見出し画像

ガルパン最終章3話を見てきた

 以下、滅茶苦茶ネタバレがあります。
 未見の方は、以後自己責任となります。


 ネタバレ始まりますよ?
 よろしいですか?


 最終章3話を見るに際し、実はその前の週に2話を再視聴した。
 やはり3話を見るためには前のつながりというか、前回がどうだったのかを自分の中で確認をしたいとの思いだったが、3話視聴前に2話を見ようとしたことによって、3話の進捗のヤバさというか、本当に現場は大変なんだろうなあと感じた。
 というのも最終章の1話や2話の公開直前には、アマプラ等の配信サービスでそれまでのガルパンの無料視聴サービスが始まっていたもので、公式Twitterなどでもその旨告知があった。
 今回もそうだろうと思い、アマプラをひらいてみたが有料公開のまま。Twitterでも確かに告知はない。
 ブルーレイを所持しているのに、単にディスクを持ってくるのがめんどくさいという理由だけで有料レンタルをするのもアレなので、所持しているブルーレイで視聴したわけだが、この以前のシリーズ作品の無料公開が今回はないというあたりに、ガルパン公式が「今回は忙しいのかなあ……」という空気をちょっと感じた。
 そしてそれとは別件になるのだが、この時僕は2話ではなく劇場版ガルパンの方を見るべきだったのだ――これは後で述べます。

 26日の公開日、僕は子供と一緒に初回上映の見に行った。
 今回は日が変わった直後の最速上映がなかった。
 これはコロナの影響によるもので、制作の大変さとは別の話でしょうが、あの最終章公開のちょっとしたお祭りの雰囲気がなかったのは、残念といえば残念ではありました。でもこれは仕方ない。
 そして上映が始まって感じた制作の大変さ、それは……

 3分ちょっとでわかる前回までのおはなしがなかった!

 上記のこれで、ひしひしと感じましたね。
 今回はいきなりOPが始まり、あれ2話もこうだっけ……となりましたが、そうだ前回は3分ちょっとでわかるがあったな、となりました。
 OPも前回の2話と同じで、1話から2話になった時にOPが少し変化していたのが嬉しかったので、そこはちょっと残念とまでは言いませんが肩すかしをくらった気分にはなりました。
 特に3話までOPをつとめたGrand symphonyの最後の使用OP回だったので、なにかひとつ変化があったら嬉しかったなとは思いました。
 ただ、僕程度では気づかない部分での変更があったとしたら、それはゴメンナサイ。
 それからもうひとつ、1と2話ではあったので当然あると思っていたのになかったものがもうひとつ。それは……

 対戦校による歌唱がなかった!

 というものであります。
 これはまあ、前回と前々回にあったから今回もあるんじゃないかと勝手に思っていただけなので、制作の大変さとは関係ないものかも知れません。なければならないものではないですし、展開や物語に必要なければ無理に入れるというものでもありません。
 ただ先に言ってしまうと大洗の次の対戦相手は継続であろうと思っていたので(余談ですが個人的にはサンダースを応援していましたが、テレビ版本編で対戦済みですし、物語的にはまだ直接対戦していない継続だろうなと思っていました)、ミカのカンテレによるあの曲に歌詞がついて歌うんじゃないかとか思っていましたし、もしかして知波単による新曲なりアレンジがあったりして……と思っていました。
 最終章2話では応援上映というものがあり、その時はラバさんを劇場の来客も歌ったりしていたそうなので、あるんじゃないかと思っていたんですが、なかったですね。


 さてここからは、物語の内容のおはなし。
 前回ついに撤退を認め、敢行した知波単。
 撤退に滅茶苦茶ショックを受けていた玉田が、この冒頭部でまだ引きずっているのがちょっと可笑しく、微笑ましい。そうだよね、そう簡単に染み着いたものは変えられないよね。
 知波単は逃げつつ、大洗は追つつ、次の戦略を練ります。
 優花里による知波単評「戦うために突撃していたというより突撃するために戦っていた」は言い得て妙。その知波単がそれをかなぐり捨てて今逃げているという事実に、僕はもう泣きそうだった。
 その知波単が選んだ分断作戦。
 ここで知波単の福田車は、隊長車をマークしてい大洗アヒルさんチームと遭遇。一対一の戦闘に入る。
 この一連の福田車VSアヒルさんチームの戦いは本当に、戦闘としても物語性においてもガルパン屈指の戦いではなかろうか。
 そもそも知波単が変わったのは、福田による進言を隊長の西が入れたからだ。
 その福田ですら、初登場時の劇場版冒頭ではしきりと突撃を仕掛けようとしてアヒルさんチームをはじめとする大洗に諫められていたのだ。
 それがアヒルさんチームと一緒に戦うことで、自分たちに合った、自分たちにならできる、自分たちにこそできる戦いをするということを体験し、その意味に目覚めていったのが福田だ。車長ではあっても彼女が敵車両を撃破したのも、もしかしたら初めてだったのではないだろうか。

 そういえば話がちょっと横道にそれるが、劇場版の冒頭部で知波単玉田車がマチルダⅡを撃破した……というのは勘違いだったので(実際には大洗による撃破)、今いる知波単メンバーによる初のマチルダⅡ撃破は立体駐車場でのアヒルさんチームと協力した福田車だったわけで、この時に福ちゃんは『目覚めた』んじゃないだろうか。

 話を戻そう。
 突撃だけではない、勝つために知略や自分たちにあった戦いを考えていくということに目覚めた福ちゃんにより、知波単は変わった。変えたのは、アヒルさんチームだった。
 そのアヒルさんチームとの1対1での遭遇と戦い。共に驚く両者の胸に去来するものはなんだったのか……それを考えると感慨深い。
 この1対1は死力を尽くし、実力も伯仲した一進一退の攻防となり、千日手の様相を呈する。
 両者の車両は福ちゃんが九五式、アヒルさんチームが八九式と機動力では福ちゃん、火力ではアヒルさんが上と言ったところだろうか。
 膠着する戦いに、両者は「勝つために相手の想定していない手」を模索する。そして出した手は……

 両者ともアヒルヘッド!

 互いが、相手の想定していない一手を考えて出した結論が同じだったのだ。つまり、同じ事を考え、同じ結論に至ったのだ。
 しかもそれだけではない。

 両者とも後ろ頭にアヒルヘッド装着!

 お気づきだろうか。すべてアヒルさんチームが考案し、実践し、戦果を上げてきた策なのだ。
 互いに手を知り尽くしているどころではない、この戦いは実質師弟対決とも言える戦いだ。福ちゃんの戦術は、すべてアヒルさんチームから教わって覚えたことだ。
 これはこの1対1だけではない。突撃だけではない、という戦い方や勝つために戦術を練る、ということも含めすべてアヒルさんチームから習ったことだ。
 そしてこの、同じ戦術……後ろ頭のアヒルヘッドによって勝ったのは……福ちゃんだった。まさに相撲で言う「恩返し」、藍は藍より出でて藍より青しを地でいく勝利だった。
 突撃だけではない戦いも、アヒルヘッドも、後ろ頭も、すべてアヒルさんチームから教わり、そして勝ったのだ。
 試合後、福ちゃんはアヒルさんチームに申し訳なく思っていることが描写される。それはそうだろう、すべてを教わり、試合の前にはアドバイスや友達として遇された相手からの勝利なのだ。しかしアヒルさんチームは、負けはしたものの実におおらかに福ちゃんに接している。
 これは1対1では負けたものの試合には勝ったという余裕からくるものではないだろう。きっとアヒルさんチームは、試合に負けていても同じように接してくれただろうことは容易に想像できる。嗚呼、素晴らしき哉戦車道。

 夜戦では知波単に一日の長があった。慣れているのだ。ジャングル戦もそうだ。
 しかしこれらの不利な状況を、なんとみほはチーム内のポジションチェンジで乗り越えてしまう。
 ガルパンも長く続いたシリーズで、一般に長期にわたり制作されていると過去の設定等が忘れられたりしていく作品も多い中で、例外的とも言える過去の設定の再認識をさせてくれた。

 麻子の夜に強い&視力がいい設定・優花里の操縦するとパンツァーハイになってしまう設定・みほの得意ではなくても一通りのポジションがこなせる設定。

 いやそれあったよ? それにまつわるエピソードもやった。でもそれまた活用して魅せる? って思わずなりました。麻子が車長、みほが装填手、優花里が操縦手にポジションチェンジ。しかもそれが効果的!
 繰り返しになりますが、ガルパンも長く続いていて、もう戦いのバリエーションもそろそろ終わり……なんてことは全然なくて、ここまで続いていてもなお戦術戦略に魅せる余地があるって事はこれ相当すごいですよ。ホント。

 西隊長についてもちょっと。
 2話のラストまでは、彼女も自分に対して欺瞞があったんじゃないかな、と思っています。制止や退却ではない、「足踏み突撃」であり「さようなら突撃である」と。
 だが福ちゃん同様、みほから学び影響を受けねそして「ぶち倒します」と思いを新たにした結果、その欺瞞もかなぐり捨てたのではないだろうか。
 だから彼女は話のラストで言ったのだ「これは転進ではない! 撤退だ!!」と。
 これは福ちゃんには言えなかったことなんですよね。必要な時は撤退もしたい、だがやはり知波単の先輩たちにそうとは言えない。だから「これも突撃なんです」との欺瞞を内包しつつ作戦を提示していたわけで、でも西隊長は違った。そう、隊長にはその学校の将来も考え見据える必要もある。全体を意思統一させなくてはならない。だから言ったのだ「撤退だ」と。
 この意味で西は有能な隊長であると、僕は思っています。知波単も変わる、その節目に立ち会いそれを導いたのは、時勢や隊内の空気を敏感に感じてのことだったのだから。

 3話視聴前に僕は2話を見返したわけですが、知波単と大洗の交流や縁そして成長を見るのには劇場版をこそ見ておくべきだったのかも知れません。事実、3話を見てから僕は劇場版を見返しましたよ、ええ。

 さて、知波単学園は最終的に試合としては負けてしまう。しかし試合には負けるが、勝負には勝つ。それは救いだ。
 そう、西体調が掲げた『あんこうチームの撃破』は達成される。福ちゃんも師であり友であるアヒルさんチームに勝つ。それでも試合には負けてしまう。残念だが、僕は知波単学園に万雷の拍手を送りたい。がんばったぞ、知波単学園!


 プラウダVS黒森峰
 個人的にはプラウダを応援していたので、ちょっと残念。
 救いはカチューシャの手影絵の「集中砲火」が可愛かったのと、負けた時の表情。

 アンツィオVS聖グロリアーナ
 まず試合場が綺麗で楽しかった。石畳で坂の多い、細い道のある試合場はドリタンとかで採用してくれないかと切望してしまった。
 アンチョビによる聖グロ評「世界一飯のまずい学校に負けるわけにはいかない」には思わず苦笑。ただこり一連のやりとりで、アンツィオも試合前にちゃんと聖グロを偵察しているらしいということにちょっと感動。まあフィッシュ&チップス定食だけ食べて帰って行った疑惑も否定できませんが……でも確かに美味しそうだな、フィッシュ&チップス定食。
 そしてちょっと意外だったのが、カルパッチョがペパロニのことを「ペパ」と呼んでいたこと。これまでは「ペパロニさん」だったのが、ここにきて「ペパ」ですよ。2人の間になにかあったのか……例えばですよ、既に来年のドゥーチェはカルパッチョというアンチョビの内意が既に2人に伝えられている、とか。そうでなくても、2人が友情を深めるなんらかのエピソードもあったりしたんじゃないかと思うと、これまた色々と想像が止まらないです。二次創作者としては。
 次世代といえば、今回のアンツィオの作戦「ファルファッレ作戦」も、これまでの文房具由来ではなくイタリア語ではあっても食べ物関係になっているあたり、やはりカルパッチョがなんらかの意見を出してるのかな……とか思いましたね。
 聖グロ側はやはりローズヒップが見てて楽しい。彼女らしい登場と、1回戦での汚名を晴らす活躍。紅茶をドバドバこぼしながら、ちゃんと戦術を実行しているあたりに成長を感じました。

 サンダースVS継続
 サンダースらしい物量とケイによる一丸となった作戦行動はやはり王道の戦い。それを白い悪魔ならぬ白い魔女が倒してしまったのは圧巻。
 白い魔女はまあ、出たか! っていう思いもありますがまだまだ名前と一瞬のビジュアルしか出ていないので今後に期待ですね。
 これまでのガルパンでは華とサンダースのナオミが砲手としての白眉だったので、その両者を白い魔女が今回続けて倒してしまったのは登場してのインパクトは絶大。いやまこと名刺代わりの一発。いや二発でした。特にナオミが狙撃したであろう方角からその距離を推し量り思わず汗を流して戦慄するシーンは良かったです。
 この対戦のもうひとつの注目ポイントは、アリサとタカシがどうなったのかがさりげなく語られているところ。タカシの存在はテレビシリーズで語られはじめ、劇場版では「まだフラれてはない」となり、最終章1話で「優勝したら振り向いてもらえるかも」だったのが、ここにきてこのオチですよ! サンダースが敗退して今後出番としては減るであろう事から、最終章でもありこれが最終的なアリサとタカシの終わりだとしたらちょっと可愛そうかなとも思いますね。

 最後に、試合序盤であんこうチームが撃破され、残されたメンツで戦わねばならなくなるというのは創作とかしていて想像はしてもなかなか実現は難しいと思っていたので、公式がこれをやってきたことに敬意を持ちます。
 いや、ここでこそ桃ちゃん隊長の、隊長としての活躍に期待です。
 そして個人的には澤梓ちゃんが、リーダーシップを発揮して活躍してくれたらいいなあと祈念しております。

 ではとりとめもないですが、最終章4話を楽しみにしつつ、覚え書きとして……


     了

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?