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ボードゲームの作り方 その5

ボードゲームの作り方を分解すると、【コンセプト先行型】【デザイン先行型】【システム先行型】の3つのアプローチ方法があるのではないかという話しを紹介してきました。

前回は、そのなかで【デザイン先行型】の話しを紹介していまして、そのなかで「エレメンタルトランクマン」についての紹介を次回に!ということで終わっておりました。ということで、今回は東京ゲームメイカーズのゲームマーケット2019春の新作「エレメンタルトランクマン」がどう作られたかをご紹介します♪

エレメンタルトランクマンについて

エレメンタルトランクマンは、【デザイン先行型】×【システム先行型】という2つのアプローチ方法のMIX型になります。

ゲームの企画段階で、東京ゲームメイカーズのアートワーク担当のHAFT DESIGNのアキヤマさんから下記の2つの要望がありました。
 ◎木の駒をたくさん使いたい!
 ◎ミープルダイスみたいなロールアクションを発展させたい!
前者はデザイン先行で、後者がシステム先行ということになります。
「たくさんの木の駒を持って、毎回振る!」という遊んでいる絵がイメージされ、そのゴールに向かってゲームを作ることになりました。

▶ミープルダイスについて

ミープルダイスは東京ゲームメイカーズの初期の作品です。写真の人型の駒3つをサイコロのように振って遊ぶゲームです。駒の立ち方の組み合わせに技の名前と得点を設定し、自分の番になったら駒3つを振って、その結果の得点を獲得するというシンプルだけど、何故か何回もやりたくなってしまうゲームです。ブレイクダンス、サイドスタンド、ミープル大地に立つ!といった思わず技名を叫んでしまうような名前を付けています。

▶エレメンタルトランクマンへの道

エレメンタルトランクマンは、炎・水・大地・風の4つの精霊駒を持ってスタートします。そして、それらの精霊駒をサイコロのように毎回振ります。その結果、精霊駒が立ったら、精霊力を獲得することが出来ます。
この精霊力を使って、11種類ある精霊駒の中から最大8個まで持てる精霊駒を増やしたり交換したり、宝箱の封印を解いて貢献点を獲得して勝利を目指すというゲームです。

そこに至るまでには、3つの大きな山を越えることになります。

◆1つ目の山◆
ミープルダイスは、パーティーゲーム的な内容なので、戦略性がありませんでした。そこで、可愛らしい木の駒を自分だけの組み合わせで集めていったり、強くなったりしていくといいのではないかという考えに至ります。レベルアップさせたり、組み合わせを各自が考えていく、といったようなカスタマイズの要素は"ワクワク”します。ワクワクはゲーム作りのポイントの1つです。

◆2つ目の山◆
そこで上記のようなイメージで振った結果の得点を新しい駒に変えていけるような仕組みの骨格を考えました。派手にするために得点の桁数を増やしてみるという案なども一緒に出しています。ここで2つめの山です。ミープルダイスでもそうだったのですが、ぱっと見ですぐに得点が何点か分からないという課題です。そこで、様々なゲームに使われている駒を振ってみたりして、最終的に、立っているか、立っていないのか、2択くらいが分かり易いのではないかということになりました。

◆3つ目の山◆
駒を振った結果を分かり易くし、その駒を自分の好きなように組み合わせていけるというのをベースにゲームに落とし込みます。そこで出来た案がモンスターと戦うというものでした。ただ遊んでみると、一方的にモンスターに攻撃している状態でしっくりきません。そこで、モンスターにも特徴を持たせ、プレイヤーに反撃してきたり、なかなかダメージを与えられないモンスターがいたりという試行錯誤をしてみます。そうすると今度はゲームのテンポが悪くなって冗長になってしまったり・・・
コンセプト先行型でのアプローチ方法ではない場合、このあたりのプレイ感をゲーム内容に合わせていくのが苦労することになります><

そんななか、鍵師みたいに宝箱の封印を解くというアイディアに至ります。これによって、ゲームの方向性がしっかり固まることになりました。

 ◎木の駒をたくさん使いたい!
 ◎ミープルダイスみたいなロールアクションを発展させたい!

というデザインとシステムの先行からアプローチを開始した「エレメンタルトランクマン」は、このようにして出来上がりました。
3つ目の山を越えるのが苦しかったです・・・
あっ、愛着を持たせるという点を紹介し忘れたので、番外編で紹介します!
番外編はこちらから


▶最後に
エレメンタルトランクマンのストーリーを一部抜粋してご紹介します。

タイムマシンの運用が始まってしばらく経った22XX年。各時代で開錠不能な宝箱が複数発見される。最新の科学をもってしても開錠できない宝箱に対抗するためには、精霊たちの力を借りるしかない。
精霊を呼びよせる「エレメンタル・トランク」を手にしたエージェントとなって、ライバルたちと協力しながら、多くの宝箱の封印を解除を目指します。

東京ゲームメイカーズの新作「エレメンタルトランクマン」は、現在予約を受け付けております!
予約はこちらから♪

この記事のバックナンバーや続きは下記からどうぞ♪
ボードゲームの作り方 その1
ボードゲームの作り方 その2
ボードゲームの作り方 その3
ボードゲームの作り方 その4
ボードゲームの作り方 その5(番外編)
ボードゲームの作り方 その6
ボードゲームの作り方 その7

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