出先のカフェでイラストの作業をしようと思ってiPadを取り出したら充電が切れていた。最悪だ。電源の入らないiPadなどただの無駄に重い板でしかない。何をやっているんだ。わざわざ重い板をカバンに入れて家を出て地下鉄に乗ったのかと思うと馬鹿馬鹿しくて嫌になる。土曜日に、わざわざ。

ただの板ならまだ使い道もあるかもしれない。急に野菜を切る必要が生じたらまな板にできるし、水に落ちたときはビート板代わりにもなるだろう。暑いときは団扇としても使えるし、車が脱輪したときは地面とタイヤの間に噛ませて体勢を立て直すことも可能だ。

だが、電源の切れたiPadはそうはいかない。精密機器ゆえに乱暴な扱いができないし水も厳禁だ。ただ重い上に取り扱いに気を使う板。かろうじて団扇にはできるかもしれないが、重いので涼しさよりも疲労の方が上回る可能性がある。何にも使えず、かと言って捨てるわけにもいかず、ただ丁寧に持ち運ぶだけ。何なんだこれは。勘弁してくれ。

電源の入らないiPadを持ち歩いていてもいいことは何もないのだ。「電源の入らないiPadを持ってる人割引」みたいのをやっているお店があれば別だがそんな店はないし、もしあったとしてもあまり行きたくない。iPadはしっかり充電しておくに限るのである。