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組織で長く生き残るにはどうすればいいか?「組織」に悩むなら『七人の侍』を見よう◆七人の侍【ぷろおご伊予柑の大預言】


対談:ぷろおご伊予柑の大預言をアーカイブしています。
収録は2023年10月です。




ぷろおご 生茶 伊予柑



組織論を学びたければ、『七人の侍』を見るべき


伊予柑:公開収録2本目です。今日のテーマは、七人の侍。



普段は古典を読んで対談しているんですけれど、今回は映画『七人の侍』です。超有名な作品だから1回いってみようということで、選んでみました。

ここに20人集まっていただいてるんですけど、見たことある人いますか?



伊予柑:すごい。7割くらい手が上がってますね


ぷろおご:なんか八百長みたいだね。見させてるじゃん。こわいよ


おや、『七人の侍』を観ていない・・・?
まわりをご覧なさい。あなただけですよ

『ミッド・ナイト』


伊予柑:いろんな方にnoteを書いていただいたんですけど、そのなかから生茶さんに感想を聞こうと思います。その前に軽く、ぷろおごはどうでした?


ぷろおご:なんかすごいセリフが聞き取りづらかった

伊予柑:前半は何言ってるかわからないですね

ぷろおご:何言ってるかわからなかったけどあれです。村人たちが野蛮な武士に苦しんでいて、武士を雇って守ってもらおうぜってところからはじまるらしいですよ


伊予柑:超序盤だな



ぷろおご:7人、いろいろなパーソナリティがあり、いい感じにそれぞれがワークしてましたよね

伊予柑:感想がうすい。生茶さんに軽くまともに説明いただいて、


生茶:『七人の侍』は組織論の映画ですよね。

あらすじとしては、侍をリクルートして守ってもらおうっていうところがはじまりです。それで、町でリクルートして、七人のいろんな個性ある侍が集まります。そこから実際に敵襲があったりして、その過程において組織でどのように人間が動くのかという



ぷろおご:なるほどね


働いたことのない人の弱点は「組織」にあり


伊予柑:組織論としてよく引用される映画です。

前半、後半がパッキリ分かれていて、途中で休憩が入る構成なんです。


前半では、村の村長が「侍を雇ったほうがいい。雇わなかった村は滅んだから」とか言うんですけど、「侍、無理っすよ」と若手に言われてしまう。それでも「侍もメシは食う、メシをだせ」って言って、メシだけで連れてこさせるんです。

ぜったい無理じゃんって絶望して侍を眺めているんだけど、なんとか頼み込んで、メシ一杯で「なんとかうちの村を救ってくれや」っていう嘘みたいな無茶をするんですよ


ぷろおご:全然公正なトレードじゃないんだ


伊予柑:はい。どうやって順番に仲間にしていくかっていうのが前半の部分で、いろんなキャラがいる


ぷろおご:おれ、働いたことないから、組織とかわからないんだよね




伊予柑:そういえば、ここに大学生がめっちゃいるんですけど、みなさん就活は不安なのでしょうか?


ぷろおご:就活終わった人?



伊予柑:終わった人がけっこういますね。すごい。就活まだの人は?

ぷろおご:大多数だ


伊予柑:生茶さんは就活は?

生茶:終わりました


伊予柑:おめでとうございます

ぷろおご:すごい

生茶:ちょっと留年しちゃいまして、留年期間ふくめると1年半やりました


就活で強い学生はアイドルにもなれる


伊予柑:最近の大学生は2年生ぐらいからガクチカなるものを作るという話を聞いたことがあるんですが、

ぷろおご:なんですか?ガクチカ?

生茶:学生時代に力を入れたことです。就活のエントリーシートとか履歴書とか面接の項目でよく使われるような質問でもあります

ぷろおご:学生時代に力を入れたこと

伊予柑:大学生は二次元キャラクターになりきってお話をする



生茶:就活だと、〇〇を通じて、どういった経験、学びが得られましたか?みたいなことをよく聞かれますね

ぷろおご:受かったんですもんね


生茶:僕のガクチカはゼミでした。論文をチームでつくりまして、それが学内で銅賞、50位中7位の成績をおさめました


ぷろおご:不思議な指標だ。ピンとこないけど、ピンとこないほうがいいのかな

生茶:あなたはあなたなりにどう頑張ったんですか?っていうところを説明できればいいんですよ。


ぷろおご:じゃあスマブラ。たとえば静岡県大会チャンピオンとか言ったら、ガクチカになるんですか?

生茶:静岡県チャンピオンは全国とっといてほしいですけど・・

ぷろおご:それってプレイヤーの人口によってかなり変わるじゃないですか。野球なのかアイスホッケーなのかによって、県大会優勝の価値って変わりますよね。そこらへんもちゃんと見てくれるの?雰囲気なの?



生茶:結果がすごかったらそれはそれで評価されるんですけど、結果がすごい人ってなかなかいないと思うんですよ。大会に出て1位取ったとか3位取ったとかってなかなかいないじゃないですか


ぷろおご:採用する人がけっこうわかってないといけないってことだよね

伊予柑:僕も面接やったりするんですけど、数字はあんま気にしないですね。静岡だろうが全国大会だろうが、ようわからんので

ぷろおご:じゃあ、なにを見るんですか?

伊予柑:そのエピソードにどういう切り口で本人が語るか


ぷろおご:スマッシュブラザーズ県大会をどう解釈するか、

伊予柑:よくあるのがそのためにどう努力されたんですか?みたいな、どういう努力をこういうふうにしました、みたいな

ぷろおご:それがちょっとおもしろかったら、いいね、となる

伊予柑:正直、おもしろさは見てなくて、それによってこいつは論理的に語るタイプだな、とかエピソード的に語るタイプだな、とかタイプ分類をしています

ぷろおご:なんでもいいんだ。自分の話をする仕草を見ているんだね

伊予柑:僕はそうしてます


就活を成功させたければ、選ばれるより選ぼう


ぷろおご:侍はどうなんですか?どうやってガクチカをみて採用していたんですか?


伊予柑:七人の侍の場合は、泣き落としでまずひとりの侍を落とし、あとはそいつが「おぬし、やるな」って選ぶんです

ぷろおご:「ほう、早稲田のラグビー部か、いけるよな」ってこと?

伊予柑:そう。ひとり頭みたいなやつが入ると、なぜか早稲田のラグビー部がついてきてくれるんですよ


頭:お前、車売れるよな?
早稲田ラグビー部:おっしゃるなら…

ぷろおご:じゃあ、七人の侍はけっこうビッグモーター的な組織なんだ

伊予柑:そもそもメリットのない戦いなので

ぷろおご:そっか。意味わからないもんね

伊予柑:ロジカルに「俺がやる意味あるんですか?ないですよね」って言っていなくなっちゃう人もいるんですよ

ぷろおご:じゃあ、ひろゆきタイプはいないんだ

伊予柑:逆に、強いやつのほうがそういうのにのってくれるっていうシーンがけっこう描かれている

ぷろおご:オレより強いやつと戦いてェとか?



伊予柑:最初に仲間にした頭みたいなやつがめっちゃ強いマンだったので「あ、こいつ俺のこと見抜いてくるじゃん。しょうがないな、ついていこう」みたいな

ぷろおご:逆なんですね。上司が選ばれるんだ。なるほどね。いい話だ。七人の侍から学ぶ就活論、めっちゃ役に立つ


伊予柑:たとえば僕も新卒でドワンゴにきめた理由は、上司との相性がよさそうだったからです

ぷろおご:へえ、アスペだから?



伊予柑:就活の途中なのに仕事のことをしたりしていて、「ここは絶対にぬるい、俺が暴れても絶対に怒られない」っていう心理的安定性を感じたんですよ。これが真面目なスーツのNTTみたいなところだと多分やっていけないなという自覚があったので、

ぷろおご:なるほど

伊予柑:就活は双方に見る場ですね

ぷろおご:パワーバランスがちゃんとしてるんですね。お互いに見合ってるんですね。七人の侍は、あとどういう視点で見るとおもしろいですか?


組織を運営するための極意は70年と変わらない


生茶:組織論って伊予柑さんがおっしゃっていたと思うんですけど、このなかにでてくる話にピンときた状態で社会にでたほうがいいのかなって


ぷろおご:たとえば?

生茶:たとえば利他性とか、

ぷろおご:おお・・・

生茶:自分を優先させて、組織で単独プレーとかそういうリスキーなことをやるのは戦略として破綻してる、とか


ぷろおご:七人の侍にもエピソードありましたよね。ひとりが突っ走って死ぬ、みたいな。それはよくないよねって話ね

生茶:あらゆる場面がそういう組織論の教訓になりうる場面で、どこ切り取っても名場面でした

ぷろおご:組織あるある集なんだな

伊予柑:それはそうですね

ぷろおご:じゃあ、組織好きな人は、あるあるだ〜って思いながら見てるんですか?

伊予柑:わりとそんなところはあると思います

ぷろおご:みたことある!みたいな

伊予柑:かなりデフォルメが上手いので、

ぷろおご:かわいくされてる





なぜ、『七人の侍』はすごいのか?



伊予柑:映画的な見どころとしては、作り方がポイントなんですよ。70年前の映画なんですけど、ハリウッドと映画の作り、物語の作り方が違うんですね

ぷろおご:だから疲れたのか。ふだん見ない感じだったから

伊予柑:全然違う。最後まで見ると、主人公誰だったっけ?ってなるんですよ。ハリウッドは最初から最後まで一貫してるの。『七人の侍』は農民ではじまったのに、最後は侍でおわるので、あれ?あれ?みたいになる



ぷろおご:たしかに見方が慣れてないからどうやって見るのかわからない


伊予柑:伏線があるわけでもないし、ハリウッドの三幕構成でやる、パブリックとプライベートがアウフヘーベンしていい感じになって、娘もパパ大好きって言ってくれます、みたいなこともなく、まっすぐ進んでまっすぐ死ぬ。なにこれ?みたいな映画です。70年前にそういう文法を作ったってところがすごいんですよ


ぷろおご:文脈的なすごさ

伊予柑:逆にすごすぎて、パクられ続けてるからすごさがわかりにくい

ぷろおご:見てると陳腐だなおもっちゃうんだけど、それはすごいから陳腐になったってことだよね

伊予柑:すごいゲームみたいな構造を持っているので、



ぷろおご:ジョジョを見はじめた人が、なんでこんなつまんない漫画見てられるんだろう?ってなるのと同じじゃないですか


伊予柑:ネットミームだらけじゃん、みたいな



A:最近ジョジョをみはじめたんだけどさ、あれってネットミームでつくった漫画なの?

B:バッ…!!ちげーよ、あれはだな、元になってんだよ。それぐらい完成された作品なんだ



伊予柑:見て損はない映画でしたね。ほかにも何本かnoteがあげられていて、正直おもしろさがわからなかった。でも、あとから調べていったら面白くなっていったんだよという感想を書いてくださった方もいました


組織で長く生き残れる人のキャラクターとは?


伊予柑:ほかに、大人組の感想で、組織にとって要らないキャラクター順に死んでいくねというものがありました

ぷろおご:えっ、なんてことを言うんですか!要らない人材なんていないですよ……ちなみにどういうキャラがいちばん最初に死ぬんですか?

伊予柑:おこめたべおみたいなやつです。明るいやつ。あんまり役に立たないけど明るいやつ


ぷろおご:代えがきくんですね

伊予柑:切迫した状態だったので、そいつから



ぷろおご:明るいやつはまたわいてくるし、早稲田のラグビー部が生きてさえいれば・・・花園があればね・・


伊予柑:ラグビー部が3番目ぐらいに死にます

ぷろおご:ラグビー部と明るいやつの差はなんですか?


伊予柑:ラグビー部は活躍して消耗しちゃうんです

ぷろおご:ユーモアだけのやつは先に死ぬんだ

伊予柑:はい


ぷろおご:豊かな社会でよかった

伊予柑:70年後でよかった

ぷろおご:豊かな社会に感謝

ぷろおご:もう一本くらいべつの記事を見てみましょうか





ぷろおご:佐藤さん、簡潔にいうと、どんなことを記事に書きましたか

佐藤:私はピンときませんでした、ごめんなさいという記事でした

ぷろおご:いいですねえ



佐藤:もうちょっというと、課題映画が指定されるより前に、たまたまふたつとも観ていたんですけど、なんでこの2本なんだろう?ピンとこないな、って思ってました。

でも、公開収録の案内に、このふたつはどちらとも演技、チーム、貧困、虐殺の物語ですって書いてあるのを読んで、ようやくそういうスタンスかってわかりました。

それをふまえて、なんとか演技とチーム、貧困にこじつけて書こうとしたけど、結局うまくまとまらなかった、ごめんねてへぺろっていう記事です


伊予柑:まとめる必要はまったくないんですよ



ぷろおご:ちなみにその4つのカテゴリだったら、どれがいちばんしっくりきましたか?

佐藤:自分的にまだ語れそうなのは、演技とチームの2つかなと思います

ぷろおご:じゃあ、チームは聞いたから演技の話してほしいな


希薄な協働関係が個人を弱くさせる


佐藤:私は歴史とか強くないんですけど、

作中の時代は今と比べたら自由がない。で、農民は農民、武士は武士のさだめを持って生まれます。この作品では農民出身の武士も登場しているので、一概には言えないんですけれども、農民の子は農民である、という。

まず最初のシーンで農民がなんかすごい絶望してたじゃないですか。農民はどこにも行けずに逃げられないっていうのを見て、なんかもうめっちゃ悲しいやんっていうのがけっこうデカめな感想でした。


野武士が落ち着くまで家を開けるわ〜みたいなこともできないんか…

佐藤さんの感想


まあ私は大学生だし、もうひとつの顔では居酒屋のバイトをしてて、スラム民だし、今日は東京駅をブラブラうろついてる女って感じで、どれもおなじ佐藤ではあるけど、それぞれ違う顔を使い分けることができる

けど、あの農民さんたちはそういうことができない。私は自分をコントロールできるし、どこにでも行けるけど、そういうのができないなら、閉鎖的でしんどすぎるって思いました




伊予柑:農民と「学生のわたし」の比較は超おもしろい。『七人の侍』の中盤ででてくるシーンで、実は農民は侍狩りをずっとしていて、実はめっちゃ武器を隠し持ってるっていう場面があるんですよ

ぷろおご:すげえ、ただの学生です、って言いながら裏でパパ活


伊予柑:それで侍にキレられるんですよ。
「持ってんじゃん!!なにそれェ?!」って




は?お前、現金2000万円あんの?
ふざけんなよ、オレより多いじゃねえかよ!!

イメージ:キレるパパ


伊予柑:農民出身の侍がいて、そいつは農民と侍のあいだだから、侍を説得するんですよ。

「いやさ、侍と違ってオレたち辛いんだよ。苦しいんだよ。どうしようもないの。仕方なかったんだ」みたいな、勢いだけで説得をして、「まあ、いいか」みたいになってそっからチームになっていくっていうシーンがあるんです。

学生はみんな学生と思わず、パパ活してる学生はパパ活してる学生として、やっぱ大人と子どものあいだ、みたいに扱っていくほうがいいんですかね…


ぷろおご:なるほどね。そういうことなんだ、階級が描かれている。農民はたしかに絶対的農民!みたいな雰囲気なわけだもんね

伊予柑:基本超弱者

ぷろおご:と思ったらパパ活してた

伊予柑:そういうこともあるよね

ぷろおご:1000万円あって弱いフリしてた


持ちつ持たれつやし、
腹たつかもしれへんけどもやな、ここはひとつ
よろしくたのんます

イメージ:潔いパパ活女子

ぷろおご:おもしろいですね

伊予柑:学生と農民は同じっていう目線がすごくおもろいなと思いました


ぷろおご:みんな書いてきてすごいね




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