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弱小医療機器メーカーのマーケティングを考えてみる #3 価値の定義

市場規模から考えた「お客様」に対してどのような価値を提供するのかを考える。メーカーだから自社の装置を売るだけのことではない。特に医療機器の差別化が難しい中、お客様に接する人は共通した価値持ち意識しておくことが必要ではないだろうか。

あるべき姿「ブランドビジョン」

お客様が自社の装置を使った場合の「価値」を考える。この装置を使えば、このような価値が生み出せるということをイメージさせるもの。お客様にとっての価値をベースに考える。

売れていないメーカーやその会社の営業は自社の装置の特徴ばかりで押しつけがましくはないだろうか。新しい製品、特長の一点張りで、その機能がお客様にとってどのような価値となりうるのかという考えに至っていないように感じる。
イメージは「あるべき姿」を考えて今どうなのかということに振り返ってみる。そうなると、今はこうでなければ、あるべき姿には近づかないのではないか。あるべき姿を考えることで、今どうすべきかが見えてくる。

価値の定義


【顧客にとっての価値】

・実利価値:機能的て実態がある
・保証価値:機能的で実態がない
・評判価値:情緒的で実態がある
・共感価値:情緒的で実態がない

商品によって4つの価値をを使い分けるということだが医療機器の場合、どこにでも落とし込むことができそうだ。

あるべき姿」の考え方

画像診断装置「マンモグラフィ」のお客様にとっての価値を考えてみる。4つの価値のどこにでも落とし込むことができるのだが、「共感価値」はそれほど重要視しなくてもいい内容ではないか。

優先順位としては、実利価値→補償価値→評判価値になるだろうか。実利価値を押しつけがましくなく、保証価値とともに提案するのがベストなのか。その価値の提供でファンになってくれたお客様が評判価値につなげてくれれば一番効率がいい。

お客様ベースでの考え方

使っているお客様が少なければ評判価値にもつながりにくく、またメーカー名さえ知られていなければ、患者のためになる活動を行っていてもなかなか購入する直接のお客様にその共感が伝わりにくい。営業の切り口としてはいいのかもしれないが少々遠回りではないか。

評判価値を高めるために、その分野において有名な先生に使用してもらうということもよく行われている。〇〇先生が使っているから、安心できますよ、とはよく聞く話だが、〇〇先生、〇〇病院が使っているから、提案する施設にも当てはまるのかをよく考える必要がある。〇〇施設が使っているから安心だと思わせて、実際にお客様が購入したあとで、思っていたことと違うということはよくある。実利価値の訴求が足りなかったのではないか。


一営業としては、お客様に合わせた実利価値を提案し、購入後は保証価値にて満足頂く。満足頂いたお客様には評判価値の対象になってもらえばいいのではないか。時間がかかるが、確実にファンとなって離れないユーザーが育つのではないかと考える。

あるべき姿が「〇〇先生が絶賛し、患者にも貢献する装置」であるならば、かたるべき今は「実利価値を高め、購入後の保証価値を高めること」ではないか。具体的な実利価値、保証価値を当てはめなかったのは、それぞれの施設によって実利価値が違うのではないかと思ったから

シェアを伸ばすためにただ売ればいいということでは、その先にあるべき姿が見えていないのではないか。

まとめ

価値を忘れないために

ワークショップなどを開催して価値を決め、忘れないためには一言でいうとどういう価値なのか、これを掛け声にしていくことが有効だということ。
社内に掛け声化しておけば、企画の判断、広告内容に一貫性を保つことができる。

弱小医療機器メーカーではどうだっただろうか。掛け声は装置の一機能であった。また、ある時の掛け声はシェアを伸ばすために売ることだ、ということであった。

お客様があっての「価値」をきちんと落とし込んだ会社がシェアを上げていくのだろう。


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