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『ガールズバンドクライ』論

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ガルクラについての私の感想です。
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記事一覧

071『ガールズバンドクライ』第10話「ワンダーフォーゲル」、感想

 今回はトゲナシトゲアリが本格的に活動するための最大の障害であり問題、フロントマンの井芹仁菜の家族を扱った回。アバンも仁菜ちゃんが開発したグッズに関する話があり、今回はガルクラの本来の主人公回と言う示唆はあった。しかしそこはガルクラ、すぐに芸能事務所の人間に呼び止められるというミスリードがあり。  お話が動き出すのは仁菜ちゃんのお母さんが娘のバイト先を訪ねて来たり、お父さんがアパート先で待ち伏せして来たりから。多分そんな仁菜ちゃんの状況、トゲナシトゲアリの他の四人は話し合った

069 桃香と仁菜、ルパと智、比較論

 私の以前のnoteでのメタ論でダイダスが東映アニメーション、東映動画ならbeni-shougaは虫プロと論じたことがありました。しかし先週の第九話で多少はかすっていたようですが、メタでなく劇中の要素で語った方がいいかなと思いまして。簡単に言えばルパさんと智ちゃんのbeni-shouga、新川崎(仮)に成長/発展できなかった「桃香さん」と「仁菜ちゃん」ではないかと思いついたのです。そう考えるとすばるちゃんを入れたトリオの時分の新川崎(仮)とbeni-shougaが合体したこと

068『ガールズバンドクライ』第9話「欠けた月が出ていた」、感想

 前回は最終回(じつはアニメのぼざろも最終回然とした回が何回かあったっけ)と思えるほどの盛り上がりを見せ、今回は何の話になるかと見当がつきませんでした。そしたら序盤はギャグでコメディ、本編は智ちゃん回でした。誰かのnoteか失念しましたが、智ちゃんは天才(肌)だから、周囲、仲間との軋轢回があるはずという意味の記事を読んだことがあり、今回は正にその回でした。  智ちゃんは小さいころからピアノを習ってたお陰で独立心が強くプロ志向なため、せっかくメンバーを集めてもきつくダメ出しして

067 2024年春アニメ、終盤前評価

響け!ユーフォニアム3  キャラデザが正統派美少女の点では私の好みから外れるのですが、不穏なドラマという点で私の好みです。今季が終わったら第一期から見直そうと思ってます。 終末トレインどこへいく?  もう(作劇的に)何をやっても私は許します。結局何がテーマなのか、それがどう奇天烈な世界観に表現されるか、結末が楽しみです。 狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF  物語の(大)嘘は「賢狼ホロ」だけで、その世界観は貨幣経済の黎明期。アニメに

066『ぼっち・ざ・ろっく!』、そして『ガールズバンドクライ』!⑤ ぼざろとガルクラ、それぞれのロック その2

 ぼざろとガルクラの比較論、少々ややこしくなってきましたが、今回は下記のnoteの続きです。  上記で私が示したロック、今回との違いを明確にする言い方をすれば、ぼっちちゃんこと後藤ひとりとニーナこと井芹仁菜、二人の少女がそれぞれの物語で示したロック魂です。ぼっちちゃんは無様な姿を晒してでもギターボーカルで入ると思ってた、自分にはない陽キャの少女を引き留め、仁菜ちゃんは中指立ててまで、空しく都会の喧騒に消えるかも知れないのに「一緒に中指立てて下さい!」と、奇跡で出会えた憧れの

065 メタで語る『ガールズバンドクライ』③

 本来は今夜は八王子駅前のホテルに泊まり、明日の朝一で京王線に乗るために早めに寝るはずでした。しかし明日からの東京ボランティア・市民活動センターが募集した「令和6年能登半島地震 被災者支援ボランティア」の第6回、先週の肉体労働がたたってキャンセルする憂き目になってしまいました。  昨日は仕事から帰って十分時間があったので、旅支度とnoteをする準備が十分あったのですが、帰宅してすぐパジャマに着替えてベッドに入ったのでした。何とか起き上がれるようになったのが夕方の六時半過ぎ。電

064『ガールズバンドクライ』第8話「もしも君が泣くならば」、感想

 前回、バンド名は新川崎(仮)のままだけど五人編成になって暫く経っているみたいでやっと気づいたのは、ガルクラは仁菜ちゃんと桃香さんの物語だということ。五人での初ライブも、初期の知っちゃかめっちゃかも前回やんなかったから。だから仁菜ちゃんが挑発して終わった前回、桃香さんがどう答える/応えるかが見所と気づくべきでした。  だからOP直後前は前回直後、帰りの車の中。そこでの冷戦は打ち上げで寄ったファミレスフードコートでの言い合いに発展するんだけど、視聴者の私はいつもの言い合いと、微

063『ぼっち・ざ・ろっく!』、そして『ガールズバンドクライ』!④ 楽曲論その2 青春コンプレックス/雑踏、僕らの街

 今日は主題歌の歌詞、OPにかかる部分だけで分析。  まずは「青春コンプレックス」。 暗く狭いのが好きだった 深く被るフードの中 無情の世界を恨んだ眼は どうしようもない愛を欲していた 雨に濡れるのが好きだった 曇った顔が似合うから 悲しみにおびえてるふりをして 空が割れるのを待っていたんだ かき鳴らせ 光のファズで 雷鳴を轟かせたいな 打ち鳴らせ 痛みの先へ どうしよう! 大暴走獰猛な鼓動を かき鳴らせ 交わるカルテット 革命を成し遂げてみたいな 打ち鳴らせ 嘆き

062『ぼっち・ざ・ろっく!』、そして『ガールズバンドクライ』!③ 楽曲論その1 ロックを定義する/青春コンプレックス

 本題に入る前にロックの定義、私のロックに対する認識を明らかにする必要があります。平たく言えば「何がロックか?」。それを説明するためにはロックとするには扱いが困る、ポップスとの線上、境界に位置づけられるアーチストを論じるのが良さそうです。私にとってそれはZARDであり倉木麻衣、そしてそれに類するアーチスト。昔の歌だったら「My Revolution」の渡辺美里。  いずれの楽曲もロックの楽器の編成になってますが、「これがロックと言えるのか?」。完璧に骨抜きに、脱臭された「頑張

061『ガールズバンドクライ』第7話「名前をつけてやる」、感想

 確かにガルクラは、仁菜は変わった。新川崎(仮)のTシャツを売るなんてまるでぼざろだし、智ちゃんにそのバンド名を批判されたらバンド名のための作戦会議なんて、その年齢の女の子相応の、初々しい可愛らしさ。幸せな高校時代はこんな風だったんだろうなと想像できる仁菜ちゃんの表情、仕草でした。  また今回は会話回でもありました。仁菜ちゃんのお姉さんが妹のアパートに来て、妹が都会に出た理由を(視聴者に)明かしてくれました。私も仁菜の父親、何らかの有力者だろうと想像してました。そこは少しかす

059 メタで語る『ガールズバンドクライ』②

 前回の記事は上記のリンク先。  さて、現在放送中のバンドアニメ、『ガールズバンドクライ』の記事なのに何故巨大ロボットアニメを確立した永井豪原作のアニメをタイトル画像にしたのか。それは東映動画、現在の東映アニメーションの歴史を語る時避けて通れない作品であり、そこをガルクラに忍び込ませていると勘繰っているから。  前回、『機動戦士ガンダム』、『宇宙戦艦ヤマト』、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』をメタで語ったように、原作のないアニメはクリエイターの思想や経験、感覚を発露で

058『ガールズバンドクライ』第6話「はぐれ者賛歌」、感想

 ちょっとした箸休め回だけど重要でない回という訳ではない。状況が変わることをドラマとするならその直前だけど、前回の対バンライブが終わった後の余韻、それを受けて仁菜ちゃん、すばるちゃん、桃香さんがどう臨むのか、新川崎(仮)をどうしていくかの逡巡が描かれた回でした。  桃香さんは仁菜ちゃんから(新ダイダスに)「負けたくない」と言われて嬉しくないはずがない。しかし本気でやるなら大学進学(受験)という世間一般に認められた将来を捨ててもらう必要がある。それがわかってるから桃香さんは仁菜

056『ぼっち・ざ・ろっく!』、そして『ガールズバンドクライ』!② ぼざろとガルクラ、それぞれのロック

 比較の意味でももう一回、今度はメタでなく登場人物の想い/思いから、ぼっちちゃんが喜多ちゃんを引き留めた場面について。その前に虹夏ちゃん、ぼっちちゃんと一緒の喜多ちゃんに悪態の一言を言った後、何故ライブハウス、スターリーに招いたか、不審がるブロガーがいたのを覚えています。  でも当時から虹夏ちゃんの菩薩対応はそれほど不自然でないと思っていました。何故ってバンドマンの人口、特定の生まれ年での推移を見て行けば最初は供給過多でもある年齢を境にガクッと人数が減り、需要を満たすことが出

055『ぼっち・ざ・ろっく!』、そして『ガールズバンドクライ』!① 「序論、ヤマノススメとゆるキャン△と」

 やっぱりこの二本を並行して論じなきゃならない。実は私のアニメライフ、ぼざろの頃とガルクラが放送中の今期、結構似てるから。  アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』が放送されたのは2022年秋。それはその年の春から第一期から再放送されたアニメ『ヤマノススメ』に転び、待ちに待った第四期の「Next Summit」を楽しんだ時期だった。実際見事な出来で二度目のあおいたちのパーティーの富士登山の青春に堪能し、原作マンガとともに私の大事な作品の一つになりました。  しかし同時期に放送された