はじめに

この記事は、私が手掛けたAV男優・沢木和也氏の自伝（実質的には遺書）に文字数の都合で収録されなかったボツ原稿を一部抜粋した物です。

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今も "AV新法" で揺れるAV業界ですが、元々はどのような業界だったのか。どのような人間達が作って来たのか。そしてその業界がどのような努力によって適正AV業界へと変貌して行ったのか。正しい歴史を学びたい方にとっては貴重な資料となる述懐です。

ただし、沢木氏が死に臨んで発した言葉なので極端にウソがなく、その分ハードな内容も含まれておりますので、「事実だから仕方ない」と納得してくださる方のみお読みください（有料マガジン/月額¥500をご購入いただくと全て読み放題になります）。

なお、このシリーズ記事は沢木氏の自伝をお読みいただくと、より楽しめる内容になっております（というか読まないと何のこっちゃわかりません）。

本の印税は沢木氏のご遺族にお渡ししておりますので、興味を持っていただけましたら購入をご検討ください。

GFとの出会い

まだ新人AV男優だった頃に、複数プレイの撮影現場で、とある先輩AV男優と共演する機会があったんだ。こういう事を言うと大炎上するかもしれないけれど、その日のAV女優はとてつもなくブスで、おまけにスタイルも酷く、さらに言うとマ○コもユルユルという、逆の意味でとんでもない逸材だった。

当時の俺はまだプロ意識も低くて「金を貰っていい女とヤリたい」としか考えていなかったから、そんな子を相手にしなければならないと分かって、自分でもどうにもならないほどテンションが下がってしまったんだ。カメラが向こうが台詞の順番が回って来ようが「ちゃんと勃つかどうか」ばかりが気になって、全然仕事にならなかった。

ところが、共演した先輩男優は凹む俺をよそに心から楽しそうにその子と絡み続けて、次から次へと体位を変えたり、雰囲気作りにエッチな言葉を掛けたり、いつも通りに仕事をしているんだ。当然ナニは常に元気いっぱいで、おまけに俺と目が合うとニコっと笑顔を向けて来るほどご機嫌だったんだよ。

俺はそんな先輩のサポートに回りながら「凄いな、この人は本当の変態なんだな」と思っていたの。それが『ゴールドフィンガー』こと加藤鷹との初めての出会いだった。

加藤さんは自著に「何千人抱いた」なんて文言を使っていたけど、あの日のあのAV女優がNGではないというならば、その数はウソじゃないと思う。もしかしたら途中で数えるのが嫌になって数千と言っているだけで、実際には万単位なのかもしれない。俺は心の底から「あの人こそMr.AV男優だ」と称賛するね。