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弱小医療機器メーカーのマーケティングを考えてみる #2 市場の定義

世界では一流の医療機器メーカーも日本では弱小のままである理由を営業だった立場からマーケティングの基本に当てはめてで考えてみた。モノがいいだけでも安売りしても市場のシェアを下げ続けた。

マーケティングの4工程「市場の定義」

市場を定義する上でまず考えるのは「誰が競合なのか?」を考えてみる。

マーケティングの4工程

競争相手は、まずは同じ種類の医療機器を扱う会社が競合にはなるが、少し広げて考えてみると、分類が同じ機器類を扱うメーカーも競合となりうるし、病院全体で購入する医療機器も競合となるかもしれない。同じ分類というのは、扱う診療科や検査科である放射線科なのか、検査科なのかということ。それぞれの科での予算の取り合いになることもある。
また予算とは、その病院で1年間のうちにいくらまでなら医療機器の購入に回せるかということにも関わるので、どこで購入する医療機器かに関わらず、医療機器を扱うメーカーは全て競合ともなりうる。また、予算ということだけでいくと、医療材料などの購入が多くなれば医療機器を購入できなくなる可能性もあるので、医療材料を扱う会社まで競合になりえるのではないか。

市場の定義

医療機器の営業は情報戦なので、病院関係者だけではなく、他社の医療機器を扱う業者とも関係があった方がいい。

ただ現場の売り方が分からない本社側では、単に同じ製品を持つメーカーが競合となりうると考えるのが妥当だろう。

市場の境界線を考える「どこまでがお客様か」

競合のラインが決まったら、どこまでがお客様なのかも考え、市場の境界線がどこなのかを考える。

市場の定義

医療機器は複雑だと思った。検診を受ける場合、健常者もお客様になりえる。マンモグラフィであれば、痛みがない機械がいい、今年の検査は痛かったなど、コメントを残して帰る人が多い。少なからず、病院のスタッフの印象に残ってしまう。そう考えると、検診に受けにくる健常者もお客様となりうる。お客様の定義が広くなる。

医療機器を提案する対象となるお客様の定義は、購入決定する、技師、医師、看護師などその医療機器を使ったり、読影したりする関与する人がお客様と考えるのが妥当だろう。

ただ、すべての人がお客様だと考えれば、富士フィルムのようにCMコマーシャルをするマーケティングはここでいう「お客様」の定義がきちんとできているからなのだろう。誰もが富士フィルムの存在を知っているし、医療の分野もあるのだと認知されている。明確な定義ができており、本当に勉強になる会社だ。

もしお客様の定義がはっきりとできていれば、学会や研究会への参加、医師との連携が明確で3,4年あれば信頼を構築できたのではないか。

市場の範囲を考慮すべき「5つの項目」

その市場の範囲を評価

競合、お客様かどうかを考える上で考慮すべき5つの項目があるので、それを画像診断装置のマンモグラフィで当てはめて考えてみる。
これら5つの項目を細かく考えるデメリットはスピード間が落ちてしまうこと、熱意が落ちること。評点表のように、〇、△、×などでチーム全体で評価して考えるのであれば、スピード感が上がり、チーム全体の熱意も上がるということ。

その市場の範囲を評価

医療機器の場合、競合だと思っている会社と時に共闘するときもある。この営業担当者とは競合でもこの施設では一緒に仕事をするといったこともあるので、当てはめて考えにくい。

だが、一度当てはめて考えてみて、市場をどう攻略して、どれだけの市場を取っていけるのかを考えていく必要がある。

それぞれの項目、営業担当でもこたえられる内容だが、やみくもに営業が成績を伸ばせば市場も上がるだろう、学会や展示会をすれば会社の知名度を上げられるだろうと思っているようでは、画期的な新しいものや、新しいサービスがない限り難しいだろう。

弱小医療機器メーカーには考える必要がある内容だが、考えられていないからこそ弱小のままなのだろう。

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