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雲ひとつなく晴れたハロウィンの日に

今日はハロウィンだ。と言っても特に仮装はしなかったし、街に繰り出すこともなかった。今年が特別ということではなく、過去を振り返ってみてもハロウィンにこれといった思い出はない。唯一思い出すのは、2020年、コロナ禍のハロウィンで見た嫌なツイートの記憶くらいである。

当時はコロナ禍真っ只中。世の中は自粛ムード一色で、出歩いたり集まったりするのは良くないこととされていた。そんな中事件が起こった。天神の警固公園に仮装した若者が大勢集まって問題となり、全国ニュースとして報じられるほど話題になったのだ。

皆口々に彼らを非難したし、僕も気に食わないと思っていた。当然Twitterにも批判的なツイートがたくさん流れてくる。その流れの中にそのツイートはあった。そこには、ネットニュースを引用してこう綴られていた。

「どうかこのニュースを、医療従事者の方々が目にしませんように」

うわーーーーーーー!!!!!!!

嫌いだーーーーーーー!!!!!!!!

見た瞬間そう思った。言いたいことはいろいろあるが、まず最初に思ったのは「あなたが拡散したことでこのニュースが目に入る可能性は上がってるけどね!」ということだ。一見「正しい」ことを言ってるからこそ、やっていることの頓珍漢さが際立つ。怖い怖い怖い。何やってんの。

もう、「自分はこんなにも憤っています」ということをいかに効果的にアピールするかが目的になっているようにしか見えなかった。若者集団に対するけしからんという思いと、医療従事者を慮る気持ちは本当だと思うのだけど、それに自己顕示欲を組み合わせるとこんなにも気色の悪いことになるのか。逆に感心するレベルだ。すごすぎる。

さらに嫌だったのが、このツイートに何の引っかかりもなしに同意する人が大勢いたことである。彼らは「そうですよね…(泣き顔)」みたいな言葉を添えてつぶやきを拡散し、ツイートの主が目に触れてほしくないと言っているこのニュースをどんどん広めていた。「私もあなたと同じ気持ちです」と言えればなんだっていいのだろう。気持ち悪いったらありゃしない。

ああーーーーーー!!!!!!

嫌いだーーーーーー!!!!!!!

本当に狙い澄ましたように僕の嫌いなポイントを突いてくるツイートだった。当時は社会全体がかなりピリついていたからそれに引っ張られた部分は多少なりともあると思うが、今思い出しても新鮮に嫌な気分になることができる。時を経ても全く色褪せていないのだ。「2001年宇宙の旅」のレベルである。

もちろん、最近も見ていて嫌いだなあと思うつぶやきはたくさんある。だが、このツイートと比べると勝負にならない。「自分の正しさを疑わない人間が気に食わない対象を非難するために都合よく他者を利用している」という構図は、嫌なツイートとしてあまりにも完成度が高すぎるのだ。もはや殿堂入りと言っていいだろう。おめでとうございます!後日記念品を送らせていただきます!

ハロウィンの日に、雲ひとつない秋晴れの空を見上げながら、僕はそんなことを考えた。


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