見出し画像

058『ガールズバンドクライ』第6話「はぐれ者賛歌」、感想

 ちょっとした箸休め回だけど重要でない回という訳ではない。状況が変わることをドラマとするならその直前だけど、前回の対バンライブが終わった後の余韻、それを受けて仁菜ちゃん、すばるちゃん、桃香さんがどう臨むのか、新川崎(仮)をどうしていくかの逡巡が描かれた回でした。
 桃香さんは仁菜ちゃんから(新ダイダスに)「負けたくない」と言われて嬉しくないはずがない。しかし本気でやるなら大学進学(受験)という世間一般に認められた将来を捨ててもらう必要がある。それがわかってるから桃香さんは仁菜と一緒に練習や再三ステージに立ちつつも、仁菜の将来に口出すことはない。
 それに桃香さんには(旧ダイダスから)脱退という痛恨の過去がある。多分旧ダイダス、好き勝手にバンド活動してた頃だって楽曲の生みの苦しみを散々経験したはず。仁菜とすばる、特に仁菜のカリスマ性ががあれば、プロとしてのバンドの夢を実現できると確信してるはず。だが一度仲間を裏切った自分が、自分の身勝手な夢に引き込んでいいのか、仁菜より大人だからそこまで自分勝手に振る舞えない。
 すばるちゃんの分析から、以上のことを憶測しました。それにしても今回、すばるちゃんはいい仕事してる。井芹仁菜という正論モンスター、暴れ馬を調教する術を心得てる。しかもなだめて大人しくさせる方向でなく、モンスター性を生かして発散させる方向に。それが練習スタジオでのbeni-shouga組とのセッション。
 アバンがその二人組だったのに驚き。そしてこの二人もどうやらルームシェア。桃香さんの例があるから二例目で、ガルクラのもう一つのテーマかもと思い、仁菜ちゃんが誰かとルームシェアすると伏線ともとれる。しかしbeni-shouga組を仁菜ちゃんとすばるがお邪魔する今回のテーマはそこでなく、二人は自分たちと違って武道館という目標をもってること。
 芸能界を知ってるすばるちゃんは呆れたはずだけど、純粋な仁菜ちゃんはちゃんと目標があるんだと尊敬したはず。もっとも武道館でやることの意味は分からなかったようだけど。でも武道館に四人して行くまでにはルパさんと智ちゃんから、最初にやったミュージシャンはビートルズということを含めてそのステータスを教えてもらったはず。そう、PVで印象的に映された武道館の外観、今回の物でした。てっきり最終回の画と思ってた。
 つまりbeni-shougaのペア、ルパさんと智ちゃんが新川崎(仮)とまず会ったのは仁菜ちゃんとすばるちゃんで、武道館を見に行った時も桃香さんに紹介する前。作劇としてそう来たか、と感心しました。そしてすばるちゃん主導でbeni-shougaを桃香さんに引き合わせる作戦。前回のあざとい商魂の時にもおもったけど、おばあちゃんを通じて芸能界を垣間見た経験からか、見知った人間に対する観察眼は確か。
 そしてトゲアリトゲナシトゲナシトゲアリとなる、命名前の初のセッション。長い時間でなかったけど仁菜ちゃんはもちろん、すばるちゃんも桃香さんもその音、楽曲としての可能性に気づいたはず。次が楽しみになる終わり方でした。

この記事が参加している募集

#アニメ感想文

12,230件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?