見出し画像

テキパキ店長の店

立地的によく利用するコンビニに、これ見よがしにテキパキ接客して見せる店員(おそらく店長)がいる。テキパキ店長はとにかく元気で明るくフレンドリーな接客をしてくるのだが、その振る舞いが個人的にはどうしても受け入れがたい。だから、お互いのためにも普段は極力レジで当たらないように気をつけている。

店内を見て回ると、商品が全て棚の手前に面出しされ、乱れなくきっちりと並べられていた。きっとこれもテキパキ店長の仕業に違いない。なるほど見た感じはとても綺麗だ。だが、商品を隙間なくびっちり並べているせいで、ものによってはかなり取り出しづらくなってしまっていた。特に牛乳は、棚の高さがギリギリに設定されていることもあり、力ずくで引っ張り出さないと取ることができなかった。

この陳列棚を見て、僕がテキパキ店長が苦手な理由がわかった気がした。彼にとっては美しく陳列された店内の印象こそが重要であって、客の利用のしやすさは二の次なのだろう。それは接客も然りである。「自分が明るく元気な接客をしている」ということが何より優先され、それを受ける客の心情はどうでもいいのだ。僕は彼の「良い行いをする」という目的に勝手に付き合わされることに抵抗を覚えているのである。

そんなことを考えながらレジに並んだら、僕としたことが調整をミスしてしまい、あろうことかテキパキ店長に当たってしまった。彼が発する絶妙に嫌なトーンの「袋どうされますか?」を聞かないために先手を打って「袋お願いします」と申告する。「はい!袋ですねー!」のトーンも大概だったがそこは我慢だ。さすがに僕も大人なので。

心を無にしてテキパキ接客をやり過ごし、袋を手にレジを離れるとホッとした。自分の接客が客の心に緊張を強いていることなどテキパキ店長は想像もしないのだろう。店には最近新しいアルバイトが入ったようなのだが、テキパキ店長によるテキパキ指導を受けていると思うと気の毒で仕方ない。店長と共鳴するタイプの人間なら大丈夫だろうが、それはそれであのタイプの店員が増えると思うと複雑である。

サポートって、嬉しいものですね!