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機上の「三角帽子」

ジェット飛行機には各席一つディスプレイがついている機体もある。

そういう機体を選んで乗ってるわけではないので、当たったときはラッキーなのだが。

今回は真ん中の席に当たって窓を眺められないし隣は知らない人だし窮屈だったので、
初めてディスプレイで遊んでみた。

前方下方のカメラがついていたり、
コックピットからの眺めを再現したり、
今、上空いる場所の地上の地理を教えてくれたりと、
楽しかった。

エンタメチャンネルもあり、
お笑いから情報番組など、色々あった。ミスチルの新めのオリジナルアルバムを一つ聴けたりした。(気分じゃないので聴かなかったけど)

私はその中で「旅するクラシック」
というチャンネルを選んで聴いていた。

知ってる曲も名前しか知らない曲も名前も知らない曲も入っていて、
その中で、

ボストン交響楽団演奏
小澤征爾指揮の

「ファリャ作曲 バレエ音楽 三角帽子〜終幕の踊り」

を聴いた。

吹奏楽の強豪校がコンクールの自由曲でやる曲なのできっと聴いたことはあるのだが、
自分が吹かなかった曲で覚えているものはそんなに多くない。

バレエの終幕はもりあがるのがテッパンなので、
きっと陽気な曲なんだろうと思って選んだ。

不思議なもので、自身は全然陽気な気分でも踊りたい気分でもないのにヒーリングミュージックのチャンネルを押す気にはなれなかった。

聴き始めて自分の選択が正しかったのがわかった。

何が正しい、とははっきり言葉にできないのだが、

今の私には
このスペインの空気をまとうカスタネットが刻む三拍子が、
キラキラと華やかな音の重なりが、
必要だったのだ。

聴きながら
音楽の波の中に自分の多感な時期の6年も身体を置けたことの幸運を感じた。
聴く側としてだけでなく、表現する側として。

音楽には力がある。

身体に刻まれたあのとき浴びた音の力が
呼び覚まされる気持ちになった。

あの時、何度も凹んで、みじめな思いもした。それでも必ず起き上がって生きた。
意識はしてなかったけど色々な音楽に励まされていたはずだ。

そうそう、こういう音楽を聴くと、
私は力がもらえるんだよね。

って、身体が思い出した。

落ち込んだ時に
私の中に、
音楽の力を受け取る経験があって良かった。

機上の「三角帽子」で、
静かに心を充電していた。

(バレエも楽しそうです↓
良かったら35分19秒からの終幕だけでも聴いてみてください。)

https://youtu.be/Dfcil5my9WA?si=c1hKByk3jekcA8jo


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