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姿勢分析を簡単にする「3つの重要なポイント」について解説

これを知っていると、姿勢分析が得意になります!

姿勢の評価はセラピストであれば、誰もがやったことのあることですよね。


新人の頃や、特に学生時代は苦手意識が強く、問題点が絞り込めなかったり、どこから見ていいのかわからなくて、時間がかかりすぎてしまうこともありました。


姿勢を見るだけなら、一般人の方でも問題なくできるでしょう。よく見れる人であれば、何かはわからないけど、なんとなく姿勢が「悪そう」ぐらいはわかる人もいます。


セラピストの場合は、そこからさらに踏み込んで姿勢からくる身体の不調や、負担の集中している部位の予測など、患者さんやクライアントの問題点を予測し適切にアプローチしていく必要があります。


私は特に回復期での業務歴が長かったこともあり、患者さん一人に対して長く関わることが多かったので、臨床では日々患者さんや利用者さんの姿勢を評価しながらアプローチを行なうことが多くありました。


今回はその中で感じたことや、今まで学んできたことを踏まえて、姿勢の評価をするときに必ず意識するべきポイントを具体例を交えて紹介したいと思います。


今回の記事では以下のことが分かります

・姿勢評価で重要なポイント

・具体例の紹介

是非最後までご覧ください

姿勢評価で必要なポイント①〜重心と支持基底面の関係〜

結論から紹介します。

私が考える姿勢評価で最も重要なことは「重心と支持基底面の関係」を考えながら見ることです。


私たちは、普段から姿勢が安定している前提条件として、支持基底面の中に重心が落ちている必要があります。


正確にいうと重心から床に向かって引いた垂直線(重心線)が、支持基底面内に落ちているということになります。


私たちは必要以上に筋肉で関節を固めていない限り、この条件を無視することはできません。

身体重心は見えていますか?

身体重心の高さは第2仙椎の前面にあると言われています。そのため見る場所としては骨盤の位置を見ることで確認することができます。


しかし、重心は常に動いており、上半身と下半身の位置関係によっては場所が若干異なるため、骨盤の位置だけで重心を判断するのは少し危険です。


そのため、身体重心の位置を別の方法で見ていく必要があります。


身体重心を別の方法で見る方法としては、上半身の質量中心と下半身の質量中心を結んだ中点で見ていくと比較的見やすいと思います。


上半身の質量中心は胸骨剣状突起の高さ(第7〜9胸椎の高さ)、下半身の質量中心は大腿骨の1/2〜2/3の高さにあると言われています。


上半身と下半身の質量中心から考えることで、不良姿勢であっても、重心の位置が特定できるので、見た目の位置関係に惑わされることがなくなります。


例えば、不良姿勢でよくあるスウェーバッグ姿勢で見てみましょう。

スウェーバッグ姿勢の場合骨盤は足部に対して前方に変位しており、腰椎や胸腰椎移行部の前弯が過剰になる姿勢になります。


骨盤の位置だけで見ると、前方にあるため前方重心と見てしまいがちですが、実際は上半身が後方に移動しているため、重心位置はそこまで移動していなかったり、むしろやや後方重心になる時もあります。(個人差はあります)


セラピストの方は、専門的な知識をもっている分、逆に先入観で見てしまう可能性も高いので注意が必要です。

支持基底面はどこですか?

まず姿勢において重要なこととして、

私たちはどんな姿勢でも、身体のどこかが必ず地面に接地しています。


この地面に接地している部分のことを、「支持基底面」と言います。


この支持基底面の中に自分の重心線(自分の重心から地面にまっすぐ伸ばした線)が入っている状態が力学的に安定した姿勢ということになります。


立位姿勢でいうと、支持基底面は両足と地面が接地している部分になります。


この接地部分から重心が外れると、重心を戻さない限り転倒することになります。


私たちはこの「重心を元に戻す」という役割を脚全体や体幹、場合によっては手も使いながらバランスをとっているわけですね。


そしてそのバランスをとっているものが、身体の各関節の動きになります。


この身体の関節を動かしている時の法則が、「閉鎖性運動連鎖」というものになります。

閉鎖性運動連鎖とは?

今からは姿勢を見る向きとしては矢状面(身体を横から見た面)を前提にして話をします。

ここでは難しい事は抜きにして簡単に言います。

要は足ついている状態の場合、

「1つの関節を単体で動かす事は不可能で、上下の関節の動きを必ず伴う。」

ということです。

さらにそれには前提条件があって、

必ず倒れない事が条件になります。(=支持基底面から、重心線が逸脱しない事)


中にはわざと重心を外して、筋力でバランスを取るようなことができる方もいますが、普段の生活ではそのような無理のある姿勢を取る方はいないと思いますので、今回は除外して考えていきます。


立位で見た場合、その人が手すりなど使わなくても立てている場合、この運動連鎖は適応されます。そしてそれにはいくつかのパターンがあります。

パターン1〜足関節が中間位から始まる運動連鎖〜

足関節が背屈も底屈もしていない状態(中間位)では
・膝関節は伸展
・股関節は屈伸中間位
・骨盤は水平位

になります。

足関節が中間位の場合、その上の下腿は地面に対して垂直に立っています。

この場合は、膝関節・股関節が曲がってしまうと最終的に身体重心が支持基底面の中に留めておけないので、膝関節は伸展、股関節は中間位を保ちます。

パターン2〜足関節が背屈から始まる運動連鎖〜

足関節が背屈位の場合、
・膝関節屈曲
・股関節屈曲(膝関節の屈曲がなければ伸展)
・骨盤前傾(膝関節の屈曲がなければ後傾)

になります。

足関節が背屈している場合、その上の下腿は必然的に前に倒れています。

その場合、膝関節が伸展してしまうと下腿と大腿が両方とも前に倒れてしまうため、その上の骨盤が足部にある支持基底面よりかなり前方へ移動してしまいます。


すると先ほど書いたように支持基底面の中に身体重心を保持できないので、転倒を防ぐために膝関節が屈曲して大腿を後ろに戻そうとします。


その後大腿骨の上に乗っている骨盤は地面に対して水平位を保つようにするため、必然的に股関節が屈曲します。


膝関節の屈曲が何かしらの原因で起こらなかった場合、膝関節よりも上方の関節で重心を後ろに戻さないといけないので、股関節は伸展し、骨盤は後傾しやすくなります。

パターン3〜足関節が底屈から始まる運動連鎖〜

足関節が底屈の場合、
・膝関節伸展(もしくは過伸展)
・股関節屈曲
・骨盤前傾

になります。

足関節が底屈している場合、その上の下腿は後ろに倒れています。

その場合、膝関節が屈曲してしまうと骨盤はさらに後ろに倒れてしまうため、足関節が底屈している状態で膝関節が屈曲しているということはあり得ません。

ということは足関節が底屈しているときは膝関節は伸展・過伸展以外は起こりません。

あくまでも足底面が全て地面に接している場合の話で、踵が浮いていたりする場合はこの限りではありません。

膝関節は伸展でも0°までしか動かないので、膝関節だけで重心の位置を前方に動かすことができないので、股関節や骨盤の動きも必要になってきます。

姿勢の例~通常時~

今まで説明したことを踏まえて、姿勢を考えてみましょう。

例えば、膝が曲がっている人がいるとします。

膝が曲がるとその上の太ももの骨(大腿骨)は後ろに倒れます。

そのままでは身体は後ろに倒れてしまうため、その上の股関節が屈曲して、骨盤から上を前に戻そうとします。


仮にそのままの状態で股関節を伸展すると、その上にある骨盤や体幹はさらに後ろに倒れることになるため、そのような姿勢をあえてとる人はあまりいません。


股関節だけで修正できなければ、その上の腰椎が、それでもダメなら胸椎が、というようにしてバランスをとっていきます。


しかし、身体のどこか一ヶ所、もしくは数カ所の可動性が狭くバランスをとることができない場合、本来ならまずとらないであろう動きをします。

姿勢の例~股関節の可動域が狭い場合~

本来なら股関節が屈曲する事でバランスは取れるはずなのですが、股関節の周囲が硬く可動性が少ない場合は少し違います。


屈曲をしてバランスをとる事が出来ないため、股関節が中間位、もしくは伸展位になってしまいます。


そうすると、その上の分節で後方に偏ってしまった重心を前に戻さなければならないため、腰椎が過剰に前弯したり、頭部が前に突き出るような姿勢になってしまいます。

最後に


姿勢の評価を事前に行っておくことで、改善すべき動作の分析が比較的容易になります。


運動連鎖の考え方は他にも様々な考え方があるため、ここで紹介したものが運動連鎖の全てではありません。


ですが今回説明した内容で姿勢を見てみると、運動連鎖のルールから逸脱している部分は実際の動作においても使いにくい部分である事が多いように感じます。


問題点を見つけていくのは姿勢だけではなく、その他の評価と組み合わせて考えていくものだと思いますが、今回の内容がその一助になればと思います。


姿勢評価はともに奥が深いですが、あまり難しく考えすぎても臨床に生かしにくいので、なるべく「簡単に」考えていきましょう!

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