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アペルザのCPOになりました。 〜CPOに求められる役割とは何か?〜

こんにちは、Product Managerをしております、大橋 奎哉(おおはし けいや)です。

2019年の12月に入社したアペルザで、2021年1月からCPO(Chief Product Officer)になりました。

日本にはまだまだCPOという役割を置いている企業が一般的に多くないのではないでしょうか?したがって、明確なCPO像というものが日本においては形成途中という現状があり、日頃目にする記事などでもそれを感じます。

ちなみに、アペルザのプロダクト開発においてアドバイザーを務めてくださっている増井さんのnoteの記事にもCPOの居ない状況への疑問(存在感の薄さへの疑問)について書かれたものがありました。

また、「CPO=プロダクト責任者」であるという説明は簡単ですが、実は導入している会社でも各社各様でCPOが果たすべき役割は違うのではないかと感じています。

今回はアペルザの紹介や、私が考える”CPOとは?”について書いていければと思っています。

CPOは「顧客と、社員とを結ぶ結節点になる」存在

まず、はじめに私自身が考える、CPOの役割についてですが、一言で言うと「社内の納得感を生み出す(醸成する)」ことかなと思っています。

というのも、やはりSaaS企業にとっては「プロダクトこそが経営戦略である」という状態が望ましいと思うし、それだけの意気込みでプロダクトに注力することが正しいと思います。

つまり、プロダクトに対して何の機能を追加するか?という意思決定に開発者はもちろんのこと、営業、CS、コーポレート、経営、全員に納得感がなくてはいけません。

そのプロダクトに込める思いや、意図が会社全体で腹落ちしていないと、そのプロダクトによってお客様を成功に導くために、各チームが連帯して、有機的に動くことは不可能だと考えるからです。

例えば、営業の場面、CSの対面での定期面談などの場をとってみても、アペルザ社員がどんな機能が存在し、顧客のどのような業務フローに対して、どのように本機能が効果的に作用するのかの理解が浸透していない場合、当然導入社数の増加や、顧客の成功はないでしょうし、結果としてSaaS企業としての拡大はないのではないでしょうか。

そんな当たり前のこと、、、と思うかもしれませんが、往々にしてどんな機能がリリースされているのか?なんでそれをリリースしたのか?を、全社のメンバーに背景含めて同じレベルで共有するのは難しいなというのを感じます。

アペルザは、「プロダクトこそが経営戦略である」を体現した組織でありたい、それがこれからの会社の成長に不可欠であると判断しているから、CPOという役割を置いたのだと理解しています。その実現のためには、以下のようなメッセージを自らの言葉で語り続けるということが何より重要なのではないかと思います。

・誰のために、このロードマップを引いたのか?
・そこにどんな意味を込めて、どんな課題解決イメージを持っているのか?
・投入後に、どう社会(製造業の皆様)が変わっていくのか?

CPOはこうした働きかけやプロダクトロードマップを通じて「顧客と、社員とを結ぶ結節点になる」存在なのではないかと今は考えています。

CPOに必要なことは「自分たちの顧客を誰よりも知る」こと

「顧客と、社員とを結ぶ結節点になる」というCPOとしての役割を全うするためには、絶対にしなくてはいけないことがあります。

それは「自分たちの顧客を誰よりも知る」ということです。

会社のメンバーは極端に言えば、私(PdM組織)を通して顧客のことを知ることも多いです。すごく当たり前のことなのかもしれませんが、CPO(及びPdM)にとって、ここが欠けた瞬間に何を言っても机上の空論になり、社内メンバーに対して、顧客の声の代弁者になることは難しくなります。

今までも極力顧客を向いたプロダクト開発を主導してきたつもりですが、これまで以上にその役割を全うし、誰よりも顧客の今抱えている課題を知っているからこそ話せる臨場感でプロダクトへ投入する機能/サービスの意義を伝えていきたいと思っています。

それがみんなが安心してプロダクト開発、セールス、CS活動に打ち込める拠り所になると思いますし、役割がついた瞬間に現場から離れ、レビューのみをする人みたいになるのは自分の理想とは異なるので、常に誰よりも顧客を向いてプロダクトを考えられる、ということを大事にしていき、会社の文化として浸透させていければと決意しています。

これまでのキャリアで学んだ「企画」に欠かせない考え方

今でこそ、顧客中心にプロダクト改善サイクルを回すことがモダンでリーンなスタイルになってきていますが、私がそこの重要性を理解し、取り組むきっかけになったのは、やはり前に所属していた「メルカリ」での経験が大きかったと思います。そう思うに至った経験など含めて、少し私自身の自己紹介をさせてください。

私は新卒からこれまでの10年弱、ずっとC向けのプロダクト開発の企画を行ってきました。以下の図が経歴と、その場その場で積んできた経験を簡易に図式化したものです。

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特に直近まで在籍していたメルカリ、メルペイでは、プロダクト開発におけるトップランナー達に置いていかれまいと、背伸びをし続けた結果、自分の中でも一定の顧客中心のプロダクト開発手法、プロダクト開発に対する考え方、そのようなプロダクトを生み出せる組織のあり方というものの一端を知ることができたと思っています。

「お客さんを大事にしましょう」といった言葉はどの組織でも言われていましたが、メルカリは顧客、利用者の解像度を高める活動が体系化されており、かつ、ここまでがっつりと行うのか、という点で衝撃を受けました。

最初に配属されたメルカリのUS版を開発するチームでは、事前に日本国内でCraigslist(アメリカのクラシファイドサービス)でユーザー調査に協力してくれるアメリカ現地の方を募り、競合サービス等の利用状況、ライフスタイルなどから調査対象を絞り込み、実際に出張期間中に日程を合わせて調査を行いました。

2週間のサンフランシスコ出張中は毎日2,3件程度ずつ(トータル20件超)のインタビュー及びユーザビリティテストを繰り返しました。またオフィスに来てもらってインタビューすることもあれば、実際にその方のお宅にお邪魔して、室内の様子、家庭状況などの観察、また(メルカリなので)、家にあるものを出品するとした時の状況設定で調査を行うこともありました。

プロダクトを磨き込むためには、ここまで貪欲に顧客の実態、生活を知らないといけないんだというのはすごく衝撃でしたし、このような経験が開発メンバーにあることで利用場面の共通認識を後々まで残すことができ「あーあの時のあの人はこういう風に使っていたもんね」と議論がスムーズに進んだり、利用場面をイメージしながら機能を当てはめていく形で開発を進められるようになるのです。

こうした経験を経て、私の中で徹底的に顧客を向いてプロダクトを作るという基礎ができあがっていったように思います。


当時、数社のIT企業での勤務を経験し、レベルの高い環境下で刺激的な毎日を過ごしていましたが、漠然と日本の将来のため、まだまだインターネット活用やデジタル化が当たり前ではない業界(=デジタル化や改善のインパクトが大きい業界)でプロダクトを企画し自分の力を試してみたい、そんな思いが強くなっていました。

自らが開発したプロダクトによって、向き合った人達の課題を解決し、幸せにできる領域はどこだろう?そう考えていた時にアペルザと出会ったのでした。

日本の多くの人が従事する業界、かつ日本の経済にも最も影響力を持った業界であろう製造業。この世界で、もしも大きなインパクトを残すプロダクトをつくれたら…
そう考えていた時には、既にアペルザで働くことに対して心が決まっていたように思います。

もちろんお客様の業務課題の解決、それによって人生、生活が豊かになることが第一目標ですが、私自身もこれまで培ってきた経験をベースに、アペルザで自分の人生の”代表作”となるようなプロダクトを作りたいと思っています。

アペルザに入社してからの1年間にやったこと

2019年の年末にアペルザに入社して、主にやったことは3つでした。

・お客様への定量/定性調査を積極活用し、機能投入の精度を高める
・アペルザクラウドの新機能「WebFAX」の立ち上げ
・経営の意思を反映したプロダクトロードマップの策定

定量/定性調査を積極活用!

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C向けのサービスのようにABテストを繰り返し、リリースした後の改善のイテレーションを高速化するのではなく、業務システムということを考えると、極力リリース後のUI変更、フロー変更は避けなければいけないのがB向けのSaaSだと思います。

そのため、リリース段階ではある程度のニーズの検証、使い勝手の検証が済んでいることが重要です。そのため、開発に入る前のデザインフェイズで何周かイテレーションを回すということが必要になってきますが、そこで定量(アンケート)、定性(インタビュー・UIテスト)を活用したリーンなプロダクト開発を志向しています。

(リーンなプロダクト開発に関する記事は、前職メルカリでお世話になったkazuyaさんの記事に詳しい)

それまでのアペルザは案件によってはインタビューなどを行っていた場合もありますが、構造的にそれらを導入しているということはなく、リリースまでのイテレーションを明確に定義してはいませんでした。

私のアペルザへの入社以降、優秀なエンジニアメンバーの加入も続いており、プロダクトとしてのアウトプット(リリース数)は増やすことができています。そのリリースを行うだけではなく、実際に課題解決に結びつけるというところの役割を我々Product Managerは担保していかないといけません。そのために、一番必要な顧客の声を徹底的に聞くという、まずその文化、業務フローを構築することを意識しました。

メルカリ在籍時に経験した手法や、サービス企画部(PdM、デザイナーが所属する部署)メンバーの工夫などもあり、現在ではリリースを行う前の定量/定性調査というものが当たり前になりつつあり、部署に限らず、会社全体としても顧客の声をいかに拾い上げながら事業を進めるかというところに焦点があたってきていると感じます。

新機能「アペルザクラウドWebFAX」の立ち上げ!

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製造業においては、取引におけるコミュニケーションにおいて、未だにFAXでのやり取りが多く、やはり、我々のお客様がお付き合いのある得意先がFAXで発注をしてくるからということで、なかなか売り手サイドからコミュニケーション方法の変更を迫るというのは容易ではありません。

しかし、手書きやFAXで情報を処理していると、どうしても書類を仕分けして、分類し、保管するなどの作業が発生してしまい、本質的ではない部分に時間を取られてしまいます。製造業のFAX処理枚数は恐ろしく多く、多いところでは1日で500枚以上のFAXを処理するというのは極めて当たり前なことです。

また、紙で処理するがゆえに、内勤の業務さん(事務作業をする内勤営業のような職種)と、外回りの多い営業マン(製造業商社営業マンさんは基本車で外回りをしている)とでのコミュニケーションが難しく、外回りから帰ってくる夕方以降まで案件の対応が進まないということも珍しくありません。

さらに、昨年から続くコロナの影響で、物理的な出社に制限をかけざるを得ない状態になっていても、会社にFAXが届いてしまうからという理由でリモートを進められない企業さんもいらっしゃいました。

そこでもともとアペルザとしては構想としてあった、取引関連のサービスの第一歩として「アペルザクラウドWebFAX」の提供に向けて動き出しました。

まずはFAXを通じた取引業務の実態を把握するため、アペルザと関係のある複数の企業さんのオフィスにお邪魔し、数日間ずつじっくりと業務を観察させていただきました(この件に限らずいつも快くご協力くださる企業の皆様には頭が上がりません)。

WebFAXの機能開発についてはこちらでも記事にしてもらっています。


「まず徹底的に顧客を知る」というプロセスは、私のこれまでの経験が大いに活き、またアペルザにとっても、プロダクト開発の新しい実例として示すことができたのではないかと思います(自分がメルカリで衝撃を受けたときのように)。

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サービスとしては順調に導入をいただいている状況で、さらに嬉しいことに、導入企業様から「我々がこのサービスを付き合いのある企業に売っていいか?」という代理店希望の声も届いております。これはサービスの作り手として大変な喜びであり、開発の面々で顧客を向いてプロダクト開発することの意義、重要さを再認識する機会となりましたし、大きなモチベーションになったことを覚えています。

経営の意思を反映した製品ロードマップの策定!

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※機能名は伏せています

提供される機能がどういう意図で、どういうスケジュールでリリースされていくのかというのを全社に対してもお客様に対しても長期的な目線で対話が行えるように、これまで明確に存在していなかったロードマップを作成していきました。先程も先頭で述べましたが、これは全社で同じ方向を向いて事業推進するために必要なことでした。

明確に注力領域を定めて、開発ユニットを分割することで、各領域でドメインナレッジを蓄積しつつ、開発の高速化を図り、中長期的な目線でプロダクトで課題解決を図れるようプロダクトチームが変わっていきました。今では、昔よりも「多く」、「早く」顧客の課題にアプローチする施策が提供できるようになりました。

このようにロードマップを全社に対して共有していくことで、先を見通した営業だったり、クライアントサクセスは中期的なサクセスプランに沿って、お客様との対話を進められるようになったりと、SaaS企業にとって命との言えるプロダクトを起点とした事業運営ができるように少しずつなっているのではないかなと感じます。

今後はより、このロードマップを事業的な成長を仕組みとして支えられるようなものに進化させていき、プロダクト品質を高めることはもちろんのこと、拡販の面でもプロダクトが寄与する状態に仕上げていきたいと思います。

意気込みとまとめ

今回はCPOという役割の果たすべき役割について考えてnoteを書いていきましたが、このような考えや果たすべき責任が合っているかというところは、これからのアペルザ自身の成長で証明していったり、はたまた、その成長過程で役割自体が変化していく可能性も含んでいると思っています。

しかし、その中でも細かい役割は変わったとしても、「社内の納得感を生み出す(醸成する)」という役割を「自分たちの顧客を誰よりも知る」という方法を持って、果たしていきます。

その実現のため、自分ひとりがそのように振る舞えればよいのではなく、再現性を持って、会社全体の文化、動き方にしていけるようにしなくてはなりません。そのために、日々自分自身のInput(学び)を続けていきたいと思います。

(参考)アペルザとは?

そんな私が所属している「アペルザ」は、製造業のお客様に特化したクラウドSaaS、メディア等を提供している会社です。

長く日本の基幹産業として技術開発、業務改善を繰り替えてしてきた製造業ですが、先程のFAXの話のように、デジタル化の波に乗れているかというと、そうではありません。

デジタル化の遅れによって、バリューチェーンにおける、コミュニケーションミス、モノの遅れ、顧客フィードバックの届きづらさ、情報がオープンではないがゆえの煩雑さなどの課題が散見されます。

そのような課題に対してアペルザはインターネットの力を駆使し、デジタル支援(DX)をしつつ、業界の商流をなめらかにしていくことに力を注いでいます。

アペルザの会社概要や、事業詳細は以下のページを参照ください

顧客中心のサービス作りを、本当にお客様と膝突き合わせてやっていきたい、日本の未来のために自分の経験を活かしたいという方は、ぜひカジュアルで一度お話しましょう〜!

アペルザではプロダクトマネージャーを募集しています!


Special thanks @bkup13 (shin-ichi) san!! (かっこいいヘッダー画像さくっと作ってくれた)

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