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うまい棒まとめ買い

むしゃくしゃしてコンビニでうまい棒をまとめ買いした。何に対してむしゃくしゃしていたのかは覚えていない。僕は何かにつけてむしゃくしゃするのが得意で、さすがにこれは無理だろうというところからも、その手があったか!と驚くようなアプローチでむしゃくしゃへとたどり着くことができるのだ。フリークライミングみたいなものだと思ってもらっていい。

駄菓子コーナーは物価高の影響がわかりやすく現れていた。中でも驚いたのは「タラタラしてんじゃねーよ!」が一袋50円になっていたことだ。昔はたしか20~30円で食べられた気がするが、タラタラしているうちにこんなことになってしまった。パッケージに描かれたパンクロッカーも心なしか「だから言っただろ」的な顔をしているように見える。タラタラしている間は事の重要性に気付けない。気付くのはいつももう手遅れになってしまってからだ。

そんな中、僅か2円の値上げで持ちこたえているのが我らがうまい棒である。きっと涙ぐましい企業努力の賜物に違いない。社長の孫の誕生日に社員総出で行われるパレードを中止したり、社食で「ストップ」と言うまでイクラをぶっかけ続ける海鮮丼の販売を停止したり、工場のコンベアの動力を秋田犬から雑種の犬に変更するなど、さまざまな工夫のおかげでこの値段を実現しているのだろう。本当に頭が下がる思いである。

うまい棒は6種の味が並んでおり、僕はとりあえず各味一本ずつ手に取った。それだけでは物足りず、めんたい味とチーズ味を一本ずつ追加する。さらにコーンポタージュ味も加えようかと迷ったがやめておいた。僕の中の悪魔と天使が現れて「もし財布を拾ったらネコババしちゃえよ!そしてコーンポタージュ味は一本で十分だ!」「ダメ、もし財布を拾ったら交番に届けなさい!そしてコーンポタージュ味は一本で十分よ!」と言ってきたわけではない。理由はただなんとなくである。

うまい棒をまとめ買いすると意外なほど心が躍ってきた。「コンビニでうまい棒をまとめ買いできる」という当たり前の事実を改めて認識すると、途端に世界が輝きだしウキウキしてくるのだ。すごいぞ!たった100円たらずでこんなにたくさんの種類の棒状のスナック菓子が買えるなんて!コンビニ万歳!スナック菓子万歳!棒状万歳!ボン・ジョヴィも万歳!うまい棒万歳!

購入したうまい棒は八本。一気食いすると絶対胃もたれするので数回に分けて食べることにした。初回は二本あるめんたい味とチーズ味、そして二本目を買うかどうか迷ったコーンポタージュ味の三本を食べた。どれもうまい棒の名に恥じぬうまさだった。一本ぐらいふつう棒があってもよさそうなものだが、三本中三本うまかった。どのくらいうまかったかというと、コーンポタージュ味を二本買わなかったことを少し後悔したくらいだ。

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