いもうと【1分しまうま】(毎週ショートショートnote)
パパとママがぼくに言った。
みーちゃんは少し普通の子とは違うって。
3歳になってもなにも話せないから、それは何かあるんだろうと思ってたけどさ。
でもそんなことはどうでもいい。
だってみーちゃんはぼくのいもうとで世界一可愛いから。
ぼくはいつもみーちゃんの好きな絵本を見せて読んであげる。
しまうまがすごい顔して走ってくるところがツボらしく、いつもけたけた笑う。
ページをめくると怒るからずっとしまうまがすごい顔して走ってくるところで止まってしまう。
みーちゃん、これはなに?
しまうまを指さして聞く。
返事はない。
しまうまだよ。
し・ま・う・ま!!
しまうまはこの兄妹が好きだった。
みーちゃんが自分を見てわらってくれる笑顔も、お兄ちゃんがぼくを読んでいる優しい声も。
だから神様、どうかこの兄妹に一度だけ、一分だけでいい。
しまうまは祈った。
んまんま。
みーちゃんがしゃべった。
んまんま。
そう、ぼくは、んまんまだよ。
しまうまはしまを消した。
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