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どうせちょっとした奇跡なら

仕事でビジネスホテルに泊まった。先日泊まったホテルは枕元にコンセントがなくがっかりしたのだが、今回のホテルは枕元にコンセントに加えてUSB充電口もあるという充実っぷりだ。何がなんでもあなたを充電不足にはしない、という強い意志を感じる。ありがたい。

Wi-Fiのパスワードはテレビ画面で見ろとのことだったのでリモコンを操作するが、画面が全然反応しなかった。電池切れか?と思ってリモコンあるあるの一位「電池をくるくる回すとまだ使える」を試してみたがそれも不発だった。

もしかして完全に電池が切れてしまっているのだろうか。いや、でもたまたまホテルの部屋のリモコンが完全に電池切れなんてことがあるか?あるとしたらちょっとした奇跡だ。どうせちょっとした奇跡が起こるなら、「適当に買い物したら財布の中の小銭とピッタリ同じ額」とかがいい。

最後の足掻きで電池を一回外して入れ直そうと思ったときに違和感に気づいた。2本の単四電池が同じ方向を向いているのだ。片方の電池はプラスの出っ張りをバネ的なやつに突っ込んでいて、明らかに不自然な状況だ。電池を取り出し、ひっくり返してセットし直しボタンを押す。

すると、画面のカーソルが動いた。

よかった!電池切れではなかった。無事Wi-Fiのパスワードを知ることができた僕は、スマートフォンとiPadをWi-Fiに繋ぐ。見事ミッション達成である。本来は感じなくていいはずの謎の達成感を感じる。

考えてみれば、ホテルの部屋のリモコンの電池の向きが逆になっているというのもおかしな話だ。枕返し的な妖怪の仕業か。妖怪電池返し。これもまたちょっとした奇跡と言えるのかもしれない。どうせちょっとした奇跡が起こるのなら、「昔好きだった人とたまたま居酒屋で相席になる」とかがいいけど。

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