維持管理費の増額も必要になると考えております。

 つきましては、先ほども御答弁いたしましたけれども、外国籍市民のアプリに対する潜在的な需要の確認や費用対効果の検討、それから、先進自治体の行っているアプリ多言語化への状況や活用度合いなども注視しつつ、現在、紙ベースで行っております情報提供のあり方なども勘案し、総合的に判断してまいりたいと考えております。

 また、暫定的な対応といたしましては、現在配信中のごみ分別アプリから市のホームページのほうにリンクし、家庭の資源とごみの分け方・出し方外国語概要版のほうに閲覧できるように早急に整備してまいりたいと考えております。

■ 令和元年(2019年)6月定例会 の一般質問より

[◆荻野泰男]

 それでは、次に、外国人に対する支援について、川上市民部長に質問いたします。
 このテーマにつきましては平成29年9月定例会でも取り上げまして、その後、いわゆる入管法の改正もあり、昨年度は行政監査のテーマにも取り上げていただきました。

 まず、直近の住民登録している外国人の数、人口に対する割合について改めて確認させてください。

[◎川上市民部長]

 5月末日現在、本市に住民登録をしている外国籍市民の数は5,896人でございます。また、外国籍市民の本市の総人口に対する割合ですが、約1.71%でございます。

[◆荻野泰男]

 6,000人にも迫ってきて、率でも大分2%にも近づいてきたかなというところなんですけれども、平成29年9月定例会の際に当時の市民部長が、わかりやすく、平易な日本語により行政の仕組みを伝える資料の作成、その他の手法の検討、職員を対象とした多文化共生研修の実施などを検討しているというような趣旨の答弁をされていましたが、その後の取り組み状況について、また、庁内の連絡調整のための体制整備ですとか専門部署の設置についての見解も併せてお伺いいたします。

[◎川上市民部長]

 行政の仕組みを外国人にわかりやすく伝える手法につきましては、日本語の難しい単語を簡単な言葉に言いかえるなどの工夫をした、やさしい日本語と呼んでおりますけれども、こちらの活用を推進するため、職員向けの研修を実施するとともに、その活用を各課に呼びかけているところでございます。併せて、学識者を講師にお招きしまして「多文化共生の概論と改正入管法」をテーマにした職員向け研修を実施するなど、職員が多文化共生への理解を深める機会の提供に努めているところでございます。

 また、体制の整備や専門部署の設置につきましては、必要に応じて検討するものと考えているところでございます。

[◆荻野泰男]

 少しずつ取り組みも進めてはいただいているのかなというところなんですけれども、鈴木前市民部長は当時、多文化共生の推進に当たり、アンケート調査などによって本当に必要とされていることが何なのかを明らかにするなど、実情の把握に努めたいとも発言をされていましたけれども、その後、実態調査等は実施したんでしょうか。

[◎川上市民部長]

 外国籍市民の実情の把握につきましては、まずは住民基本台帳をもとにしまして、在留資格、年齢、国籍と居住地区の関係等の属性を分析したところでございます。

 その結果を申し上げますと、本市の特徴としては、全国や埼玉県のデータと比較いたしますと、技能実習生の割合が低く、日本人の配偶者である方の割合が高いこと。年齢別の人口をみると20代が最も多く、30代、40代と続くこと。国籍と居住地区の関係には一定の傾向があることなどが挙げられます。

 これらの分析結果を踏まえまして、現在、外国籍市民の方の生活実態の傾向やニーズの違いをより詳細に把握するため、実態調査の準備を進めているところでございます。

[◆荻野泰男]

 実態調査の準備を進めているところということなんですけれども、お隣の川越市では平成11年、もう20年前ですけれども、外国籍市民会議というのを設置しまして、毎年テーマを設定して外国籍市民から意見などを聴取し市政に反映しているということです。本市においても外国人の方から定期的に意見を聴取する機会を設けてはいかがでしょうか。

[◎川上市民部長]

 外国籍市民の意見を聴取する機会につきましては、まずは、さきに述べました実態調査を進める中で、他の調査の必要性も含め研究してまいりたいと考えております。

[◆荻野泰男]

 次に、以前も申し上げたんですけれども、NPOなどをはじめ各種団体等との連携の強化を図るべきではないかと指摘させていただいたことがありましたが、外国人支援を行う新たな人材の獲得ですとか育成について取り組んできたことがあればお伺いしたいと思います。

[◎川上市民部長]

 外国人支援のための人材の獲得や育成につきましては、外国籍市民との交流の場であります国際交流フォーラムにおいて、実行委員会や参加者の中から協力を得ることができるような人材や組織を発掘するなど、民間レベルでの人材獲得に努めているところでございます。

 また、庁内におきましても多文化共生に関わる高度な知識や分析、立案能力を有する多文化共生マネジャーというのがございます。これを養成するために、昨年度、全国市町村国際文化研修所が開催している養成講座に職員を派遣するなど、人材の育成に努めているところでございます。

[◆荻野泰男]

 今後の多文化共生の推進に係る指針ですとか計画の策定についての考えについてお伺いしたいと思います。

[◎川上市民部長]

 多文化共生の推進に係る指針や計画につきましては、さきに述べました調査などにより外国籍市民の実情を把握した上で、その必要性を検討すべきものと考えているところでございます。

 一方で、関係部署への調査の結果として、外国籍市民の増加に伴う多言語での情報提供が課題として挙げられていることから、まずは外国籍市民への情報提供の考え方を整理しまして、窓口での対応に役立つ実用的なガイドラインの策定を検討してまいりたいと考えているところでございます。

[◆荻野泰男]

 ありがとうございました。
 このテーマにつきましては今後も継続的に取り上げてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

■ 令和3年(2021年)12月定例会 の一般質問より

[◆荻野泰男]

 続きまして、外国人に対する支援について、引き続き川上部長に質問いたします。
 このテーマについても、これまで何度も取り上げてまいりました。
 まず、確認なんですけれども、直近の住民登録している外国人の人数と、市全体の人口に対する割合について確認させてください。

[◎川上経営企画部長]

 11月末日現在の数字を申し上げますと、住民登録している外国籍市民の数が6,089人でございます。また、市の総人口に対する外国籍市民の割合につきましては、約1.77%となっております。

[◆荻野泰男]

 いよいよ6,000人も超えたのかなという感じですけれど。それで、前回質問したのが令和元年6月だったんですけれども、その際、川上部長は市民部長でいらっしゃいましたが、住民基本台帳を基にした分析結果を踏まえ、外国籍市民の方の生活実態の傾向やニーズの違いをより詳細に把握するため、実態調査の準備を進めているというような趣旨の答弁をされていたんですけれども、その後、実態調査は実施されたんでしょうか。

[◎川上経営企画部長]

 調査につきましては、この10月から11月にかけて、市民課窓口や日本語教室、また、多数の外国人を雇用する市内の企業等で、外国籍市民を対象としたアンケートによる調査を実施したところでございます。

[◆荻野泰男]

 ちなみに、そのアンケートの対象となった人数って、どのぐらいだったんですか。

[◎川上経営企画部長]

 今、資料がございませんので、お答えすることができません。申し訳ございません。

[◆荻野泰男]

 この10月から11月にかけて行ったということなんですけれども、それでは、その実態調査の結果は今後の取組にどのように活用していくお考えなんでしょうか。

[◎川上経営企画部長]

 今回の調査では、国籍、居住年数であったり、語学能力、あと日本人、外国人との交流の有無や、現在困っていることや、市に求める支援等を項目として設定いたしました。この調査の結果につきましては、外国籍市民への支援策を検討するための基礎資料として活用してまいります。

[◆荻野泰男]

 そういったアンケートの対象、調査ができるような方というのは、割と行政からもアプローチがしやすい方なのかなというふうに思いますし、逆に、本当に困っている方というのは、そういう行政のアプローチも届かないというところもあるかと思いますので、なかなか調査というのは難しいんだろうなというのは私も思いました。

 それから、これも令和元年6月定例会のときに川上部長が答弁されていたんですが、窓口での対応に役立つ実用的なガイドラインの策定を検討したいというようなこともそのとき答弁されていたんですが、その後の検討状況はいかがでしょうか。

[◎川上経営企画部長]

 ガイドラインにつきましては、今回の調査の結果を踏まえ、策定の必要性や有効性について引き続き検討してまいります。

[◆荻野泰男]

 これからの検討ということですね。
 それでは、昨年度、令和2年度に新規事業ということで、多言語対応端末の導入がされたかと思うんですが、その活用状況はどうなっていますか。

[◎川上経営企画部長]

 多言語翻訳機能を搭載したタブレット、こちらにつきましては、本庁2階のこども未来部窓口とこども支援センター、また、保健センターに設置されており、窓口対応や保健師による母子訪問等で使用されております。利用件数といたしましては、月20件程度とのことでございます。

[◆荻野泰男]

 分かりました。一応通告書には、多文化共生に係る指針・計画の策定とか体制の整備と書いたんですけれども、まだなかなかその段階には至っていないのかなというふうに思いましたので、それについては、また次回以降に譲りたいと思います。

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