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柳川の船頭さんにインタビュー!

こんにちは!学生インターンの吉羽楓です。
今回はプランを作成するにあたってご協力いただいた船頭さんにインタビューをしました。

福岡県柳川市。そこは水郷柳川とも呼ばれるほど網目状の掘割が張り巡らされており、その全長は60キロにも及びます。そんな柳川には掘割の上で仕事をする方々がいました。それが船頭さんです。

皆さんは「船頭」と聞いて始めにどんなイメージを思い浮かべますか?この職業自体あまり馴染みがないのではないでしょうか?

今回ご協力いただいたのは、船会社柳川観光開発の内野井さん、江崎さん、堤さんのお三方です。内野井さんと江崎さんは3年目、そして堤さんは30年も船頭をされているそうです...!

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船頭について


Q. そもそも 船頭とは何をするお仕事なのですか?

A. 「観光で来られたみなさまに柳川という場所をご紹介する」というのがメインの仕事ですね。ただ一言でご紹介するといっても単純な柳川紹介ツアーではなく、この町の歴史や柳川出身の北原白秋のお歌など専門的なところまでご紹介しています。

そして船頭のお仕事は舟の上だけと思われてしまいがちですが、実は西鉄柳川駅に来たお客様をご案内して、舟を出して、舟の上でご案内をして、そして降りた場所からマイクロバスでお客様をお送りする、このすべての工程を船頭が行っています。これらを通してお客様を和ませることができ、最終的に「最高だった!」と言って帰ってもらえたらとても嬉しいですね。

多分僕らのお仕事は「役者」に近くて、舞台に立っているようなイメージだと思います。お客様がいてくださって初めて成立する舞台ですね。


Q. 先ほど「お客様を和ませる」とおっしゃっていましたが、具体的にどういった方法で和ませているのですか?

A. まず柳川に来てくださった時点で普段皆様が生活されている環境とは全く異なると思うんです。特に都会に住まわれている方は高い建物やコンクリートに囲まれていると思うんですけど、ここは緑がとっても豊かで風情や歴史が残っている。そんな柳川という場所でまず和んでもらえると思います。

そこから船頭が面白く、おかしく、楽しく案内することでより和んでもらえると考えています。もちろん柳川も訪れてくるお客様の層は日々変化しているので、それに合わせてご案内する内容も変えているんですよ。

駅の前に船会社があって、その船に乗ってたどり着いた先に観光地があるという柳川の地形だからこそ、最初の川下りをいかに楽しんでもらうかが重要です!


Q. 緊張とかされないんですか?

A. デビューしたてはもちろん緊張しますが、緊張しないと成長できません。始めの一歩は誰でも緊張するし、だからこそ、その一歩の成功率を上げるためにも日々の積み重ねが大切ですね。


Q. そもそも船頭さんのお仕事を始めたきっかけは何だったんですか?

A.
堤さん:昔は船頭も学生アルバイトが多かったんですよ。その頃自分も友達に誘われて始めたのがきっかけです。当時は舟に乗って案内するのではなくバスでお客様を送迎する仕事をしていたんですが、やっぱり船に乗るのに憧れて...いろんな人の良いところを盗みながら沢山練習して舟を漕げるようになりました。

江崎さん:私は隣の筑後市出身で、転職を機に地元に戻って仕事がしてみたいと考えるようになりました。柳川の川下りが有名なことは幼い頃から知っており、歴史も好きだったため船頭に魅力を感じていました。そしてそんな時に実家に戻った際、自分が親に船の上で抱っこされている写真を見つけたんです。そこで自分が漕いでいる舟に親を乗せることができたら最高の親孝行になるのではないかと思い、船頭を目指すことを決めました。

内野井さん:学生の頃訪れたベネチアでゴンドリエに憧れまして...転職する際にチャレンジしてみようと思い「船頭」で検索をかけたところ柳川が出てきたんですよね。その街の雰囲気だったり、手漕ぎの舟だったり、歴史が残っている感じがすごく自分の中でツボだったんです。それで柳川で船頭になることを決意しました。



Q. このお仕事をしていてやりがいを感じた瞬間ってありましたか?

A.
江崎さん:船頭という仕事自体未知の領域で、最初のころは自信のないまま「十分なガイドができているかな」という不安を抱えてご案内していたこともあったのですが、その中でお客様に「楽しかった!」と言って笑顔で帰ってもらえた際にはとてもやりがいを感じます。

また自分が以前ご案内した方が「覚えてますか?この前乗った時楽しくてまた来ちゃいました!」と言ってもう一度訪れてくださったとき、自分のガイドを評価していただけて川下りを楽しみに来てくださったという事実にやりがいを感じましたね。

堤さん:「楽しかった」「面白かった」と言って帰っていただけるのももちろん嬉しいのですが、以前一度「感動した」といっていただけた際はとても嬉しかったです。それから、うちの会社は基本的に指名制度はないのですが、自分が案内した方が「もう一度あの人の舟に乗りたい」といって戻ってくるのを1時間近く待ってくださっていたことがあって、とてもやりがいを感じました。

内野井さん:自分たちのガイドに対する評価って、自分たちがするものではなくお客様がするものなんですよね。だからこそ2人が言ったような嬉しいお言葉をいただけた経験が僕たちのやりがいに繋がるんだと思います。もちろん御花さんとの信頼関係があってこういう新しい企画やプランに挑戦できるので、そういった点でもやりがいを感じます。



Q. 船頭のこれからについて感じていることはありますか?

A.
堤さん:「柳川の伝統を純粋に若者に受け継いでいく」ということが今後の課題だと考えています。

私は川下り60年の歴史の中で現在5本指に入るくらいの古株の船頭なのですが、日々変化する社会情勢に合わせて新しくチャレンジしていくことも多くある中で、残さなければいけない歴史や伝統もあると考えています。船頭が減ってきたこともあり、かつての柳川が薄くなってると感じることがありますね。

江崎さん:私は今までの観光業のやり方が通じなくなってきていると感じています。今までは自由に国内外を行き来できていたのでインバウンドのお客様が多かったのですが、これからは国内のお客様を大切にして、いかに「また来たい」と思ってもらえる場所にできるかが課題だと思います。

ただ川下りって一度乗ってからもう一度乗ろうとなるまでのスパンが長いんですよね。だからこそ頻繁に利用していただけるようなきっかけを増やしていきたいです。

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今回の成人式プランについて


Q. 今回のプランの内容を聞いた時どう感じましたか?

A.
内野井さん:単純に「学生が求めているものはこれなんだ」という驚きがありましたね。成人式といえば久しぶりに友達と会って写真を撮るというイメージしかなかったので。

堤さん:成人式は一生に1回だから。10年後、20年後に振り返った時に絶対に記憶に残っているものにして欲しいから。私たち船頭含め全体で成人という節目を盛り上げたいと思いましたね。私も成人式の時のこと覚えてますよ。酔っ払ってました(笑)

江崎さん:川下り自体観光客に向けてやるものだというふうに考えていたので、成人式でやるという手があったのかという驚きでしたね。私は成人式といっても振り返ることのできる思い出って特にないんですよね。

だからこそ今までと異なるこのご時世でこのプランを行うことによって、振り返った時に思い出せる、そして親になった時も「お母さん、お父さんが成人だったときはコロナという病気が流行ってて盛大な成人式はできなかったけど、それでもあの時御花で挙げた成人式は忘れられない」と語り継いでもらえるんじゃないかなと感じました。


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成人の方にメッセージ


Q. それでは最後に成人を迎える方々にメッセージをお願いします!

内野井さん:さっき話した通り僕も自分の成人式を振りかえると、友達と写真を撮った記憶くらいしかないんですよ。今はコロナ禍で人との繋がりが薄くなってしまっていると思いますが、そんな時だからこそぜひ参加していただきたい濃い成人式プランになっていると思います。

堤さん:会いたい人にも会えない、そんな世の中だからこそ市民が一体となってお出迎えする場所で、一生に一度しかない成人式に素敵なスタートとなる思い出を作っていただきたいですね。

江崎さん:コロナでいろんなことが制限されてしまっているかと思いますが、この状況を悲観しないでほしいと思います。ステイホームが当たり前のコロナ禍で、今までで一番家族と一緒に過ごす時間が長い人が多い。しかしコロナが明ければきっと家族の時間も薄くなってしまう。このプランもコロナだからこそ生まれたものだと思います。今だからこそできる素敵なプランを柳川・御花という特別な空間で楽しんでいただきたいです。


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いかがでしたでしょうか?今までに知る機会があまりなかった「船頭」という職業や、それに携わっている方々が、少しでも身近に感じていただければ嬉しいです。古くから伝わる伝統と変わりゆく世の中の情勢の間で、人々の笑顔のために働く船頭さんはとっても素敵でした。

柳川駅の近くから70分間、最大20名の初対面の方々を乗せてパフォーマンスをするというのは絶対に簡単なことではないはずです。そんな舞台俳優と言っても過言ではない船頭さん、そして彼らが守り続ける伝統や歴史、柳川の魅力をぜひとも現地で感じていただきたいです。

私もこのインターンを始めるまで御花はおろか、柳川という知名すら知りませんでした。ただ自分がサービス業でアルバイトをしていることもあって、大きなくくりで同じ業界であるホテルで、実際に働いている方々を見てみたいという完全な興味本位でこのインターンに参加しました。

でもいざ柳川に行ってみるとすごいんですよ。着いたらすぐに衣装を着て傘を被って足袋を履いている船頭さんがお迎えしてくれて舟に乗る。もうここから非日常ですよね。

しかもそれがテーマパークのように作りこまれた世界観に存在する人じゃなくて、柳川の人にとってはこれが日常なんです。街全体に趣がありすぎてすごく感動したのを覚えています。ぜひ皆さんも実際に行って「柳川の日常」という非日常を味わってみてください。

それでは本日はこのあたりで。最後までお読みいただきありがとうございました!

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