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オイルパスタの基本を覚えるとマジ万能

アラフォーになってから子宝に恵まれた筆者。自分にいつ何が起きてもいいように、「最低限の収入でも豊かな食生活が送れるように」と、愛する我が子へ苦楽を共にしたレシピを書き残そうと考えました。

なるべくお安く、簡単に、間違いなく美味しい物が食べられるレシピを中心に、食事・料理に関する「こんなんでいいんだよ」という情報を書いていきます(本式・本物といった概念からはかけ離れるであろう事を予めお断りしておきます)。

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簡単かつお安くお腹いっぱいになりたいよね

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息子よ、お前がこれを読んでいるという事は、私はもうこの世にはないのだろう(この書き出し気に入った)。

という訳で息子よ、若者が一人暮らしをする上で、絶対に覚えておくべき料理が何か分かるか。

それはパスタやうどんといった麺類だ。

「お前初回に味噌汁を作って米を炊けと言ったじゃねえか」という声が聞こえて来たが、え、わたしそんなこと言いましたっけ?

やめてください警察呼びますよ。

いやね、味噌汁を作るクセを付けておく事は本当に大事よ。栄養バランス的にも、ええもん食った感を味わう意味でも。

ただ、味噌汁を作ったからと言って、絶対に米を合わせなきゃならないという理屈はおかしいだろう。それじゃ下町の定食屋の「焼きそばを頼んでもナポリタン頼んでも、なんだったら冷やし中華を頼んでるのに味噌汁が付いて来る」なんて人情味一杯の手法を否定する事になる。

今回お前に伝えたいのは「何で腹を埋めるのか」という点だ。前回教えた味噌汁はその脇に添えておけばいい。

そんなこんなで、今回は安価にお腹を埋めるのに最適な、オイルパスタの作り方と、何より大事な "考え方" を教えるよ。

ペペロンチーノ風のガーリックオイルパスタ

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オイルパスタと言えば、日本人がまず頭に思い浮かべるのはペペロンチーノだと思う。アーリオ(にんにく)・オリオ(油)・ペペロンチーノ(唐辛子)ってやつだ。

ところが、このペペロンチーノは意外とクセモノで、「にんにくと唐辛子とオリーブオイルだけで作るのが本式だ」と言われているんだけれども、実際にその通りに作ってみると明らかに味が足りない。

そりゃそうなのよ、日本人って旨味にうるさい民族なんだけど、本式とされているペペロンチーノのレシピには旨味を出す食材が入っていないんだもの。にんにくの香り、唐辛子の刺激、それに塩だけで構成されているから、物足りないと感じてしまうのが当たり前だと思う。

ただ、そんなペペロンチーノに、ほんのちょっと旨味を足してやるだけで、抜群に美味しいオイルパスタが出来上がるのもまた事実。

そんな訳で、今回は余計な事を一切していない超シンプルな「オイルパスタの中心核」と言えるレシピを教えよう。

これを覚えておくと色々なパスタソースが簡単に作れるようになるので、叩き売りの激安パスタで無理やり腹を埋めるような食生活に陥ったとしても、レストランの味が食えるようになるぞ。

<ガーリックオイルパスタ>
【麺茹で用】
・麺 お好み(量も太さも好みの物でOK)
・茹で湯 たっぷり
・塩 小さじ2杯くらい
・オリーブオイル 小さじ1

【ソース用】
・オリーブオイル 大さじ2~3(麺の量によって調整)
※EXバージンとピュアオリーブオイルとあるけど、こだわりが無ければどっちでもいい
・にんにく 1人前2かけ
・鷹の爪 1本(苦手なら抜いていい)
・塩、胡椒(味を見て最後に調節)

【具】
・ベーコン 適当
※今回は冷蔵庫にあったので使っているけど、抜いてもいいし、ソーセージやハムで代用してもいい。具ナシの場合は仕方ないからコンソメでも使おう


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今回使う材料はこんな感じ。
左から、ベーコン、胡椒、にんにく、オリーブオイル(2種類)。

ストーンミルが目立つけど、これは粒胡椒を粗く潰すのに使った。何故そんな面倒な事をしたかと言うと、息子(キサマじゃ)が唐辛子の辛味が苦手で、少しでも入っていると嫌がるため。胡椒のピリピリは何故か耐えられるみたいなので、それで代用したのだ。

ウチはオリーブオイルはコストコで買った巨大サイズのピュアオリーブとエクストラバージンを常備してあるので2種類使うけど、無ければどちらかひとつで大丈夫。クセがないのはピュアオリーブ。クセも香りも強いのはEXと覚えておこう。

ただ、EXの強い香りって長く火に掛けていると飛ぶので、ピュアオリーブで調理して、仕上げにEXを加えるというのがお利口さんのやり方だと思う。

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今回のレシピで重要なのはベーコン。この子から出る旨味と塩気を上手に活かすのがポイントになる。よって、全体に行き渡るよう少し細めに刻むよ。

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にんにくは多めに使う。オイルに香りを移さねばならないため、最低でも2かけくらいは使いたい。この写真を撮った時は家族3人分作ったので3かけ刻んでいる。

また、こういうシンプルな料理は、少ない食材でいかに味や香りのグラデーション(厚み)を出すかが重要になるので、刻み方を微妙に変えて2種類用意する。ひとつはスライスしただけ。もうひとつは細かく刻んだもの。これらをタイミングをズラして油に入れる。

またにんにくの中心にある芽は、残したまま火にかけるとすぐ焦げるので、嫌ならば外すこと。

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まずはフライパンにオリーブオイルを敷き、火をつける前にスライスにんにくを入れる。弱火にかけて、じっくりふつふつと "煮込んで行く" 。
この弱火で気長に香りを抽出するってのが重要で、火が強いと香りが出切る前に焦げて苦くなるので注意な。

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フライパンを傾けて、油を溜めるとやりやすいよ。うっすらと色が付いて来たら、細かく刻んだ方のにんにくも投入する。

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もしも唐辛子も入れる場合、このタイミングで投入すると丁度いい。
唐辛子を扱う上でのポイントは以下。

・細かくすればするほど辛い
・長く入れておくほど辛い
・種が超辛い

いずれスパイスからカレーを作る方法なんかも教えようと思っているんだけど、そこでも同じ事を書くと思うが、原則として唐辛子は細かくすればするほど辛く感じる。丸のままより、同じグラム数でも粉状の方が激辛になる。

また、長く入れておくほど辛味がじゃんじゃん抽出され、特に種の部分がとても辛い。

こういう性質があるので、より辛い味にしたい場合は、単純に量を増やすのではなく、刻み方や使い方を考えてみるといいよ。

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にんにくに色が付き始めたら、フライパンの空いている部分でベーコンに火を入れて行く。この段階でにんにくとベーコンとを混ぜてしまうと、にんにくにキレイに火が入らなくなるので、ちょっと我慢。

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にんにくがキツネ色程度になったら全体を混ぜ合わせて味を確認。しっかり弱火で抽出していれば、ここで「ボワッ」とにんにくの香りを感じるはず。
味に問題がなければ火を止めてしばし放置。

また、油とベーコンとを一緒に味わってみて、塩気や旨味のバランスがどうかも確認しておこう。仮に旨味が足りないと思ったら、仕方ないのでコンソメの粉をパラパラっと混ぜてやるといい。

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今回の分量ならば、もしコンソメを入れたとしても、1キューブの1/5程度で充分。それ以上入れるとコンソメ味でベタっと染め上げられてしまって、面白くない味になってしまう。

ただ、これくらいベーコンが入ったら、ベーコンと麺とを一緒に食べれば味は足りるはずなので、出来ればコンソメなし味に慣れて欲しいところ。

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オイルソースが出来上がったらパスタを茹でる。今回は家族3人分で、合計500gくらい。ちなみに内訳は、お母さん120g、息子50g、お父さん残り全部であり、明らかにお父さんは炭水化物を食い過ぎている。

本当はパスタの茹で時間から逆算してソースを作り始めるといいんだけど、最初は難しいと思うので、慣れない内はまずソース作りを先に終わらせてしまおう。ソースはちょっと時間が経ってもどうって事ないけど、麺は放っておいたらのびるからね。

で、茹で湯には塩とオリーブオイルを入れてあるけど、その理由は後述。

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麺を3分くらい茹でたところで、茹で湯をお玉ですくってソースの方へ入れる。今回は麺をオイルソースの中で煮て仕上げるので、麺に行き渡る程度の水分量にする。具体的には1人前につき80ccくらい欲しい。

こういう使い方をするので、茹で湯を完全なるお湯にしてしまうと、ソースの方が薄まり過ぎてしまうのね。

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今回は麺が500gくらいあるので、茹で湯は400ccほど。麺をあげるタイミングに合わせて火にかけて、フライパンの温度を上げておく。

で、この時点での味が "ほぼ最終的な味" なので、忘れず味見をしておくこと。麺に少し塩味が付いているので、ソースだけで塩気をバッチリ決めてしまうとしょっぱくなるので注意。

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麺を表示時間よりも3分ほど早くあげ、そのままフライパンの中へドボン。オイルソースの中で、適度な固さになるまで茹でる。

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香り付け用にEXオリーブオイルを入れるならここで。

火加減は弱火~中火程度にし、菜箸やトングを使って麺をぐるぐるかき混ぜるようにして茹でる。写真の水分量に注目。

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2分ほど経過すると、このように目に見えて水分量が減って来るので、火を止めて予熱で混ぜる。これは蒸発しているというより、麺が吸っているのと、乳化が進んでいるということ。

この乳化ってのがオイルソースのキモの部分で、パスタは日本のそばやうどんと違って、表面がつるつるしているのでソースと絡み難い。
したがって、麺とソースを上手に絡めるには、「麺に吸わせる」か「ソースに粘度を持たせるか」のどちらかとなる。

このレシピだと、ソースの水分と油分とが乳化によって混ざり合い、粘度が高くなる(乳化の仕組みについてはググれ)。同時に、麺が直接オイルソースを吸ってくれる。
この2つの働きによって、麺自体にしっかりと味が付くし、さらにソースも絡みついてくれるという訳だ。

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ほら見てごらん、上の写真からさらに1分くらい予熱でガチャガチャかき混ぜれば、このようにフライパンを傾けてもソースが落ちて来なくなる。

ただ、こうなったらもう後は時間との戦い。とっとと皿に盛り付けろ。ボサボサしていると麺がソースを吸いすぎてしまって、ちゅるっとした魅惑の食感がなくなってしまう。

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大慌てであらびきの胡椒をパラパラっと散らして、あれば粉パセリなぞ振りかけて、ペペロンチーノ風ガーリックオイルパスタの完成!

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ほら見て、オイルパスタというくらいなので、こうやって麺にオイルがまとわりついているのが正しい姿。念入りに乳化させたので、ちゅるんにゅるんと絶妙な食感を楽しめる。

これが水分量が少なくてパサパサだったりすると非常に残念な仕上がりになってしまうので、いかに瑞々しさ(言い方合ってる?)を保てるかが勝負の分かれ目になると思う。

油ギッシュでギトギトってのも、乳化が足りなくてシャバシャバってのも違うので、この辺りは何度も練習してベストな状態を掴むべし。

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ちなみに、味付けが超シンプルなので、このように粉チーズを振りかけるとまるで別物のように味が変わる。

今回のレシピはベースになる物なので、こうやって粉チーズや他の何かを足してもいいし、ベーコンをツナ缶などに変えたって美味しい。
また、ソースを作る段階で缶詰のトマトを混ぜ込むと、アマトリチャーナやアラビアータのソースに化ける。その際はにんにくと一緒に細かく刻んだ玉ねぎをじっくり炒めるといいよ。

このオイルソースの作り方を身に着けておけば、自炊パスタでレストランみたいな味が楽しめるようになるので、最優先で勉強して欲しい。

パスタやトマト缶は日持ちする上に、あちこちのスーパーで叩き売りの対象になる場合が多いので、安い時に買い貯めしておくと超経済的。ネット通販なんかでも激安で買える時があるので、その辺りもチェックしておいた方がいいよ。

ちなみに、トマト缶は1缶70円前後なら買い。もし50円台にまで下がってたら大人買いしろ。

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最後に今回のレシピの弱点を伝えておくと、このように完成と同時に洗い物が一気に出てしまうこと。パスタを茹でる鍋、ソースを作って仕上げるフライパン、パスタを茹で上げる時に使うザル、トングや菜箸……。
この辺りは最後の最後まで使う物だから、段取り良く洗って行くって事が出来ないんだよね。

これに加えて食べ終わったら食器も洗わねばならないので、洗い物の溜め込み注意な。食べ終わると同時に心を無にして洗い物を終わらせちまった方がいいぞ。

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ちなみに、この記事を書きながら、改めて1人分のペペロンチーノを作ってみた。これはにんにくと唐辛子だけで、完全に具のない本式バージョン。
乳化さえ完璧ならば、意外とこれだけでも味が決まるなあ……。

正直に言えば、やっぱり少しは旨味要素が欲しいんだけど、にんにくの香りがしっかり移ったソースを絡み付かせれば、そこまで不満ではない。

注意点としては、塩気が強くなり過ぎると不味くなるということ。この手のシンプル料理は調和が大事なので、何かひとつの風味や味が突出すると、バランスが崩壊して食えたもんじゃなくなる場合が多い。なので塩気の付け方は特に注意な。

塩なんか後から足せるんだから、調理段階では「物足りないかな」くらいで止めておくのが安全だぞ。

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