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平成三年生まれやね

通りすがりの中年男性がでっかい声で「平成三年生まれやね!平成三年生まれ!」と繰り返しながら歩き去って行って、そのあまりの突拍子のなさに笑ってしまった。

「何でもいいから意味不明なことを言う」というボケをやる場面はたまにあるが、つい奇声をあげたり「神」とか「宇宙」みたいなワードを選んだりしてしまいがちだ。しかしそれでは所詮「奇天烈であろうとしている常識人」にしかならない。「ぶっ飛んでいる人ってこんな感じだよね」という思考の跡が透けて見えてしまい、見ている側も言っている側もなんとなく冷めてしまうのだ。

そこへ行くと「平成三年生まれやね!」はすごい。何もおかしなことは言っていないにも関わらず、前振りなく大声で連呼されることによって強烈なインパクトが生じている。むしろ何でもない言葉だからこその凄みさえ感じさせているのだ。家庭の冷蔵庫の食材を使って絶品料理を作ってしまうシェフのようである。大したものだと思う。

当の中年男性にどんな事情があるかはわからないので単純に面白がっていいものではないかもしれないが、「平成三年生まれやね!」というワードチョイスの切れ味の鋭さには惚れ惚れせざるを得ない。なかなか狙ってできるものではないだろう。どう頑張っても僕にはたどり着けない境地である。

ちなみに平成三年生まれの有名人を調べてみると、米津玄師、関口メンディー、夏帆、高畑充希、ハマ・オカモト、でか美ちゃん、国山ハセン(敬称略)等々、錚々たる面々であった。だからなんだということではないが、皆様ご活躍で何よりだ。もしお会いする機会があれば、「平成三年生まれですね!」とお声がけしたい。

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